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「かわいい」ってなんだろう? 映像における“かわいい”の表現方法
映画や映像を見ていて、「このシーン、なんだかとってもかわいい!」と感じたことはありませんか?
私は、かわいいものには目がないタイプで、心を打たれた瞬間は、すぐにメモをして周りにシェアしたくなります。
でも、不思議ではありませんか?
「かわいい」って具体的に何なのでしょうか?
実は「かわいい」とは、色や動き、音、さらには画面全体の雰囲気まで絡み合って、私たちに「かわいい」の印象を与えているんです。
今回は、そんな「かわいい」の仕組みを映像の視点からひも解いてみましょう!
1. かわいさの秘密
「かわいい!」と感じるデザインや演出には、いくつかの共通点があります。
ビジュアルのかわいさ
▶ 丸みのある形(コロンとしたフォルム、大きな目、ふわふわの動物)
▶ 柔らかい色合い(パステルカラー、ベビーピンク、クリーム色など)
▶ コンパクトなサイズ感(ミニチュア、小動物、小さな雑貨)
シンプルな図形でいうと、「角のある四角形」よりも「丸っこい円」のほうが、どこか親しみやすく、かわいらしく見えるんですよね。
動きのかわいさ
▶ ちょこちょこした動き
▶ ゆっくりとした優しい仕草
▶ ちょっとぎこちなく、一生懸命な動作
映像の中では、こうした動きを意図的に取り入れることで、「かわいさ」をより引き立てています。
音のかわいさ
▶ 柔らかくて高めの音(小鳥のさえずり、ポワンとした効果音)
▶ 軽やかなサウンド(「ポン!」や「ピコピコ」など、ふんわり響く音)
▶ 明るく軽快なBGM(ウクレレや木琴など、耳に心地よい音)
実際、効果音ひとつで印象はガラッと変わります。例えば、ぬいぐるみが転ぶシーンで「ドスン!」という重たい音が鳴るのと、「ポフッ」と柔らかい音が鳴るのでは、受ける印象が全然違いますよね。
2. 映像で「かわいさ」を作り出す
「かわいい」を映像で表現するには、ちょっとしたテクニックが必要です。たとえば、色やカメラワーク一つで、印象がぐっと変わります。
あるアニメ制作の現場では、キャラクターの動きについてこんな話を聞きました。動きがぎこちないと、どうしても視聴者に「頑張ってるな!」と感じさせることができるんです。それが、かわいさを引き立てるんだそう。小さなキャラクターが必死に何かをしようとする姿が「かわいい」を作るわけです。
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“ぎこちない”と“必死に頑張る”を意識したAIイラスト
こちらは個人的な意見ですが、「シュールさ」や「ちょっと不思議な雰囲気」も、かわいさを作るスパイスになる気がします。思わず二度見してしまうような、ちょっとクセのあるかわいさも、映像表現の面白いポイントですよね。
①色彩の選び方
色の選び方も「かわいい」を作る重要なポイントです。実は色には深い心理学が隠れていて、制作側はそれを意識して色を決めています。例えば、青い色は冷たく感じるけれど、そこにちょっとした黄色を加えると、温かみが生まれて「かわいさ」がアップするんだとか。
▶ 柔らかく優しい色調(パステルカラーや淡い色)
▶ 温かみのある暖色系(ピンクや黄色は安心感を与える)
▶ ポップでシンプルな配色(ごちゃごちゃせず、すっきり可愛く見せる)
カフェのCMなどで「ほっこりかわいい」雰囲気を出したいときは、茶色+クリーム色+ピンクのような配色がよく使われます。逆に、寒色系ばかりだとクールな印象になってしまうので、 バランスを取るのがポイント です。
② フォントやレイアウトの工夫
映像の中に登場する 文字(テロップ)やロゴ も、「かわいい」雰囲気を作る大事な要素です。
▶ 角ばったフォントより、丸みのあるフォントを使う
▶ 文字の色を淡くしたり、手書き風にすると優しい印象に
▶ テロップの動きも、ふわっと跳ねるようにすると柔らかく見える
たとえば、ポップなバラエティ番組のテロップは、よく ふわっと弾むアニメーション が入りますよね。これも「かわいい」を演出するためのテクニックのひとつです。
③ カメラワークで雰囲気を変える
映像の 撮り方 ひとつでも、「かわいい」は変わります。
▶ アップで撮ると、親近感が増す(特に小さいものはアップにするとかわいく見える)
▶ ふんわりした光を使うと、やわらかい雰囲気に
▶ 手持ちカメラでちょっと揺らすと、親しみやすい雰囲気に
パンケーキのCMでは「ふわふわ感」を伝えたいとき、 逆光でほんのり光らせます。すると、ぐっと美味しそうで可愛く見えます。
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④効果音の使い方
効果音も「かわいい」を引き立てる重要な役割を果たします。例えば、軽い「ポン!」や「ピコピコ」といった音、または「ふわっとした」音は、無邪気さや柔らかさを感じさせます。
ある映像制作スタジオでは、キャラクターが歩く音を実際に録音する際、靴を履いているキャラクターでもわざとぬいぐるみの上を歩く音を録ることがあるそうです。この音が、歩く音に「ふわっとした感覚」を持たせることで、キャラクターの動きをより柔らかく、かわいく感じさせる効果があるんです。
3. まとめ
「かわいい」の背後には、クリエイターたちのこだわりがたくさん詰まっています。色、音響、動き、カメラワークなど、あらゆる要素が一体となって「かわいい」を作り上げているんですね。
「かわいい」を意識して映像を見ると、新たな発見があるかもしれません。もし映像制作に携わる機会があれば、今回紹介したテクニックを活かして、「かわいい」を演出してみてはいかがでしょうか?