ゲームで考える野球采配論④ー若手編ー
チームの成長に、若手の成長は欠かせない。古今東西どのチームスポーツも同じだろう。本稿では私が若手育成(主に打者)に関して思う事をつらつら書いていく。
若手育成論
一軍と二軍の連携が大事
二軍で結果を残し一軍に上がってきたのに、数試合結果が出なかっただけで二軍に送り返される例をよく目にする。私はこれを恋の駆け引きのようだと馬鹿らしく思うのだが、なぜ起こるのだろうか。
プロとして結果を求められる以上、計算が立つ無難な選手を起用しがちで将来性がわからない選手は起用しにくい。将来性がわからないからこそ大化けする可能性があるわけだが、目先の勝利を考えるとやりずらい。
今年の日本ハムファイターズのように、未来への投資としてのシーズン(いわゆる再建モード)を作る事が出来ればベストなのだが、そう簡単な話ではないだろうか。
MLBはコンテンダーと再建チームに分かれる節があって、タンキング問題は議論にはなるもののチームとしての動きは大変理解できる。スクラップ&ビルドで、チームも強くなっていくのだと思う。
日本ハムは中田、西川、大田、秋吉とコストカットしながらポジションに無理矢理穴を作ったが、NPBではなじみにくい動きだ。
2019ロッテにおいて、GMとしては角中勝也のFA宣言を引き留めることはせず、荻野と淺間のトレードも肯定的にとらえた。岡田幸文をスタメンから外して大胆な世代交代を図った。
このくらいの動きは現実世界でもやってみてほしいもの。阪神や巨人は何か圧力があるのかチーム構成のやり方に縛りがありそうだが、そんなことでは弱くなるばかり。
2016,17は数字を落としたが2018の成績は本来の角中。このレベルが抜けるわけだから、ロッテの若手にはチャンスが来ていたと考えられよう。
結果偉そうなことをいいながら既存の若手が使われた試合数は藤原35試合水沢9試合だったわけだが、姿勢としてはという話。
ようは、一軍に穴が開いた時に埋める選手が二軍から上がってくるのがあるべき姿。近年は一軍で使いながら育てる例も増えているが、二軍の上手い運用の仕方を考え続けてほしい。
打者について思うこと
一軍では二軍から上がってきた選手に対して、寄り添った采配をしていきたい。数打席で見切るのは言語道断として、大事なのは選手によって求められる特徴や能力があると理解した采配である。
三振が多いのは悪い事なのか?
代打からスタメンを勝ち取れる?(1-1と4-1)
二軍と違うことをさせない
まず、三振は悪い事か?。「ボールを前に飛ばせば何かが起こる」とは少年野球からずっと言われること。勿論それを否定するわけでもない。寧ろ現代野球ではやはり三振は悪い事とされている。
三振が取れる投手は良いし四球を選べる打者は良いとデータ上扱われるわけだから、当然の流れ。
ただ必要以上に三振を嫌う事はない。淺間は今季152三振したし、張志豪も112三振したが、選手の能力としての価値は変わらない。二人とも外野手 として欠かせない存在。
三振が多い選手はフリースインガーとして扱いにくいとされるが、安定感の無い打席を補えるほどの走力やパワーがあれば良いだけ。積極性と大型扇風機は隣り合わせで、どちらに転ぶかは実際シーズンを始めてみなければわからなかったりもする。
これを三振したという結果だけで早々に判断を下されては、二軍上がりの若手にとってたまったものではない。
次に代打からスタメンを勝ち取れるのか?という話。少々オカルトだが、選手によっては4打数1安打で結果を残す、いわゆる実践向き・スタメン向きの選手が存在する。勝負事なので甘い事は言えないが、それでも代打は難しいし、一試合に機会は多い方が望ましい。経験を積ませるためにもスタメンで若手は使うべきだ。
数試合で二軍に返される例はこの、代打出場によるものが大きいと思う。
三つ目は、二軍と違うことをさせない。
二軍において打ちまくり一軍の機会を得た選手に対して、一軍でバントをさせることがある。これは意味が分からない。旬が過ぎた選手で申し訳ないが、巨人の北村は果たしてバントをさせられる選手だったのか?北村もそうだし、増田陸もそうだが、二軍で大きく育てようとしていた選手をなぜ一軍で小さくしてしまうのだろうか。
チームスポーツである事を強く意識しすぎると自己犠牲の精神が生まれるのかもしれないが、二軍でやってないことを一軍で練習させられるのは理解が出来ない。
選手に対して球団が明確な育成計画を持っていないのではないか?選手が入団し、これからどのようにチームに貢献していってもらうのか、どのようなスケールの選手にしていきたいのか。本気で球団は考えているのだろうか。その辺りの分析が出来ているのか疑問に思うことは少なくないし、ネームバリューだけでコーチをやっている人材では育成は不可だろう。
データ偏重とまではいかなくとも、しっかり分析するべき場面はある。そういう点で不安で仕方がない。感覚だけで野球をやる時代は過ぎている。新しい理論やデータ野球に理解を示すことの出来る指導者が日本には必要だ。
200打席理論
三振率やBABIPというように選手の実力が簡易にわかるデータが多い時代に、200打席も使えというのはなかなかふざけているかもしれない。
私も何となくの感覚で言っているのだが、200打席使えば対戦相手も一周し対戦する投手のタイプも左右から変則まで一通り相対するのではないか、と考える。
難しいことは何もわからないけれども「ある程度の打席数を与えろ」というのがこの考えの理由。200打席与えるわけだから結構緩い考えのようで、200立って数字が残せていないのならダメだ、ということでもある。
様々な運の上振れ下振れを含めた試行回数の収束点がなんとなく200回ということを中学生のころに考えただけである。
200は少々多すぎるかな、と最近は思うので100打席理論にしてもいいか。切りのいい数字を書いているだけのようで、レギュラーの境を考えれば100前後が適正の可能性がある。
たとえレギュラーキャッチャーであっても、相性の関係や疲労を考慮するなどした場合、250くらいの打数で終わるシーズンがある。下位打線はそれだけ打数が稼ぎにくいポジションだ。なので200はレギュラー格と言って差支えがない。100にまで数を落とすと若手の起用も余裕をもって出来るかもしれない。20試合スタメンで使い続ければいい。下位打線で楽に打たせてみればいいと思う。
お試し枠という意味では新人王資格は60打席以内なので、そういう理由では50打席理論にしてもいいかもしれない。ちょっと少ないか。
ドラフトの話
将来性を考えるならばドラフトも重要事項。特に高卒ドラフトだ。社会人出を即戦力としてドラフトするのもいいが、能力が劇的に伸びるケースは少ない。高卒から社会人を経る最短ルートを通ったケース以外、年齢的にも伸びしろは少ない。
高卒は十年芽が出なくても28歳。まだ間に合う年齢である。これは高卒だけの特権である。球団も我慢のし甲斐があるし、計画的な育成が可能。
さて上の画像は2018オフに敢行したドラフト。高校生を二名指名した育成を目指したドラフトである。
以上の三人を指名。長内は図の通り見事な数字。大卒だけにこの結果は大きい。ドラフト三位の板垣は球威球速共に上げながら長期的な視野で育成していきたい。
丸山和史のお話
甲子園のスター(妄想)としてロッテに単独一位指名された逸材。
改めて成績を振り返ってみよう。
プロの壁に跳ね返された様子。打ったヒットは内野安打も含めてすべて単打。六月ごろにお試しで一軍に登録され、スタメン出場。中村奨吾を休ませるタイミングや好不調のタイミングを見て起用された。秋頃に二度目の一軍登録があったが、一軍では35打席。
一年目からレギュラークラスとなった長内とは違って、元々高卒一年目という事で戦力として考えてはいなかったので、第一段階はクリアといったところ。まだまだ時間はある。
正二塁手中村奨吾の存在
丸山がレギュラーを獲るためには、正三塁手の草野孝典か正二塁手の中村奨吾を押しのけるor衰えてきた時に勝ち取るの二択しかない。
外野は飽和状態になりかけているし、セカンドからショートにコンバートする例など見たこともない。この打力では一塁手としては厳しいし、今のポジションを極めるのが道だと思われる。
なので、中村奨吾選手について少し振り返ってみよう。
三年連続ゴールデングラブの本物。打率が安定しロッテを代表する選手となったのは現実と一緒。打席でも守備機会でも信頼が一番おける選手だ。
三番から六番をここ数年打っているが、二番に置くのもよさそうだ。いざ振り返ってみれば中村奨吾の優秀性がわかってきた。
丸山はこの中村を越える、もしくは並ぶ活躍が求められよう。なんだか鳥谷を越えられず消えていった内野手たちを思い浮かべてしまうようだが、年齢差は8つあるし、ドラフトとしては間違っていない。強いチームを維持するためにはこのくらいの年齢差で良い選手を使い続けることが必要。
オフシーズンからキャンプにかけて、選手の育成計画を見直しながらチームを作っていく。高卒野手のドラフト獲得は始めてのケースになったので、楽しみながらゲームをやっていきたいと思う。
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