【First Step 開催リポート #10】ベンチャー企業社長&元専業主婦社員対談:社長から見た専業主婦の可能性と雇用Report by Mai Todagishi
2021年1月24日にオンライン開催された、First Stepのグッドモーニング企画。
17年間の専業主婦生活を終え、47歳で再就職にチャレンジした薄井シンシアさんが、今一番気になるゲストをお招きして繰り広げるトークショーです。
今回は、コーポレート・コンシェルジュという新しい視点を持ったベンチャー企業 株式会社TPOを2016年に創設したCEOの マニヤン麻里子さんと、正社員として採用された田中水美さんをお迎えしてシンシアさんと、幅広いトークが展開されました。
ゲストのマニヤン 麻里子さん、田中水美さんのご紹介は以下となります。
株式会社TPOのホームページでは、偶然にもこの2021年の流行色/トレンドカラーとして選ばれた色をコーポレートカラーとされているそうです。トレンドカラーの選定は、世界的な色見本帳ブランドであるPANTONE社が設立したPANTONE Color Instituteによって行われています。
今回のトークショーは、専業主婦の可能性や、専業主婦のスキルをどう活かしているのか?などを起点に展開されつつも、当事者の他に周囲の方々にも新しい気付きとなりそうな内容が盛りだくさんでした。あっという間の濃い時間となったトーク内容をリポートしてみます。
●コーポレートコンシェルジュという新しい価値と可能性
まず冒頭はシンシアさんからマニヤン麻里子さんへ、株式会社TPOが展開する、「コーポレートコンシェルジュサービス」についての質問からスタートしました。
株式会社TPOのCEOであるマニヤン麻里子さんご自身も子育てと仕事の両立の難しさを感じてこられた一人であり、そのご経験から事業構想がスタートされています。
企業に勤める社員の個人が対象となるこのサービスは、働く多様な人々を支えるコンシェルジュとして、第三者の立場から私生活の相談相手となっていく立場を提供するというものです。以前は企業内の一角に、コンシェルジュスペースを設けて展開していたサービスも、今ではオンラインでのサービス提供も展開中です。
そして働く人の幸福(Happiness)を作っていくお手伝いをする、
third placeならぬthird peopleのようなコンシェルジュを世界中のリサーチネットワークとも連携しながら、性別・国籍・文化、それぞれを活かしたメンバーの多様性を尊重して事業を展開されているそうです。
トーク冒頭で紹介されたコーポレートムービーも、とても分かりやすいので、ぜひご覧ください。https://youtu.be/qnfp6E4sROQ
更に詳細な情報は下記の株式会社TPOのホームページからもご確認頂けます。
●他人が見ている自分を受け入れるとチャンスが広がる
この魅力的な事業を展開するマニヤンさんに、シンシアさんから次に出された質問は
「なぜ専業主婦を採用しようと思ったのか?」というものでした。
その問いにマニヤンさんは、
「一人ひとりの力、個性が大切だと考えている」とお答えになられました。
そしてその真意は、その後のトークの中で明かされていたように感じます。
10年以上の専業主婦期間を経て54歳で就職された田中さんは、その主婦期間の間に、長い介護経験もお持ちでした。その間にも、パートのご経験は沢山あったものの
「このまま終わるのかな」と考えたとのこと。
そう思っていたある日の夕食準備中に、TVで観た20分特集に釘付けとなり、その場でHPを調べ、コンタクトのボタンを押し、熱い想いをメッセージ送信されたそうです。
その熱い想いを受け取ったマニヤンさんは、当時募集を予定していた広報職の候補者として面接され、その場でコンシェルジュへの適性を感じたことから、数回の面接を重ねた末にコンシェルジュとしての活躍を田中さんへ提案されます。
この数回の面接でマニヤンさんが注目しておられたのは、
言葉の使い方・書き方・多様性の受け入れ方という部分で、年齢は関係していなかったそうです。
多くの就職シーンで必要スキルとして挙げられるITスキルは、
自分で調べることや、オープンマインドでの精神で人から学ぼうという姿勢があれば、後から身につけていけるものでもある、とも話されていました。
一方で、より大切と考えておられるのが、年齢や経験を重ねられたからこそ、得られるものでもある【知識・知恵・豊かな経験】。そしてこれはコンシェルジュというサービスには、とても重要とのことです。
コンシェルジュ資質を備えておられた田中さん自身も、応募された最初の頃は、広報なら可能性があるかな、と考えつつ、現場に出て活躍するコンシェルジュという仕事にも興味があったそうです。でも広告出身というご経歴から、自分には無理だろうと勝手に自己判断していたが、予想外のオファーが来たので喜んでお受けしたと、素敵な笑顔で振り返っておられました。
ここにシンシアさんも
「他の人が見ている自分を受け入れることで、チャンスが広がる」と、大切なポイントだと強く共感され、
マニヤンさんも「コンシェルジュと広報と、両方を担って頂いているよう」と、このご縁が当初の想像よりも、素晴らしい今に繋がっていることをお話されている姿は印象的でした。
田中さんの広報的な一面は、下記の株式会社TPOの公式noteページからもご確認頂けます。
●自分と周りを広く見渡すことで理想に近づく
TPOでは、1on1や社内トレーニングなども、積極的に実施されてきたそうで、入社3年目となる田中さんにとっても、トレーニングの中でもチームビルディングに関する内容は、とても興味深かったとのことです。
それを聞いたシンシアさんからマニヤンさんに「企業としての余裕を感じますね」とコメントされ、
「社員の成長を意識したトレーニングは、本当に余裕がないと出来ないことで、多くの時間もリソースも必要なもの。最近は実施できてないですが、田中さんのコメントを聞いてやはり大切にしていかなくてはと感じました。」
とのお答えがマニヤンさんから返されたやり取りは、まさにベンチャー企業としてのシビアな世界の一面も感じるシーンでもありました。
このように社員の個を尊重して活かそうという視点をお持ちの、マニヤンさんから見えている田中さんの姿やコンシェルジュ資質は、多くの人が魅力と感じると思う大切なポイントが挙げられました。
・変化に対して物怖じしない
・後ろ向きじゃなく前向きな発想
・起きる物事への柔軟な考え方
・人間的な信念や自分の誇りがある
・相手の話を聴く力
・自分の魅力を成功談に限らず伝える力
・自分にとって重要なものを見極める感性
そして次に、シンシアさんから田中さんへの
「仕事したい理由は何ですか?」という質問はとても深いと感じ、その問いに対し、いくつかの言葉を重ねて考えを掘り下げられた田中さんの言葉も印象的でした。
・現状自分の力で何かをやりたかった
・長い介護生活から、人の老いを直に見てきたことも影響したかもしれない
・地元でのんびりとした生活も良いが、いずれ飽きてしまう気もした
・今の住むエリアを飛び出したかった
この働きたい理由という質問は、自分にも置き換えて考える機会になりました。
最後にシンシアさん、マニヤンさん、田中さんでクロストークされた
「理想」についてが、とても深い内容で魅力的だったので書き残してみたいと思います。
【マニヤンさん】
・「もっと良い何かがあるのでは」と、人は理想を追い求めてしまうが、そうそう出会えるものではない。
・まずは自分の目の前にあるものに一生懸命に取り組むこと
【シンシアさん】
・採用もキャリアも、最初から希望通り、予想通りには進まない
・企業も個人もお互いに理想に向けて、まずは投資し合う考え方も必要
【田中さん】
・理想は手に入れるものではなく、今あるものを自分の理想に近づけること
トーク終盤では、年齢に限らず、豊富な人生経験があるからこそ、補完し合えるものがあること、それがベンチャー企業の成長の力に繋がるといった話題もあり、条件面でお互いが一方的な決めつけを持たないことの大切さを教えて頂いた気がします。
田中さんのカムバックキャリアの出会いとのキッカケがTVの特集だったように、周りからの何気ない情報に少しでも興味を持ったなら、まずは一歩踏み出してみることが次のチャンスに広がっていくと言えそうです。
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