ゲームで考える野球采配論②ー捕手編ー
投手編は長編だが以下に投稿済み。
捕手論
捕手は育成するのが難しい。打力を重視するのか守備力を重視するのか。何人体制で試合に挑むかも采配の一つ。
千葉ロッテマリーンズ・捕手成績
小湊晋一(21)
97試合 .228(290-66)12本26点0盗
.242 .434 .676(出塁率、長打率、OPS)
江村直也(27)
63試合 .242(132-32)0本2点0盗
.242 .326 .568
田村龍弘(25)
31試合 .235(51-12)1本5点0盗
.264 .353 .617
守備か打力か
上記のデータが示す通り、2019ロッテは打力で勝る小湊が一番起用された。
炭谷(西武)、吉田裕太(日本ハム)、伊藤(オリックス)、栗原(ソフトバンク)嶋・下妻(楽天)と守備規定に到達した、パリーグの捕手の中でも一番ホームランを打ち、OPSもトップ。
NPB全体で見ても捕手として12本塁打は最多。2016年オフのドラフト二巡目でプロ入りした高卒三年目。同期には二桁勝利を挙げた鶴井、伸び悩む先発中溝、今年ブレイクの兆しがあった水沢がいる。
本稿のテーマは打力か守備力かという話。投手によっての相性などは考慮できないので考えないし、リードの話もしないものとする。
そもそもリードというのは曖昧な概念が過ぎる。何が正解かという公式のようなものが存在せず、状況に左右される要素が多すぎる。「緩いボールでカウントを取って決め球は速い球」とか「内を攻めた後は外のスライダーに手が出やすい」とか野球ファンがわかるような定跡をプロがやっているわけがない(やってないよな・・・?)わけで、これは素人がどうこう言えるテーマじゃない。
NPBは捕手のリードにうるさいが、捕手の能力としてどのくらい重要なのか。贅沢を言えばそういった扇の要としての能力があるに越したことはないが、恐らく「リードに優れた」と言える選手は少数で、そのリードに応えられる投手もまた稀なのだと思う。
というわけで、守備能力に関しては盗塁阻止能力とブロッキング能力だけを見ていく。
このデータを見る限り、ブロッキング能力での差はなさそう。小湊に捕逸が2ついているが、97試合も出たらそういうこともある。目くじら立てることもない。
一方、盗塁阻止率.132はいただけない。この数字は十二球団で最低の数字。肩力は80と十分な数字まで引き上げたが、やはりスローイングの正確性と、捕ってからの速さに反映される「捕球」の能力がCに至っていないことが原因か。(というよりプロスピ2015はランナーに有利すぎる仕様だと思う)
田村と江村の阻止率を見る限り、そして実際に操作する感触としてもモロに捕球とスローイングの能力が結果に表れている。
チームとしての盗塁阻止率は.239(218-52)。実に166個の盗塁を許している計算である。そもそも盗塁を企図された回数が他十一球団と比べダブルスコアに多く、フリーパスすぎる。得点圏で打たれた安打が十二球団ダントツの495本であることからも投手が苦しいピッチングを強いられていたことがわかる。
ロッテが許した許盗塁率.761は他球団の盗塁成功率よりも高いのでこれはもうとんでもない事なのだ。(盗塁成功率.943とかいう驚異的な数字を残したジャレッド・ダイソンさんがいる阪神タイガースを除く) つまり盗塁阻止率.397の江村、.458の田村はチームにとって必要だ。打力では劣ってもここまで守備の差があれば間違いない。 2019は2018で99試合に出場した江村を差し置いて小湊を起用したが、得点力不足に悩む打線において小湊が貴重な存在だったからだ。2020も小湊が正捕手と決まっているとも思わないし、江村と田村も十分チャンスがあるシーズンとなる。
しかし、ここで言いたくなるのは「小湊のコンバートはない」という事。現実世界でも毎年のように打てる捕手がコンバートされていくが、それでは一向にキャッチャーは育たない。打てる選手をポジションから外していけば、結果打てない選手しか残らない。故に打線に一つ二つと穴が出てきてしまう。育成に我慢はつきもので球界のためにも打てる捕手育成はやっていかなければならない。
捕手は何人制がいいのか
チームにおける捕手の登録人数は三人が基本。五人も六人もいるチームもたまにはあるが、登録が捕手なだけであったり、非常事態であったりと通常考えられない。
三人目のキャッチャーというのは機会に恵まれず、実践感覚が養えない。それぞれベンチが頭を悩ませる所だろう。捕手は一般的に選手寿命が長いポジションだと言われるが、この第三捕手というポジションで長く生きるベテランは多いのだろう。経験を積ませたい若手がやるポジションではないし、緊急事態に対応してほしいのだ。
ただこのプロスピというゲーム、ほいほいと代打を出さないのであれば捕手は二人で十分なゲームである。というわけで画像にも出てくる、パワーのある寺嶋寛大、生き残りをかけて捕手も視野にいれた根元俊一、右投手にめっぽう強い金澤岳の三人は一軍に上がることはほぼ不可能となっている。
しかし、今年のドラフトで捕手の指名は十分考えられる状況。捕手育成のむずかしさがわかるというもの。
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