見出し画像

コロナ禍のカメラマン日誌~その②~ラジオに助けられた話

映像の仕事をしながらこんな話も良くないと思いつつ
こんなに暗いニュース何で毎日伝えてるんだ…?
こんな言葉をこの1年半で何億万回唱えたものか…
きっと、テレビを見ている方はより思っていることと思います。

8月、いつも聞いているラジオ番組の
パーソナリティの方とスタッフの方がコロナに感染してしまった
という話がSNSを通じて知る事となった。
その方とは、会ったこともないし、ましてや家族でも知人でもない。
僕はただのリスナーというポジション。
でも日々うちの事務所で常にお昼のまったりした時間優しい声と素敵な音楽とリスナーの人が精魂込めたメールを送りそれに笑ったり、共感してるパーソナリティーやディレクターさんの雰囲気がすごく好きだった。

でも時間が経つほど心配になり、心は沈むばかり…
なんとも言えぬ気持ちのまま、番組からはパーソナリティの方は
当分の間、お休みになりますという悲しい知らせが届き、
最近唯一の心のオアシスを見失ってしまった。

何でそんなに感傷的になってしまうのか、よく考えてみると…

2020年の春、全国に緊急事態宣言が出されたとき、
長男の入学式を終え、お祝いも出来ずどこにも行けぬまま、
家でラジオをかけながらご飯を食べていたとき、
いつも聞いている、ラジオ番組もサテライトスタジオからの
放送という場所柄から、宣言が出た翌日からしばらくの間
番組を休止することになりましたという告知を始めたのです。

普通なら「へー大変」と思う位の事でしたが、

そのパーソナリティの方は番組のエンディングで
リスナーへこう話し始めました。

「願いを込めて、『ゆずのまた会える日』をお送りしました。
ちょっとウルっと来ちゃいましたけどね。
こういう状況下で仕方ないのですが、
スタッフの皆さん、リスナーの皆さんと元気で笑顔で会いたいなと…
ホントに皆さんに救われています。
僕も、この状況で色々明るくしゃべる事が辛い時もあって、
不安な事もあるんです。
でもその不安を出さないようにしなきゃいけないと思いながらですが、
今日もリスナーの皆さんのメッセージで支えてもらっています。
是非、番組がお休みの間は、一緒に住んでいる方やご家族、
大切な人にその優しさを使ってあげてください。
皆さんお互いに体を大切に。
大変な時ですが、また会える日まで!ラジオで元気に会いましょう!」

そう締めくくり、番組テーマ曲が流れ終え、およそ2か月の休止期間に突入するのでした。

丁度、北海道の緊急事態宣言が出て1か月半くらいの時期、
何も見通せない世の中で、これから自分も家族もどうしていくのだろう…
おまけに毎日聞いていたラジオ番組もが休止になる。
39年間生きていた中で、こんな事態は初めて。
そんな思いに揺れながらも、そのラジオ番組の送り手の方たちも
番組が休止になることを心の底から悔しみ、不安になりながら
こんなに頑張っていたのか…作り手の心や本音が見えた瞬間でした。

「大切な人へその優しさの時間を使ってあげてください。」
こんな言葉は今まで聞いたことはありませんでした。
でも、胸にとんでもないくらい響き、
ずっと頭の片隅に残るインパクトのある言葉です。

その放送は、この1年半の不安と戦う自分の支えにもなっていたのです。

テレビでは、未知の出来事への不安や不確定な思い、人への不満や批判、個人や行政を攻撃、
そしてよくわからない専門家の難しい解説ばかりが続きます。

よくある業界紙で、うちの局はコロナ禍になり、
「感染者数をいち早く伝える事に比重を置きました…」
「大学の教授に疑問を解説する枠を多くとりました…」
「知事や組長の会見はいち早く中継します…」
という記事を見かけるのですが、何だか残念な気持ちでなりません。

今起きている事や、事実を伝える事も大切な役割なのは十分理解できます。
でも、その情報を見てより不安や気持ちが落ち込んでいる人もいたりするのも確かな事です。人の心を和らげるのも放送という仕事で出来る事なのでは…とその記事を見て感じました。

毎日見てる・聞いてる番組のパーソナリティやキャスターが、
番組のエンディングで「明日も元気で会いましょうね!」
って一言言ってくれたら、もしかしたら少しでも元気になってくれる
人もいるかもしれないです。

きっとラジオで出来る事なんだからきっとテレビでも出来るはず。
もっとテレビの仕事をしてる人はラジオを聞いたらいいのになぁ…と
きっと機材から送り出した放送の先には見てる・聞いてる人がホントにいるんだ…と感じれるはず。
そんな人肌の暖かい情報があれば、トゲトゲしい今の世の中を優しく出きるんじゃ。

視覚の情報に疲れた時はラジオを聞くのもいいのかなと、
ラジオ大好きなカメラマンのおじさんはちょっとだけそう思います。










この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?