歯科医師の学びの場の選び方(セミナー・学会・スタディグループの違い)
歯科医師になると選択肢も正解もわからない治療を毎日続けていくことになります。
国家試験でいうと選択肢のないグレー問題が続くイメージです。
国試の勉強では決まった教科書に載っている内容を覚えればよかったのが臨床に出ると患者さんの要望、性能の違う同じ材料の商品、治療の難易度、保健治療のルールなど色んな壁にぶつかります。
治療法も毎日大量の論文が出て時代とともに治療法も移り変わっていきます。
時代に取り残されないためにも歯科医師は毎日勉強の繰り返しです。
独学でもある程度は学べばますが、
何から勉強したらいいかわからない
色んな考え方があってなにが正解かわからない
わかりやすく説明してほしい
などなど悩みも尽きず、モチベーションを保つのも大変です。
そのため“セミナー”や“学会”、“スタディグループ”に参加する先生がほとんどです。
今回は自分がどれがあっているのか、それぞれの違いと選ぶポイントを紹介していきます。
《セミナー》
一般の社会人でもよくある“セミナー”。
多いのが歯科関係の企業が有名な人を呼んでセミナーの場を設けるスタイルです。
単発で終われるので診療が忙しくても自分の予定に合わせやすいのが嬉しいポイント。
セミナーのメリット
単発で参加しやすい
取り扱う内容が幅広い
1日〜数日で終われる
セミナーのデメリット
まめに開催セミナーを調べないといけない
短期のため知り合いができにくい
企業の売り込みたい商品の話がメインになることがある
セミナーの特徴
セミナーは開業のイロハからピンポイントの治療方法まで色んな内容で開催されています。
色んなところで開催されているため興味のある内容のときだけ参加する形で十分だと思います。
初めてのときは不安だと思うので歯科医師の知り合いと一緒に参加する方が安心です。
0円で参加できるものから何十万もかかるものまでとても幅広いです。
いきなり開業医やベテラン歯科医師の集まるセミナーは話が難しい可能性が高いので、最初は若手歯科医師向けと記載されているものから参加するとわかりやすくおすすめ。
最近はweb開催もあるので家からでも受けやすいセミナーが増えています。
セミナーを探したい先生ははじめは歯科関連の企業で有名な”MORITA(モリタ)”や“YOSHIDA(ヨシダ)”が色んな場所で開催しているので下記のサイトを参考にしてみてください。
《 MORITA(モリタ)セミナー情報 》
《 YOSHIDA(ヨシダ)セミナー情報 》
《学会》
医療関係特有の”学会”
分野ごとに大きな学会があり一般診療でも保存学会、歯周病学会、歯内療法学会、補綴学会などなど多くの学会があります。
学会はそれぞれ専門分野の先生が全国から集まるため必要な知識が共有されます。
全国で共有しておきたい内容が知れるので知識の偏りがなく最新トピックスが知れて安心です。
学会のメリット
指導医や専門医、認定医などの肩書きが得られる
全国的に共有した知識が得られる
規模が大きいので色んな企業や発表が知れる
学会のデメリット
基準に満たしていない医院に勤めていると専門医等が得られない
規模が大きすぎて個人的な質問がしにくい
学べる内容が学会の専門内容のみ
学会の特徴
学会ごとに1回/年〜1回/数ヶ月くらいの頻度で1〜3日間、全国の学会会員が集まって開催されます。
色んな先生による講演会はもちろん企業の歯科材料の紹介ブースや実技を学ぶセミナーまで企画内容が多彩です。
学会で有名なのが指導医・専門医・認定医。
これらは学会ごとに定められた基準を満たすことで認められて、学会のHPにも記載されるため自分を売り込むことができます。
満遍なく学びたい人よりも専門的な内容を深く学びたい人におすすめです。
大学病院勤務のほとんどが何かしらの学会に所属しており、研究をしてる場合は重要な発表の場となります。
一般の歯科医院でも学会認定の歯科医院であれば専門医等が取得できますが、それ以外の歯科医院では学会自体には参加できますが専門医等は取得できないので注意しましょう。
学会は年会費と学会参加費でそれぞれ数千円〜数万円かかることが多いです。
《スタディグループ》
スタディグループは小規模のものが多いですが、医院ごと参加してるような大規模のものまであります。
専門内容だけを取り扱うものから広い内容を扱うもの、知り合い同士が集まるものから幅広い会員が存在するものまで多種多様です。
スタディグループのメリット
人数が少ないので繋がりができやすい
メインの先生が中心になって診療方針が定まっている傾向
若手でも発表する機会ができやすい
スタディグループのデメリット
繋がりが強いため他の勉強がしにくいことも
まめに自分が発表する場が回ってきて忙しい
知識が偏りやすい
スタディグループの特徴
自分も人前で発表したい人やスタディグループに憧れの先生がいる場合おすすめです。
スタディグループによっては治療のことから開業のイロハまで面倒を見てくれるものもあります。
また勤務場所によっては歯科衛生士さんたちも含めて歯科医院全体で決まったスタディグループに所属していることもあります。
スタディグループによってピンキリですが数千円〜100万単位でかかるものまで様々です。
勤務している医院と治療方針が異なっている場合、せっかく学んでも実践できないことがあるので注意しましょう。
多くは勤務先の医院の先生から話がくることが多いので、周りの先生に参加してるスタディグループがあるか聞いておくのがおすすめです。
《まとめ》
いかがでしたでしょうか。
周りの先生に話を聞いてから決めても遅くありませんので、じっくり自分に合った学びの場を見つけてください。
若手歯科医師向けのセミナーを受けてから気になる分野の学会やスタディグループに参加してもいいと思いますし、先に学会やスタディグループに所属してからプラスで学びたい内容をセミナーで補うのもいいと思います。
歯科医師人生はこれからが長いので、色んなことに興味を持って“自分の治療”を作り上げてください。