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さぬきうどん麺処とらや

高松から宇多津に向かう途中「さぬきうどん麺処とらや」でおひるを食べることにする。

12時過ぎに到着すると、コの字型に配置されたカウンター席の向かいには首から紙製のエプロンを下げて黙々とカレーうどんを啜るお客さんがすでに8名ほど。
このお店はカレーうどんが評判だ。

カレーうどんを食べる時にはいくつかの決断が必要になる。
まずは、紙製エプロンの着用問題。
カレーうどんを食べた経験があればきっとわかってもらえると思うのだけど、カレーの出汁が豪快に、それこそ長野オリンピックで見せた原田の大ジャンプかと見紛うほど飛んでしまう。白いシャツのときに限って、肩口あたりまで、よくも飛んだねってくらいのところまで飛んでいる。
しかし、50歳を目前に控えたおっさんが紙製のエプロンである。
ちょっと恥ずかしいが、昼からの仕事に差し障りもあるので首から下げることになる。
このエプロンをつけるときに蝶々結びにするか真結びにするかもちょっと考えるところだ。蝶々の方がお上品な感じもするが、後ろから見た姿がちょっと可愛すぎるのではないかと不安になる。食事後に首から外すとき、使い切っちゃうわけだし、紙製だし、男っぽく見えてグッとくるかもといった理由からブチッと引きちぎることになるし、とここまで考えて真結びを選択。

ここのカレーうどんは火傷しそうにあつあつの細麺が柔らかいのに、噛んでもプツンと切れずにぐにゅっと粘る感じが最後まで変わらない。
普通、これほど熱々のうどんだと食べている最中に伸びきってしまいそうなのだけれど、そうはならない。
さぬきうどんがいつまでもぐにゅっと粘る「腰」がある理由のひとつは、茹でた麺を一度冷水にさらして冷やすことにある。
これに対して、とらやのカレーうどんは茹であげた麺をそのまま冷水にさらすことなくどんぶりに投入し、カレーをかけているのだ。それども最後まで腰が残るのは、やっぱり不思議だ。
とらやでは「カレー」ひとすじと決めているので食べたことがなくて恐縮だけれど、かけうどんもきっとうまいと思う。

それにしてもカレーうどん
香川に越してきた頃、名店と言われるお店で、同僚がカレーうどんを注文したのを初めて見たときには「それって邪道なんじゃね?」と声に出して聞いた日のことを今でも思い出す。
香川県民が愛してやまない「さぬきうどん」。「かけうどん」や「釜揚げ」などを正統派とすれば、かけ出汁を濃くした「ぶっかけ」やあつあつの釜揚げの麺に生卵を絡めた「かまたま」がさぬきうどんのギリギリラインでしょって思っていた県外出身の僕が勝手に決めていたハードルをいとも簡単に超えたうどん。
あぁ、うどんの自由さよ!その象徴がカレーうどんなのである。

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