ゲームで考える野球采配論⑧ープロスペクトー
Prospectとは「見込み」の意味があり、それが転じてスポーツ界では若手有望株の事を指す。
野球界で言えば、MLBではプロスペクトの重要性は既に知られていることから、ランキングが毎年発表されたりもする。
チーム運営は勿論シーズンのイベントにも影響を及ぼす「プロスペクト」という考え方について、ゲーム内のプロスぺクトランキングを作りながら考えたい。
プロスペクトについて
12月9日に行われ話題となったNPBの現役ドラフト。これはMLBのルール5ドラフトを参考にしたものとされる。ルール5ドラフトも同じような時期に、ウインターミーティング内で行われたようだ。
今年のルール5ドラフトに関しては以下のリンクから。
ただし、今回の記事に関係するリンクは以下の方。ルール5ドラフト前に球団が囲いたい有望株をロースターに入れていったという話だ。NPBのFA移籍に対する人的補償がこれに似ている部分。
この記事の中で、プロテクトされるべき選手が全員ロースター入りしたという旨の記述がある。チームが抱える有望株を把握しているのは当たり前とは思うが、やるべきことが出来ているのは素晴らしいと思う。
「マイナーの整備」という言葉も聞かれるようにMLBではプロスペクトの保有に対する意識は強い。将来のチームを支える存在を持っていることには越したことがないので当然ともいえるが、育てられる自信があるからこそでもある。
エンゼルスがプロスペクト保有ランキングで30球団中最下位となった事も今年は報道されたが、選手が不足しているということは、将来チームが強くなる姿も想像できない上にトレードの弾もない事となる。エンゼルスが弱いと評される訳には、こういったチーム全体の問題があるのだ。
プロスペクトの基準は?
さてプロスペクトを選出するためには基準が必要。ということでそれぞれ新人王資格基準を箇条書きしてみる。
上記に乗っ取った形でプロスペクトになり得る選手をゲーム内で選出してみた。
対象となる選手は104名。中には25歳、26歳の選手も含んだが、プロ年数が短い事を考慮にいれた。
プロ野球スピリッツというゲームの傾向として、オリジナル選手を簡単にクビにしないため、新人が入りにくい。ドラフト会議も二巡目、三巡目で終わる球団もゲームを進めれば出てくる。
使用しているゲームは2015年度版であるから、2020シーズンまでに5度のドラフト会議が行われているわけだけれども、既にプロスペクトの枠に入らなくなった選手を除いた数字だとしても104は少なかろう。
まあそうはいってもプロスペクトに人数は関係ない。MLBくらいの規模になればTOP100が出せるかもしれないが、NPBは球団の数もその半分。粛々とやっていけばいい。
こちらの記事では上位25名が発表されている。2020年の記事なので、改めて見てみると面白い。プロスペクトランキングというのは見返して面白いのが魅力でもある。
前振りが長くなったが、上位の条件において25名選考した。タイミングは2020シーズンの半分、六月終了時点とした。こうしておくと、四月から一軍で活躍している若手を除いた形のリストを作ることが可能。これからのシーズン後半、そして来年以降に出てくる戦力を予想するのが、プロスペクトランキングの意義だからである。
プロスペクトランキング番外編
まずは番外編として、プロスペクトランキングには入らないが将来が楽しみな選手、つまり年齢や実績等の条件にそぐわなかった選手を記していく。
一人目は、阪神が引き当てた神村。社会人出であることから即戦力が期待されたが、特能やスタミナの数値からも投球術を持ち合わせた投手。防御率の方は芳しくないが既に4勝。直球の威力でわかるがこのクラスの投手をドラフトで獲得するのは簡単な事ではない。91.1イニングは直に全ての基準から外れるので選外としたが、これからの阪神を背負うような選手となる。
二人目は中日の二年目清。今期は途中からクローザーの座を勝ち取った。実質一年目となる今年はいいスタートだ。150キロという数字はドラフトでポンポン出てくる値ではないので、特別な存在である。プロスピをやる人間ならわかることだが、こういった緩い変化球のないタイプはプレイヤーが扱うのは難しい。CPUが扱う形で中日の守護神となれるか。
プロスペクトを使う
最後によくわからないテーマで一つ。
プロスペクトの移籍が有り得ないNPBと違ってよく移籍するMLB。違う理由をダラダラと指摘しても仕方がないし、的確に指摘する自信もないので言わないけれども、2020シーズンにおいてゲーム上で成立させたトレードを一つ紹介する。
千葉ロッテが獲得したグリエルJRは以下の成績。
能力はあるが、出場機会に恵まれていなかったので外国人枠に余裕がある球団としてトレードを持ちかけた。2018レベルの成績が出ればいいトレードとなるだろうか。
ソフトバンクが得たパッケージはこちら。現在首位のロッテは打線の強化、五位のソフトバンクは来年以降も見据えた補強となったのかどうか。
二遊間が埋まっている千葉ロッテとしてはその素材を使ってトレードをしたかったところ。中後が安定しオフにトレード加入した田中健二朗が想像以上に活躍、藤岡を本格的に中継ぎに回すことを考えれば松永の出番は年々減ることが予想された。
現時点の戦力でいけば、松永とグリエルのトレードがメイン。ここに三木と脇本の両内野手を加えた形。三木はプロスペクトではないが内野を全て並みに守れる事はメリット。
そういうわけで、このトレードの是非は脇本の成長にかかっているとも言う。現実世界の脇本は2017オフに戦力外となったが、このペナントでは一軍戦力になりえる。
まだ成長期であることに加えて、身体能力は折り紙付きなので代走屋のポジションから一軍に貢献していけるか。
ロッテとしては出しすぎの感はあるが、脇本の放出が既定路線だったのでこんなところか、と思っている。
次の記事でプロスペクトランキングを書いていく。