
地方公務員が副業を考えること
さて、3回目の投稿にして、ようやくアカウント名にも掲げている「副業」について、自分の考えを整理したいと思います。
私は民間企業で数年間勤務した後、地方公務員に転職しました。民間企業を退職する際、「自分は誰のために働いているのだろうか?」という問いに答えが見つからず、苦しい思いをしたことを覚えています。
そんなとき、「公務員なら税金を払ってくれている人のために働くのだから、シンプルで分かりやすい!」と、今思えば少し安直な理由で転職を決めました。
地方公務員になってから
地方公務員として働き始めてから、「不交付団体」という言葉を初めて知りました。耳馴染みのない方もいるかもしれないので、簡単に説明すると、「国から特別な資金(=地方交付税)を受けなくても、自治体独自の税収だけで運営できる自治体」のことです。これだけ聞くと、「黒字自治体」と思われがちですが、不交付団体にも課題や苦労があります。
さて、日本には、都道府県と市区町村を合わせると1,800ほどの自治体があります。このうち、「不交付団体」はどれくらいだと思いますか?
この記事を記載している時点で、都道府県では東京都のみ。市町村を合わせても100に満たないほどです。
割合にすると、5%。
逆に言えば、95%の自治体が、「自分たちの税収だけでは、自分たちの受けるサービスをまかなえていない」という状況にあります。
私がお世話になっている地方自治体も、95%にしっかり入っている「交付団体」でした。
3年目のある日に考えが変わる
これを知った地方公務員1年目の私は、また悩みました。
「あれ?税負担者のために働くと思っていたのに、その税金には住民以外の負担分も含まれているのか」と。そこで、「顔も見えない全国の税負担者のために働こう!」と考えられれば理想的な公務員でしょうが、私はそう思えませんでした。
しばらくの間、「この業務がうまくいって喜んでくれるのは誰だろう」と考える日々が続きました。そんなある日、地方公務員3年目になった私はふと考えました。
「そもそも、“誰のために働いているか”を考えること自体が間違いなのでは?」
——ずっと答えを探し続けていた問いそのものに誤りがあったと気づいた瞬間は、衝撃的でした。
それまでにもヒントはあった
今思えば、知識として、いくつかの情報に触れていました。
例えば、故・稲盛和夫氏が再建に粉骨砕身したことで知られるJALグループの企業理念では、「全社員の物心両面の幸福」追求が、一番最初に掲げられています。その次に、「お客様」が続き、「社会」が登場します。
JALグループに勤める知人からも、「お客様の命を守り、我々のサービスに満足していただく。そのためには、提供者である我々一人一人が、自分自身に満足していないとできない。まずは自分を幸せにして、次に自分の周りにいる方に広がり。その幸福の輪の広がりの先に、お客様の幸福があると考え、行動しています。」と。
この企業理念を聞いたとき、「日本を代表する企業は、言うことがかっこいいねぇ」くらいにしか考えていませんでした。
しかし、労働者として、ともすれば人として生きる根本的な命題に対して、真正面から見事に答えている企業理念だと思うようになりました。
「誰かのために働くより前に、自分のために働け」と。でも、それは独り善がりで働くのではなく、「喜んでくれるかもしれない、誰か」の存在を意識することが前提だ、と。
まずは自分のために働け
心の枷が外れたような、視界が一気に開けたような、とにかくすっきりとした気分でした。
今思えば、結婚というライフイベントを通じて、他者が自分の人生に深く関わることが大きな影響を与えたのだと思います。奥さんは、「仕事で誰が喜んでくれたか」という結果よりも、「喜んでくれた人がいたことで、私が喜んでいる姿」を見て、一緒に喜んでくれる人のようです。
そりゃそうですよね。奥さんからすれば、何処の誰かも知らない人が喜んだ話よりも、目の前の私が喜んでいる話のほうが、共感しやすいですよね。私だってそうです。
今では、「最初から利他的なことを考えるのではなく、利己的なところから考えればよかった」と、自分の考えが一足飛びだったと考えるようになっています。
地方公務員3年生にして、ようやく社会人としてのスタートラインに立てたような気がしました。
少し長くなってきたので、ここで中断します。もっと端的に整理できれば良いのですが。
次回の投稿では、地方公務員4年目以降で得られた学びが「副業」という選択肢に与えた影響について整理します。