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First Step #4 専業主婦後、あなたはどう生きる、シンシアのグッドモーニング with 永井ようこさん(社会保険労務士)1通18円のメール便配達からスタート。家庭事情に合わせて、仕事のスタイルを 変えていった。 Report by Yoko Ukai

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 第5回のゲストは、社会保険労務士の永井ようこさん。47歳のとき、週3日のパート勤務から始め、2年前に正社員になった。専業主婦時代、「自分に自信が持てず、悶々とした思いを抱え続けていた」という永井さんが、いかにして復職の道を模索し、拓いてきたか。そこには、復職を目指す専業主婦にとって励みになるヒントがいっぱいだ。

 今回は、簡単に彼女の歩みを踏まえた上で、トーク中に展開されたシンシアさん&参加者との質疑応答を中心に紹介する。社労士の現場についても触れているので、目指す人は参考にして欲しい。

永井ようこさんの歩み(51歳/宇都宮市在住)
・大学在学中  
  ★ 簿記二級、宅建資格取得
・大学卒業後、大手建設会社一般職として7年間勤務。
  ★ 社会保険労務士資格、キャリアコンサルティング資格取得 
・長男出産(29歳)後、退職。3人の子どもに恵まれるも、都会でのワンオペ育児に苦労しつつ「このままでは終わりたくない」と悶々とした思いを抱え続ける。
・末っ子の小学校入学を機に、1部18円のメール便配達のバイト(1時間/日、月収3万円)を始める。同時期、資格を元に細々とフリーの講師や女性のコンサルティングを行う。
  ★コミュニケーション講座受講 
・末っ子が5年生の時に、17年間の専業主婦生活にピリオドを打ち、社会保険労務士として復職。週に3日のパート勤務からスタートし、キャリアコンサルティング資格を取得、2年前に正社員となり現在に至る。

●専業主婦になった理由は? もやもや時期はどう過ごした?

シンシア : 大企業に入ったのに、やめないで続けようとは思わなかったの?
永井 : 29歳で長男を出産。1年間、育児休職をして復帰するつもりでしたが、それは無理だと。近くに親もいないし、夫も多忙。完全なワンオペ育児で、仕事との両立など無理でした。

シンシア : 仕事に戻りたいという気持ちになったことは?
永井 : 仕事に戻りたいというより、このままで終わりたくないという気持ち。学生時代からずっと、目標がなかったんです。女は勉強しなくてもいい、良妻賢母を目指せという家庭で育ち、それが完全に刷り込まれていたんですね。でも、元々専業主婦が合ってないので、不満だらけ。仕事をしてる人がキラキラして見えてくる。雑誌でも、そういう人が取り上げられて。羨ましい、私は何をやってる? と落ち込みました。

シンシア : 私も同じでした。幼馴染たちの中で、専業主婦になったのは私一人。仕事をしている彼女たちが遊びに来ると、妬ましく思いましたね。でも、いま復職して、専業主婦という選択は間違っていなかったと思う?

永井 : 結果論ですが、今の仕事には間違いなく、専業主婦時代の経験が生きています。仕事って、資格やスキルだけではできるものではない。専業主婦時代にあがいたことを含め、そこで得たご縁や自分なりにやってきた勉強、バイト経験などひっくるめて、いまがあると思います。

●専業主婦時代、1部18円のバイトやフリーランスの仕事はどのように始めた?

シンシア : 専業主婦時代、いろいろチャレンジしてますね?
永井 : 1部18円のメール便配達の仕事は、末っ子が小学生になったとき、友人から声をかけられて始めました。子どもが小さいうちは、本格的に働くという発想はなかったので、このバイトだけでも経験的には十分でした。

シンシア : フリーランス講師やコンサルティングは、どういう経緯で?
永井 : 時間の制約があったので、フリーでできることを考えたんです。そんな折、フリーペーパーで「ドリカムママ」という連続講座がありました。いろんな人の刺激を受けたいと参加したのですが、正直、気後れもしていました。劣等感の塊でしたから。ただ、その時、真剣に考えました。「自分に何ができるのだろう?」と。自己分析ですね。
気づいたのは、私は「読む・書く・喋る」ことが得意だということ。で、フリーでビジネスマナーなどの講師を始めたのですが、うまくいきません。そこで、あるコミュニケーション講座を受けたんです。宇都宮から都内に2時間半かけて通いました。で、この時、知り合って声をかけて くれた女性が縁をつないでくれたのが今の会社の代表です。

シンシア : ご縁があったんですね。もがいている時期、心がけていたことは?
永井 : なんでもやってみることです。声をかけられたら、考え込む前に行動を起こす。メール便の配達も、コミュニケーション講座に通っていた時、たまたま誘われた「覆面調査」のバイトも。現在の社会保険労務士の仕事も、みんなそう。そこで、自分の人柄を知ってもらい、次のチャンスのご縁をいただく。また、この間、 ブログもせっせと書いていました。コミュニケーションや女性の生き方や心理 学等、書くためには勉強しなくてはいけない。この勉強が、夫婦や家族関係その後の仕事にすご く役に立ちましたね 。

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●社会保険労務士として復職できた理由は?

シンシア : 社会保険労務士は、お声がかかって始めたのですね?
永井 : ​はい。コミュニケーション講座で知り合った方がご紹介してくれた今の代表が、当時、手製 の名刺の裏側にびっしり書き込んでいた資格(社労士、宅建、キャリアコンサルタント、FP、 着付師範)の「社労士」に目を止めてくださったんです。別れ際に冗談で「社労士として働きま せんか?」と声をかけられ、実際、メールが届いたのはその8ヶ月後でした。ご縁って、思わぬ ところからつながるものですね。

シンシア : パートから始めたのはなぜ?
永井 : 小学生の末っ子をおいて、長時間働く気持ちになれなかった。週3回1日6時間、夏休みは 考慮してもらうというこちらの条件をのんでもらいました。

シンシア : 条件を譲歩してでも、永井さんがオファーされたのはなぜだと思いますか?
永井 : まず、現実的に、先方がすぐにでも社労士の有資格者を欲していたこと。もう一つは、どうやら、「感じが良かった」そうです(笑)。

シンシア : 感じが良かった!(笑)。そのポイントは? 真似ができることですか?
永井 : ハハハ 、私は一見真面目そうに見えて、いつも笑っているらしいです。この人となら、うまくやっていけそうだと判断してもらえたんでしょうね。でも、笑顔って大事だと思いますね。

シンシア : そうそう。みなさん、鏡に向かって笑顔の練習するのも大切ですよ! 

●見た目に気をつけていた?

シンシア : 自己評価のチャート(※)を見ると、「見た目」が一番ポイントが高い(笑)。努力されていたんですね!
永井 : キャリコンでも相談を受けますが、見た目がきちんとしてないと信頼してもらえません。見た目には相当気を遣いました。今も、劣化を食い止めるために、美容皮膚科に通ったり、運動したり(笑)。職場でも、面接をするのですが、見た目を考えないで来る方が多すぎます。スーツは着ない、髪の毛ボサボサ。履歴書の写真も気が抜けているのが多い。普段着だったり、暗い顔をしてたり、お金かけてでも、プロにいい写真を撮ってもらってください。似合う服わからなければ、コンサルタントに教えてもらいましょう。

シンシア : 服装もね、私もコーディネートがダメ(笑)。お金がなければ、ユニクロに行って黒で揃えばいい(笑)。あとは、顔はなんとかなる。レーザーでも整形でも(笑)。でも、体はなんとかならないんです。健康が一番、運動しなさいって強く言いたいわね。

●復職して、苦労したことは?

シンシア : 私は、復職した時、とても苦労して泣いたこともあったんだけど、永井さんは?
永井 : 何度も泣きました。まるで、泣くのが仕事みたいに(笑)。私は、コンサルティング業務を 中心にやっているので、ミスをするとお客さんから担当を外されることもあるんです。最初は、 劣等感と落ち込みの波に襲われて大変でした。

シンシア : どうやって乗り越えた?
永井 : 目の前の仕事をとにかく一生懸命やろうと。一つひとつの仕事が経験となって積み上がっていけば、必ず実力もついていく。それしかありません。実際、私も、この4年半でようやく自信を持って「社会保険労務士の永井です」と自己紹介できるようになりました。

シンシア : 家庭との両立では?
永井 : 夫が細かい人なので、家事が滞ると不満が出る。大変でした。ただ、ある時、夫に仕事のこ とで相談したことがあったんです。ワーカーホリック気味の夫は、それが嬉しかったのか、親身 に相談に乗ってくれて。以来、家事面、仕事面とお互い歩み寄るようになって、時間をかけて対 話を重ねていくうちに、協力体制ができていき、家事も仕事も、今はうまく回っています。

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●人生100年時代。これからのことは?

シンシア : 今は、どんな心境ですか? 今後はどうしていきたい?
永井 : 安心感が出てきました。固定的に収入があって、所属しているという安心感。仕事ができるようになってきたという安心感もあります。
今後は、末っ子が来年高校生なので、固定残業の正社員になろうかと思っていました。一方 で、こういうファーストステップの機会もいただいたし、キャリコンの資格もあるので、それを 活かしたい。今、キャリア掛け合わせの時代と言われています。元リクルートフェローの藤原和博さんが提言しているんですが、「3つのキャリアを掛け算して100万分の1の人材になろう」と。私は、専業主婦のキャリアが一つ、社労士のキャリアが一つ。今、51歳ですが、これからは三つ目に目を向けた活動を始めたいと思っています。

シンシア : これから、復職を目指す人に伝えたいことは?
永井 : 専業主婦って不安で自信がないのですが、時代が変わってきている。10年前なら無理だったことも、時代が変わったから、私でもできるようになったんです。だから、頭で考えるのではなく、とにかく行動してください。そうすると、必ずご縁や気づきがある。それに、目の前のことを一生懸命やってると、不安はなくなります。資格取得の勉強でもいいんです。勉強に集中していると、他のことは気にならなくなる。目の前のことを、一つひとつ。その点と点が繋がる時期がやって来るので、その点をいっぱい作っていってほしいですね。

●参加者からYokoさんへの質問/社労士の仕事について

Q : 社労士の資格で、具体的にはどんな仕事をしていますか?
A : 社労士には1〜3号があり、1、2号は社会保険や労働保険の手続き業務、3号がコンサルティングです。私は、事務作業が苦手なので、3号のコンサルティングをメインに、労務相談、組織開発的な人事体制作りや給与制度などの相談を請け負っています。

Q : 社労士資格を取りたいのですが、学校に通ったほうがいいですか? 今、独学でやっています。
A : 私は、最初の会社でたまたま取りませんか?と勧められ、軽い気持ちで勉強を始めました。資格取るなら一回で通りたいので、集中的に勉強しました。退社後に週に数回、社労士主催の講習会に通い、通勤の電車や待ち時間など、隙間時間は全て勉強に当てたんです。以前よりいまの方が、格段に難しくなっているので、独学ではまず厳しい。何かしら学校に通うことを勧めます。

Q : 社労士の具体的な仕事、労働環境を教えてください。
A : 業界の年齢層は高いですね。仕事内容は、手続き業務が多く、今はコンサルティングメインは 少ないのが現状でしょう。特に、大きな社労士法人だと、一つの仕事しかさせてもらえないこと が多いようです。いずれにしろ、 社労士は資格だけで持っていても通用しません。仕事スキル は、様々な経験を積み重ねながら身につけていくしかありません 。 


●参加者からYokoさんへの質問/資格取得について


Q : キャリアコンサルタントの資格を持っています。ほかにも取っておいた方がいい?
A : はっきり言えば、社労士もキャリコンも資格だけでは食べていけません。資格は持っているだけではダメで、経験がモノを言う。資格に頼る人で多いケースは、資格しか見てないこと。資格はパスポート。そのパスポートを使って、物事を解決するには、資格で扱う以外の領域にも広く目配りをしておく必要があるんですね。
つまり、経験の掛け合わせが大切だと思います。そこに投資するんです。お金ができたらいずれやろう、ではなくて、興味あることには先行投資をしてチャレンジする。美容にお金をかけるのも同じですね(笑)。私が、社労士の声をかけられたコミュニケーション講座も、お金がかかりました。1部18円のバイト。月3万円。でも、一年やると40万近くになるんです。そうすると、夫にも行きたいって言えるんですね。できることは、なんでもやる。お金を借りてでも最初に投資、勉強も美容も投資です。それは必ず返って来ますよ。

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