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コロナ禍のカメラマン日誌~その③音声騒動記~

まだまだ油断ならぬご時世です。
コロナ禍に入ってから、
仕事に対しても、生活にしても、
やり方を変えなければ…という事が多くあり、
頭を悩ます日々がまだまだ続きそうです。
 
その中でも、僕がいちばん困った仕事での
出来事を今日は書きたいと思います。

普段、僕は報道取材の時は記者さんと2人で、
情報番組やイベント・記録映像撮影の時は、
ディレクターやアシスタントさんはなしで、
1人カメラ・音声技術として
せっせせっせとカメラと三脚を
担ぎ取材に出かけます。

全国ネットの番組は、
出演者の後ろにカメラ3~5台、
その後ろにはディレクターさんや
技術アシスタントさん、音声さん、
そのまた後ろには普段現場には
来ないプロデューサーや営業さんやスタイリストさんやマネージャーさんなど…
こういうのは地方局や小さなプロダクションでは
ほぼ経験する事のない現場です。

ごく稀に、大規模なロケや中継へ呼んで頂くと
大勢の人に呑まれ、僕は大体テンパり現場でフリーズするのがいつものオチです。
(気弱な田舎モノ気質は未だ抜けません)

ホント地方のカメラマンって
少数で踏ん張ってます。
でも、その小回りの利く少数部隊は
いい部分もあり、困る部分ももちろんあるのです。

それは「インタビュー」を撮る時。

現場に記者やディレクター、
助手さんがいてくれれば、
「マイク持ってもらえますか?」
ってお願いも出来ますが、

我々地方のカメラマンは
現場でお一人様って事も多いのです。


以前ならば、
右手にはカメラのレンズを構えて、
左手はハンドマイクを持ち
インタビューなんてスタイルは、
地方のカメラマンなら必ずやっている
お馴染みスタイルだったのですが、
去年からのコロナ禍。

「ソーシャルディスタンス」の定義は
人と人の距離は2メートル離れる。
これが適切な距離だったりします。

が!!
今までの取材方法は
自分の腕2本分くらいの距離…
どう考えたって、
「ソーシャルディスタンス」に
当てはまらない訳です。

よく、「街録」(がいろく)撮ってきて!と
偉い人からお願いされ街を歩く一般の方に
インタビューをさせて頂く機会があります。

まさにそれが一番悩みのタネでした。

近づいてマイクを向けるのは、
色々と良くないのではないのでは…
と悩んでいた時、ある番組で
インタビューマイクを竿につけて
取材している映像を見かけたのです。


一瞬にして
「これだぁぁぁぁぁぁ!!!」と
猛烈に叫ぶのです。

大手ネット通販サイトを探すと、
今まで業務用品として高額な金額でしか
買う事の出来なかった機材や部材が
安価になって販売されているのです。

奥さんにナイショでこっそり「ポチッ」と押し、
後日宅配便の方が届けてくれました。
(もちろん、奥さんにはガッツリ怒られます)

それ以来、インタビュー取材は、
ガンマイク(ネコの毛みたいなモフモフしたのがついたマイク)とブームと呼ばれる竿を使って
安全な距離で取材するのが当たり前の光景となりつつあります。

僕の中で今年忘れられないのは、
とある「ぶら下がり」と言われる、
インタビューする方を記者やカメラマンが
囲い混んでお話を聞く取材方法があります。

よく政治家やスポーツ選手などの
インタビューでやります。

ある取材で、記者さんはメモを取りながらで
マイクが持てません。

時々優しい他社の記者さんや音声さんが持ってくれたりしますが、その現場はピリピリしていてそういう雰囲気ではなく、カメラも撮らねば、でもマイクを構えないと音が撮れない…
絶好調にコンディションの悪い現場でした。

そこでカメラのサイズを決めたら、ディスクを回し三脚をロック。僕はガンマイクを腕に持ち、一か八か音声を撮ることに徹します。

他社さんは何やってんだあのカメラマン?
という雰囲気でしたが、何とか無事その方法で、全国ネットのニュースに間に合わせました。
今考えてもゾクゾクします…

普通のインタビューでつかうハンドマイクより、
狙った音が取れるのが何より心強い味方!!


他にも、
記者会見がある時は終わったら
マイクやスタンドをアルコールで拭く。

ピンマイクを使う時は、
マイクをお話を聞く方にお願いしてつけてもらう。
厳しければ、
ビニール手袋を付けてセットさせてもらう…
極力ワイヤレス機材を使う。

一人で取材でマイクの使用が厳しければ、
カメラに付いているガンマイクの音を使ってもらう。
などなど…


映像よりも音声って思ったより繊細で
すごく難しいもので、
「あぁぁぁぁぁ…」と頭を悩ます事しばしば。
まだまだしばらくはガンマイク先輩に
頼ることも多いかと思います。

基本中の基本、
マスク・手洗い・うがい・消毒・早寝早起きはもちろんです、
でもこんな工夫をしながら安全なロケを目指しています。

何よりもまずはみんなが健康第一です。


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