コロナ禍のカメラマン日誌~その①~
毎日誰かと話す度
「いやぁこんなに長いとは思いませでしたよねぇ」という枕詞。
そう未だにゴールの見えないコロナ禍。
遡ること一年半前。2020年年明け。
テレビを見ていたら
「海外で新型のウイルスが」
その数ヶ月後には、
客船で感染者が…
その半月後には、
新千歳空港に降り立った外国人の方が感染…
どれもこれも、正直自分の生活には
まだまだ程遠い話でした。
と言うのも、そんな所ではなかったのです。
間もなく息子が3年間通い続けた
幼稚園を卒園する日が目下迫っていた訳で。
自分は映像の仕事をしているお陰か、
妻と共に「アルバム委員」という大役を任され、アルバムの編集や卒園式に流すVTRの制作に関わらせて頂き、ナイショですが本業よりも力を注いでいました(笑)
まだ北海道はそんなに影響がなかった時、
担任の先生にはナイショでお礼のメッセージを
撮影に行き、「◯◯先生ありがとう!」と園児たちにコメントしてもらい、俄然「先生や親達を絶対に泣かしてやる」と悪い思いを馳せながらロケは終了。
そんな矢先、普段仕事をさせて頂いている
報道の現場で他社さんが
「うちのマチで感染者出たらどうやって会見とかするのかね?」と世間話になり、
みんな見えないものを考えて、頭は???
「その時はその時だね」と話終わったのです。
が、その翌日まさかの事態が起きたのでした。
「北海道で感染者が判明」
この一報からあらゆる事が変わって行きました。
未知の出来事に正直あたふたし、
ノウハウがない私たちもどう安全に取材し、
不安を煽らず電波に乗せて伝えれるか。
自問自答、頭を抱えながら、心が病む
去年の2月半ばそんな状態でした。
が、しかし、取材に翻弄されている中、
我が家の大事な節目の出来事が
存続を危ぶまれる事態になったのです。
当時、北海道は全国に先駆け
緊急事態宣言が出され、学校や教育機関は
ほぼ休園、休校という異例の事態に。
「また明日ね~」と別れたあと、
およそ半月ほど幼稚園は休園。
子供が休むと言うことは、妻もパート休止
卒園アルバムや記念DVD作りも作業がストップ…
幼稚園からも、もしかすると卒園式は
無しになるかもしれませんという最悪の案内が。
何も出来なかった息子が成長出来たのは、◯◯先生のお陰。
ケンカばかりしてたけど、仲良くしてくれた△△くん。
個人事業主の特権かよく行事に行かせてもらい、
息子に関わってくれた人達の顔が浮かび不憫でなりません。
朝から夜まで報道取材に出てヘロヘロになりながらも、事務所に戻ると深夜まで卒園DVDの編集をする日々、身も心もズタズタになりながらでした。
もちろん撮影出来ていないパートもあり、
万が一差し替えが出来るようにAプロ、Bプロを作ったり、今考えたら「テレビ番組」納品の勢いでした。
コロナ騒動から、およそ1ヶ月が過ぎようとしていた日、幼稚園から連絡があり、条件付きで卒園式は開催。
短時間で挙行、人数も両親のみ参加でとの条件で何とか息子の節目の日を向かえる事が出来たのです。
但し、身も心もズタズタになりながら作ったDVDは上映中止という事に…
本当に残念で残念で仕方なかったです。
でも、「また明日ね」という挨拶を最後に1ヶ月間会えなかった友達と卒園出来たのは、本当に良かったなと、今になっても感じる訳です。
結局そのDVDは御披露目されること無く、
記念品と言う方で、各家族に配布して貰えることになりました。
残念ながら、見た先生やご家族の感想は聞けないし、これから先も聞く事はないかと思います。
でも数年後「こんなに大変な中、みんなはこんな仲間と幼稚園を過ごして来たんだよ」とビデオを見ながら親子で茶の間で話す話題の種になったなら、苦労して作った甲斐があるなと、その時思えたのです。
普段は、電波に乗ったら終わり。
昔は見た人の反応はなかなか分かりませんでした。
時代は変わり、送り手も作品に愛情が薄くなり、同業者としてそれに違和感を感じながら過ごしてきた数年だったのです。
でも、卒園式のDVDを作り、人の人生の残る映像を作ることって大事なものでは???とテレビ以外の映像の仕事を改めてちゃんと向き合ってやって行けば、人生の財産になるはず。
コロナ禍で見つけた大きな気付きでした。。
あの時卒園した、息子は今年で小2に…
早いったらありません。
テレビも好きです。
ニュースもやり甲斐があります。
でも人の人生に残る愛情のある映像を作るカメラマンを目指せたらなお良しと思った2020年の話でした。
ちなみに、卒園記念DVDでは音楽に僕が大好きなGOODBYEAPRILというアーティストの方の曲を使わせていただきました。
◾GOOD BYE APRIL「夢みるモンシロ」
疾走間溢れる、園児たちを見ていたら、ツラいことがあっても、ますば夢見て飛んで行けと背中を押したくなる曲です。
◾「手紙」GOOD BYE APRIL
故郷に向けた思いの曲。思わぬ出来事で離ればなれになったけど、君たちの故郷はここだから。
そんな思いを表す優しい曲です。
このGOODBYEAPRILというアーティストと出会ったことも、自分の人生には多大な影響がありました。
そのお話はまた改めて…
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