バントに思う事
私は野球好きで、それも「1.2に野球、3.4が無くて5に野球」みたいな感じ。ですのでPCとTVのモニター2つで野球を見てるんですが、今宮のバントと桑原のバント失敗がちょうど同じくらいのタイミングだったんですよ(昨日(10月17日)は山川とオースティンのHRがほぼ同じだった)。
noteをゆっくり書こうと思っていたら、シーズンOPS.678の選手にバントさせて併殺っていう下らないシーンを見ました(10月20日)。相手バルドナードで右のベンチメンバ―1人だけだもんね拘るねえ、なんでそんなに頑固なん。
それでは、バントの良い面と悪い面を考えてみます。
➀バントの良いところ
②バントの悪いところ
あ、あの、日本一を決める試合で20本87打点、二塁打40本のバッターがバントしててそら2017WBC勝てないよなみたいなシーンを見せられました。
突然ですが、バントに価値を見出す瞬間って生きていて少ないと思うのです。バントを決めて野球を好きになるっていうのは余程じゃない限り無いと思いますし、やはり憧れるのは綺麗な放物線ですよね。
「高校野球の9回にバントを決めてサヨナラに繋がった」みたいなケースは本当に稀の事で、大方の人は「バントすげえ」とはならないと思います。
プロ野球を見ていても「すげえ」となる事は希少な体験です。一球で決める技術にプロの技を見る事はありますが、大きく盛り上がる瞬間ではありません。
それに解説者の方も「アウトを貰えて投手が落ち着くかもしれませんね」みたいな発言をすることもあって、「バントすげえ」ってならないと思います。
じゃあなぜバントをするのか。
一言で言えば「得点期待値が上がると本気で信じているから」なんですが、それではnoteを書く意味がありません。もう少し掘り下げたいので考えてみます。
それではバントが作戦として得と考えられる要因を考えます。
これは上に列挙した理由で言うと「得点圏にランナーが進む」です。
裏返せば「得点圏が大好きだから」です。
得点圏に送る事を「カタチを作る」と表現した監督が今年いましたが、得点圏が皆さんお好きなんですよね。
noteをお読みの方は得点圏に送ったからといって必ずしも点が入るわけではないとお分かりだと思いますが、「得点圏にランナーを送るのがスタート」だと考えている監督が多いわけです。
得点圏にランナーを送らないと点が入らないのであれば、当然ランナーを進める作戦が優先されるでしょう。
ランナー2塁に価値を見出しているということです。
次に、なぜバントを選ぶのかをベンチの立場に立って理由を考えてみます。
これは列挙した理由集からだと「サインプレーだから」「ゲッツーの心配がなくなるから」でしょうか。
まず「サインプレーだから」についてですが、野球はサインが多いです。あらゆるフィールドプレーヤーにサインが出ます。サインは相手に作戦を悟られないためですが、イニングによって代えたり相手によって代えたり覚えることが沢山あるのがこのサインプレーです。
ということで攻撃時にはずっとサインが出ています。
打者にも走者にも常にサインが出ています。
そして、ベンチの仕事はサインを出すことです。
まあ、そういうことです。
次に、「ゲッツーの心配がなくなる」ですが、これはそのままです。ランナー1塁よりもランナー2塁の方がゲッツーの可能性は低くなります。
せっかく出したランナーがワンプレーでアウトになってしまうのは勿体無いですもんね。確かに。
精神安定剤的な側面が強そうです。
それでは、バントが損だとの立場から上記の理由を見ていきます。
「得点圏にランナーが進む価値」ですが、得点圏ってなんなのでしょうか。
まず野球は、ホームランを打てば1点入りますが、得点圏は関係ありません。ランナー1塁からツーベースを打てば1塁ランナーの走力が優れていれば点が入ります。
また、ランナー2塁からヒットが出ても前進守備によって阻まれるケースもあります。
野球のルールはランナーが2塁に居ないと点が入らないというルールではありません。"得点圏"ってなんですか??
得点圏に拘りが強い人が多過ぎます。
得点圏にランナーを送りたすぎて、アウトを取られる事を軽視しています。27個アウトを取られたら負けのゲームなのですが、簡単に相手にアウトをあげています。
それから精神安定剤的な部分。
やはり監督・コーチも人間ですから、ゲッツーでがっかりする球場の雰囲気を味わいたくありません。折角選手が出塁したのですから、失いたくない気持ちが強くなるでしょう。
確かに2個一気にアウトを取られるよりも、自らアウトを差し出した方が1個得をしている気分になります。
普通に打つことを強行と表現し、バントが決まれば「見事決めた」「堅実な作戦」「バント成功!(得点期待値減退!)」と言ってもらえるわけですから、当然っちゃ当然。
サインプレーですから、ベンチが仕事をしたことになります。
本塁打、安打、四死球の可能性を自ら捨て、アウトを一つ献上していながら、監督のメンタルは保たれるわけです。
しかしこれでは、ゲッツーを心配するあまり、大損しています。
得られる結果よりも失った結果の方が重く見えてしまう、というプロスペクト理論が影響しているのですが、難しい話ではなく「期待値下がってるぞ!」に尽きます。
スポーツは勝利に向けて可能性の高い選択を取る必要があります。
それから、野球は確率のスポーツです。
得点確率の低い選択を取る事はスポーツとして望ましくありません。
三割バッターにバントのサインを出すことは稀ですが、二割バッターには当たり前のようにサインが出ます。
でも結果だけで見れば二割バッターが確実にアウトになる作戦なわけです。
その二割を捨てて必ずバッターはアウトになります。
いや、もはや打者の打率なんて関係ありません。
数字がどうであれ、バントは絶対にアウトになる作戦ですから。
可能性を狭めるという事の重大さをもう少し認識して欲しいです。
相手に悟られないように常にサインは出し続けるわけですが、サインを出せそうなシーンに遭遇すると、むやみやたらにサインを出してしまう。
悪癖だと思いますが、そんな監督もいるのではないでしょうか。
「バントできそう・・・」「バントだ!!( ^ω^)」
ってことです。
「打てのサイン」があると聞きますが、全てをサインプレー化した結果、野球って何なんだという風になっている気がします。
サインをいくらだしても得点できませんし、試合にも勝てません。
もっと選手を信じて打たせて欲しいな、と思います。
メディアやファンの風当たりはやはりあって、私だってどれだけ理解していてもゲッツーを打った際のがっかり感は拭えません。
それでも「自由に打っても良い」とベンチがどっしりと構える野球界になって欲しいと思っています。
サインプレー偏重やバント攻勢を、誰かが止めなければこの先ずっとNPBはバント野球に終始します。
2015ヤクルトスワローズが川端慎吾を2番に置いて優勝してもなお、2番は繋ぎの役割との風潮が消えません。打率.336、195安打、OPS.822、犠打は僅かに2個。立派な二番強打者論が結果を出していても認識が球界全体で改まる事はありませんでした。
バントも同じで、地道に考えていかなければならないのでしょう。
野球は塁を進めるゲームではなく得点をするゲームです。
つまり進塁は目的ではなく手段の1つ。
プロの世界で生き抜くために今宮健太は犠打の技術を磨いてきたわけですが、これは出場機会を得るための手段でした。
しかしリーグ最多の犠打数を数え、通算でも400に迫る犠打を行ってきた事で、彼にはバントのイメージが付きました。
以前ネットで話題となった「柳田8人今宮1人問題」は、今年「近藤8人今宮1人問題」に姿を変えて蒸し返されています。
どれだけ打っていてもバントが上手いからサインを出されてしまうし、イメージが良いからバントを指示されてしまう。寂しいですね。
まとまりがなくなりましたのでこの辺で切り上げます。
書いててよくわからんなった。
バントに固執する理由はわからんまま。
「進塁せんかったらファンがうるさいんや!」ってことなら頑張って静かにします。
「期待値下がったぞ!」とか「なんでこいつにバントなんや!」とか言いません。静かにしてます。
だから、なんでもいいから点を入れてください。