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シャニマスのオタクだけど異次元フェスに行ってもいいか?
ちょうどラブライブサンシャイン1期が放映していた時、こんな会話を誰かとした覚えがある。
僕「ラブライブとアイマスって同じバンナムのコンテンツだし、一緒に合同ライブとかしたらいいんじゃない?」
オタク「できるかもしんないけど、アイマスPとラブライバーは猿同士仲悪いから絶対喧嘩になるだろ」
僕「それもそうか……………………」
オタクは仲が悪い。
当時、僕はアイマスへの興味もそこそこにラブライブのアニメおもしれ~~とか言いながら高坂穂乃果と矢澤にこの奇行に憧れてアルバイトを1ヶ月で辞めたりしていたのだが、確かに周囲のオタクでもアイマスとラブライブ両方を網羅している人間は殆どいなかったように思う。
そんな日からもう7年以上の月日を経た2023年、すっかり大人になった僕の元に流れ込んできた異次元フェスの報せに対し、正直こう思っていた。
「わりぃけど、2023年のシャニマスライブは滅茶苦茶凄いんだが?」
そう、2023年のシャニマスのライブは申し訳ないが滅茶苦茶凄い。
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2月のアイドルマスター合同ライブで最新参戦ブランドとして大きな爪痕を残し、アニメ化も発表された3月の5thライブでは突然わけわからんプロダクション解散ifストーリーを演出し、7月のソロライブではなぜか作中に存在しなかった組み合わせのカップリングを押し出し始め、10月に開催された5.5thライブでは初参戦のコメティックの圧倒的なパフォーマンスで開幕からオタクをブチのめし、最早やりたい放題のライブまみれな1年だったのだ。
なんならこの時の僕は「ラブライブさん、シャニマスの凄さにちょっと驚いちゃうんじゃないの?」ぐらい調子乗ったことを考えていた。オタクのくせに調子に乗るな。
話を本題に戻そう。
ともあれラブライブのアニメは全部リアルタイムで追っているけどライブやゲームは追えてない、そんなどこにでもいるカジュアルなオタクから見てもやはりアイマスとラブライブの歌合戦と謳われた異次元フェスの存在はそれなりに魅力的に映っており、2日間とも現地のチケットを友人が取ってくれたおかげで僕はなんだかんだノリノリであった。
川柳の募集を始めるまでは。
🌟川柳部門
— 異次元フェス アイドルマスター⭐❤️ラブライブ!歌合戦 (@ijigenfes) November 10, 2023
『アイドルライブ経験談』
『アイマス良いトコ川柳』
『ラブライブ!良いトコ川柳』
以上3つのいずれかをテーマに川柳を制作し、
#異次元川柳投稿フェス
をつけてXに投稿してください!(3/4)#異次元フェス #アイラブ歌合戦 #idolmaster #lovelive
つ、つまんなそ~~~~~!!!!!!
なんで金払ってライブに行ってまでオタクの書いた川柳を見せられなきゃいけないんだろう…………
本当に大丈夫か、異次元フェス?
この先輩たち、とんでもないかもしれん
そんな僕の身体に異変が起きたのは、Day1開幕のイントロだった。
こ、この曲は……!?!?!?
身体が覚えている、身体が知っている、身体が昔を取り戻していく……!!!
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言い忘れていたが、僕はアニメ放送当時ラブライブサンシャインがかなり好きだった。なんなら自分で初めて買ったアニメのBDはこのラブライブサンシャインなぐらいだ。
だから当然、知っている。
青空Jumping Heartという曲がどれだけ素晴らしいかを。
周囲の最初からクライマックスな歓声と共に僕の鈍った身体がミシミシと音を立て、すっかりプロデューサー面だった顔もいつしか野生に帰る時の面持ちへと変化し始めた。
そうだ、Aqoursって滅茶苦茶すっごく……カッコいいんだった!!!
どうしてそんなことも忘れていたのだろう。
……いや、正確には忘れていたわけじゃない。ただ当時なんとなくアニメを見て知った気になっていただけだ。
まず、2階席の遠目から見ても明らかに動きのキレが違う。筋肉量も違う。
センターの伊波杏樹さんの筋肉、ヤバかったよな?
どれぐらいヤバかったかというと、最早ジェントルメン中村先生の漫画のキャラみたいだった。僕はこの人に顔ぶん殴られたらそのまま漫画みたいに気絶すると思う。
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そしてこのムキムキの人たちが一挙手一投足全てをモニターに映っているアニメ映像と同じ動きに合わせている光景、あまりにも異次元すぎるだろ。
この先輩たち、とんでもねえ。
加えて言えば、僕はAqoursの演者には一人とても思い入れ深い人がいる。
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そう、あのメイン脚本小林靖子で有名な超絶面白特撮番組こと『特命戦隊ゴーバスターズ』にも出演していた黒澤ダイヤ役の小宮有紗さんだ。
ニチアサのオタクは番組の演者に対して親戚ヅラし始めることで有名だが、敢えてクソ親戚ヅラしたことを言わせてほしい。
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いくらなんでも美人になりすぎだろ……
女性というのは少し会わない内にすぐ綺麗になるものだが、小宮有紗さんの場合はSNSできちんと最近の写真を見ていたにも関わらず現地の方が綺麗だったのでもうわけがわからなくなってしまった。
なんなんだよこれ、青春か?
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のことが、好きや
Aqoursのライブで完全に“勘”を取り戻した僕には、もう一つ向き合うべきラブライブのコンテンツがあった。
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そう、女の子たちの感情によって背景のユニコーンガンダムが変形することで有名なアニメ、『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』だ。
ここでこのアニメが好きなオタクが言いそうなことを躊躇いなく言わせてもらうが、僕はこのアニメの第6話「笑顔のカタチ(,,>▽<,,)」がとてつもなく好きだ。
詳細を知らないオタクには後で絶対に(絶対に)虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会第6話を観ていただくとして、僕はこの回で描かれた天王寺璃奈さんの他者と同じように笑うことができないコンプレックスからなる他人と自分の比較、そこからスクールアイドルを通して他人と繋がるためにコミュニケーションという世界へ初めて自分で飛び込んでいく彼女の勇姿、それを応援する仲間たちの微笑ましい絆、その全てが大好きだ(この好みはシャニマスにも大きく通ずる部分がある)。
そして当然ながら、この回で披露された天王寺璃奈さんの「ツナガルコネクト」という曲がもう、ハチャメチャに好きなのだ。
だからDay1の途中で上原歩夢の「Dream with You」が先陣を切って披露された瞬間、僕の中で既に勝利のBGMが流れ始めていた。
そして、その時はすぐに訪れた。
ア……アッ………………
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ギャアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!!!!!
もう変形しそうになる自分を抑えられなかった。
もし僕がバナージ・リンクスだったらこの瞬間東京ドームの天井を突き破ってユニコーンガンダムが現れていたはずなので、僕がバナージ・リンクスでなかったことに異次元フェス運営は感謝してほしいところだ。
ありがとう、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の皆さん。
Liella!の人たちが迫ってくる
ところで、僕はインターネットの風習としてたまに見かける声優さんのお顔に対してとやかく言う文化について、基本的にはあまりよくない文化だと思っている。
あの人たちは基本的には己の声優さんとしての技量を買われて(顔の可愛さは勿論含まれてはいるのだろうけども)あの世界に立っているわけであり、そこに一般オタクが顔がどうのとか言うのは全くもって的外れも甚だしいと思うわけだ。
だから、Liella!の皆さんが出てきた時もこう思っていた。
「ふぅ~ん、いいパフォーマンスじゃ────────」
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う、うわああああああああああああああッッ!!!!!!!!!!!
あ、あ…………………
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か、か……顔が……良すぎるだろうが……ッッ!!!!!!!
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ちなみに実際に観た人間ならわかると思うが、顔が良いだけでなくパフォーマンスもとんでもない。えっ、人造人間?
Liella!の皆さんがパフォーマンスしている間、「僕がチェンソーマンのデンジだったらもう好きになってたかもな……」と思うことでどうにか自我を保っていた。
ちなみに当日最も衝撃を受けたスーパースターの楽曲はDancing Raspberry。
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いや、顔が良すぎるだろ。なんだよこれ、ふざけるなよ。
曲が強すぎ、蓮ノ空
なんだか知らんが、今年始まったラブライブの新ブランドもあるらしい。
ふぅ~ん、どれどれ……
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うおっ、顔強っ!!!!!!
うおっ、曲強っ!!!!!!
……仕方ない、YouTubeでストーリーを少し見てみるか……
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うおっ、村野さん……!
……そうだ、中学生の時村野さやかさんに朝の読書タイムで読んでいる本の話を一緒にしたじゃないか……あんなに優しくしてもらったことをどうして今まで忘れていたんだろう……僕はなんてバカなんだ……!
………………………………
そういえば、気になっていた夕霧綴理先輩はどんな人なんだろう…………
…………………………
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ワッ……!
「安全バーは君の腕 ぎゅっと握りしめた」……ってコト!?!?
アイマス、やったな?
……ラブライブは本当に強かった。
そもそも冷静に考えてみればわかることなのだが、コンテンツの規模もファン数もラブライブの方が大きいわけで、どっちかというとラブライブさんの胸を借りてアイマスがステージに立たせてもらうぐらいの立場だったのではないか……?というようなことも思った。
……それでも、終わった時に「やっぱりラブライブの方が凄かったね」で終わりたくはない。
そんな不安と心配が、客席にいた僕の中には生まれ始めていた。
だからこそ、「今回のライブはぜ~んぶバカのセトリにしちゃいま~~す!!!!!」って姿勢を見せつけてくれたアイマスの曲を紹介しよう。
・無重力シャトル
ゆずの北川悠仁さん、Wiennersの玉屋2060%さん、最高の曲をありがとう。
・FairyTaleじゃいられない
ミリオンはこれ毎回やってくれ。
・無自覚アプリオリ
センターでがなり歌声を利かせていたのは斑鳩ルカ役の川口莉奈さんです。これだけでも覚えていってください。
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アイマスはアイマスで、18年という歴史が紡いできた楽曲の圧倒的なバラエティで黙らせるという手法に出る。オタクは涙する。やってる。
その中でも今回、ミリオンライブはブランド外のオタクから見ても本当に頑張っていたと思うし、確実に爪痕を残していたように感じる。
・Rat A Tat!!!
現在アニメ放映中のOP「Rat A Tat!!!」。歴代ラブライブシリーズに演出で携わっていることで有名な綿田慎也監督が手掛ける、マジで本当の本当に面白いアニメ。
・ハーモニクス
この曲初めて聴いたけどカッコ良すぎワロタ。
そして、最も話題を呼んだコイツ。
「ジャングル☆パーティー」、お前が優勝だ。
僕はこの曲に出会い、今までの自分がただ二本足で歩き人間の言葉を介するだけの未熟な猿だったということを理解した。
この曲を当日まで知らなかったオタクは(僕も含め)会場に多く存在しただろう。
それでもこの自然のビートが、演者の歌声が、オタクのコールが、東京ドームと自分自身を塗り替えていく。
その時、自分の推しを応援するためだけではなく、この異次元フェスというライブそのもののために、会場の熱気が一体となっていくのを僕は感じた。
そうだ、オタクは楽曲のため、演者のため、ライブの成功のためにコールをできる生き物なんだ。
オタクよ、ゴリラになれ。互いにケンカを繰り返す猿ではなく、他者に慈しみと愛情を持てるゴリラに。
こうして、東京ドームはジャングルとなった。
オタク、お前は死ぬ
異次元フェスに参加したオタクは途中から気付き始める。
歌合戦と言いながらも銃口はラブライブとアイマスではなく客席にいたオタクに向けられているのではないか、ということに。
異次元フェスでは越境楽曲の披露があるということは事前に聞かされていたし、勿論僕自身も楽しみだった。
だが楽曲披露も10曲を超えた辺りで一向に越境の気配がなく、「これはラスト付近まで取っておくつもりだな……?」とオタクは勘ぐる。
しかし、これは運営が仕組んだ巧妙な罠だった。
「Let's Sail Away!!!」でシンデレラ、Aqours、蓮ノ空からの3人が現れ、「WE WILL!!」でニジガク、ミリオンライブ、Liella!、シャイニーカラーズからの4人が姿を見せた時、オタクは確信する。
「無料配信の50分が終わり、ここからが本当の”異次元”になるのだ」ということを。
ほんの一部だが、オタクを絶対に殺す越境楽曲を紹介しよう。
・Guilty Night, Guilty Kiss!
は?なんやこれ、気持ち良すぎるやろ。
あと意外とこういうノリノリポップな感じを今まで歌っていなかった田中摩美々さんをこの楽曲に配備した人、ギルティ賞です。
・Tulip
くぼたみゆさんがTulipをうたっていて、とってもかわいかったです。
・虹色Passions!
個人的な感覚の話になるが、シャニマスと対になるラブライブのブランドは何かと聞かれたら、間を置かずに虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会と答えると思う。
それは時期的な部分もあれば、二作品とも「虹」「空」といったキーワードが共通している点もある。
そんな中でこの虹色Passions!を櫻木真乃さんが歌っているという事実が、僕はたまらなく嬉しかった。
頑張っているスクールアイドルの背中を押して寄り添おうとするが故に客席にいる高咲侑さんと、同じユニットのメンバーや同僚の隣で寄り添おうとするが故に283プロのセンターである櫻木真乃さんは、立っている場所の違いはあれど彼女たちの眼差す先にあるものはきっと似ていると、僕は思わずにいられない。
だからこそ、この夢の越境虹色Passions!の光景が、今でも僕の瞼に焼き付いて離れないのだと思う。
・キャットスクワッド
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コラ~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!
この人たち萌え萌え独占禁止法に抵触しています!!!!!!!!!
キャットスクワッドは僕の大好きな放課後クライマックスガールズの皆さんが歌う楽曲なのだが、今回は有栖川夏葉さん以外全部異次元からの参戦である。
この一つ前に披露された「Happy Nyan! Days」での越境も大概で、どちらも「こういう攻め方したらオタクは喜ぶでしょ?」という姿勢が透けて見えるいやらしいセットリストだったと言わざるをえない。
えっ、こういうのがお前は好きなのかって?
勿論好きなんだが?
究極の歌合戦をお前は見たか?
「究極」とは、goo辞書曰く以下の意味であるらしい。
物事をつきつめ、きわめること。また、その最後の到達点。究竟。
いや究極って、そんなんどうやって表現するんだよ?
・Dye the sky.
Dye the sky.なら仕方ないか………………
はい、Dye the sky.の弟です。真実をお話します。
この曲はシャニマス全体曲の中でも屈指の人気曲であり、近年のライブでは必ずと言っていいほど擦られている一曲。
そのため、シャニマスのライブに行き過ぎたオタクからは「この曲やり過ぎだから他の事務所とかにも分けてあげた方がいいっすよ(笑)」みたいな物言いをされることもしばしばあるのだが、今回は突然大量の別ブランドアイドルの手に渡ってしまった。
シャニマスでは「翼」や「空」をモチーフとした周年曲が多い中、Dye the sky.はその曲名の通り「空を染める」という形で他にない「限界を超えるために自分の色を変えてしまえ」と自分自身を突き詰めた強いメッセージ性を打ち出しており、まさしくシャニマスから「究極」を選出するなら他にないと言っていいだろう。
あと楽曲の後半でラブライブ組が合流してきた瞬間意識が真っ白になってしまい、自分の妄想と区別がつかなくなってしまったけれどアーカイブで確認したらちゃんと合流していてもう一度ひっくり返ってしまった。
・フォーチュンムービー
おいおい蓮ノ空さんの強い曲が……………………
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えっ、この曲に小宮果穂さんと芹沢あさひさんが!?!?!?!?!?
あの小宮果穂さんと芹沢あさひさんが!?!?!?!?!?
う、うわああああああああああああああッッッ!!!!!!!
ここでシャニマスのオタクがなぜ騒ぎ出したか解説させていただこう。
小宮果穂さん(12歳)と芹沢あさひさん(14歳)は283プロでの最年少アイドルであり、同時にそれぞれ唯一の小学生・中学生でもあるためシャニマス内でも所属ユニットが違うにも関わらず共に行動することが多く、オタクからは根強い人気を誇るコンビなのである。
当然ながら現地でこの曲に遭遇した瞬間、僕の頭には二人の思い出が走馬灯のように駆け抜けていく。
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そして何より、シャニマスでこの二人が組んで一緒に歌うことが今までなかったが故に僕は涙した。最年少組の二人が将来を想像して共に歌うことが、そんなことがあっていいのか。
そう、あっていい。いや、あるべきだ。
なぜなら、これはスクールアイドルと共に描く究極の歌合戦なのだから。
小宮果穂さんと芹沢あさひさんにこの曲を歌わせてくれてありがとう、異次元フェス。ありがとう、蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブさん。
…………ということを会場にいた当時の僕は思っていたし、それ以外のことは何も考えられなかった。
それぐらい小宮果穂さんと芹沢あさひさんが並んで一緒に歌っているという状態が稀有で、この上なく幸福な時間だった。
だが今は違う。
蓮ノ空さんに少しだけ触れた今、僕もほんの僅かだがこのフォーチュンムービーに込められた意味合いを感じ取れる気がする。
さて、アーカイブでもう一度フォーチュンムービーを見返すか……
「ヒーローもいいけど、ヒロインもいいですよね!あたしの運命の人はどこにいるんでしょうか~~!!」
「ちょっと、あっち側に行ってみよっか!」
「「ストップストップ!!」」
「はいは~い、私の運命の人は、高評価とチャンネル登録よろしくですのー!」
「どこまでも抜かりない、流石私の姉者です!」
「今日は素敵な出会いがたーっくさん!忘れられない日になりそうですね!」
「もう皆さん、そろそろ気付いていますよね?」
「交わるはずのない8人、交わるはずのない皆様」
「そっか!私たちみ~んなが────────」
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「「「「「「「「運命の人!」」」」」」」」
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無量空処って、この異次元フェスのことらしいです。
・Tracing Defender
シャニマスのオタクはね、薄々思ってたよ。あの最高のWandering Dream Chaserを見せつけたストレイライトの楽曲がこのハレの舞台で一曲なわけないって。
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っていやメンツ凄ッッッ!!!!!!
ゴールデンカムイの樺太編ぐらい圧のあるパーティメンバーが突然やってきたが、そのセンターを張るのは我らがストレイライトの和泉愛依。
この強すぎるメンツの中でなお、センター和泉愛依のパフォーマンスは衆目を確実に惹きつけたのではないか、と身内贔屓ながら思ってしまう。
それぐらいに、鬼気迫る一曲だった。
これはシャニマス内でも描かれていることなので言ってしまうが、今回堂々とセンターを張った和泉愛依さんは、他のメンバーである芹沢あさひさんと黛冬優子さんよりも後ろを歩いているという描写がなされている。
彼女は優しいが故に、いつも先に走ってゆく二人を追いかけている。
そんな彼女が、この大舞台のストレイライト楽曲で越境という最高のステージでセンターを任されている。和泉愛依という人間がそこに至るまでのドラマが、今年になってシャニマス内で描かれた上でだ。
そう、2023年のストレイライトは凄い。まずなんか絵が上手すぎるバトル漫画みたいなストレイライト主役のコミカライズが始まった。
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そして前述の和泉愛依さんの物語に加え、先日開催された「歴代ストレイライトで最高のイベントでは」との声も上がっているWintermute,dawnの存在も大きい。
これまで、ストレイライトはどんなに姿を変えても先陣を切るのは芹沢あさひさんだった。彼女の爆発的な興味・関心というエンジンがあってこそ、ストレイライトだとされてきた。
だが、そのエンジンは有限なのかもしれない。
ストレイライトにも、変わるべき時が来たのかもしれない。
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それを踏まえた上で、この2枚のスチルを貼っておきたい。
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2023年のストレイライトは、マジで凄い。
繚乱!歌合戦
ついに来た、これに触れる時が。
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まず先に言っておきたいが、僕はこの曲は絶対やるだろうなと思ったし、リリース当時「アニメのEDのB面がこんな変な曲なことある!?!?」と叫んでいた。
ついでに言うと「変幻自在のセクシー姉さん 熟した果林は?刺激的ー! 夢への道は間違えない 眩しい瞳でメーロメロ」って歌詞を歌わされている時の朝香果林先輩は一体どんな気持ちなんだろうってずっと思っている。
でもさ、歌詞が完全新規で付いてくるとは思わないじゃん。
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当日の僕は頭がおかしくなっていたためありえん声量で叫んでいたことしか覚えていないが、それでも八宮めぐるさんと黛冬優子さんのパフォーマンスが最高だったことは身体に刻み込まれているので今でも繚乱!ビクトリーロードを聞く度に思い出している。
シャニマス組の繚乱がよかったのは言うには及ばずだが、それ以外だと個人的には本田未央ちゃん15歳さんの口上にグッときてしまった。
「夜空の星に願いを込めて」って、もっとこう雰囲気がふんわりしたキャラとかクールなキャラが言いがちなセリフだと思うのだけれど(乙宗梢)、それを本田未央というアイドルが自ら歌い上げるのがとにかくカッコいい。
Day2は実質的にニュージェネレーションズの流れ星キセキから始まっているというのもあり、本田未央の紹介が意外でありつつもスッと入ってくる構成だったと思う。
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いやごめん、やっぱり黛冬優子の口上についてだけは話していいか?
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黛冬優子は可愛いものが大好きで、表向きはぶりぶりの猫被り……というのはもう既にインターネットで知れ渡っている情報だと思うのだが、肝心なのはそこだけではない。
確かに冬優子は性格が悪いし脚も太い。多分アンチスレでは黛ではなく代黒って呼ばれてる。でも、それもまた彼女の一面的な姿だ。
黛冬優子は常に「そうあろう」とする人だと僕は思う。
性根は性格の悪い部分を抱えているかもしれない。自分の過去にコンプレックスを持っているかもしれない。
それでも黛冬優子は(例え内なる性格の悪い自分が否定したとしても)この世の善性が報われてほしいと思っているし、自分が可愛いと思うものを信じているから可愛い「ふゆ」としてこの社会を生きている。
だから、「二面性」や「ギャップ」といったわかりやすい言葉で黛冬優子を外から眺めるのではなく、「ふゆ」として繚乱!ビクトリーロードの口上を歌い上げてくれたことが僕は本当に、心の底から嬉しかった。
あの東京ドームがはちきれんばかりの歓声が鳴り響いた時、全員ではないにしても「ふゆ」が祝福されているような気がして僕は少し……泣いた。
そして、泣きながらコットンキャンディえいえいおー!でコールを叫び続けていた。
いやなんなんこれ?
ラブライブで最もバズっている曲だというが、確かに凄まじい。
ライブというのは心・技・体全てを込めてオタクを殴りつけるイベントだと思っているが、その全てに大幅なバフをかけている謎のMVが東京ドームのクソデカいモニターに映されてなんだかもう得点が完全にオーバーフローしている、そういう人間の限界に挑まされている気持ちになった。
でもバズるべくしてバズったということにも納得がいく楽曲であり、正直これを東京ドームで歌いきれる黒澤ルビィ役の降幡愛さんにはリスペクトが止まらなくなっている。だってここまでいくとカッコいいんだもん。
異次元フェスが終わった後、自宅で最も再生している楽曲がコットンキャンディえいえいおー!になったが未だにMVの真意を掴めている気はしない。
いつか掴める日が来るのだろうか………………
神話
書くことがありすぎて一番最後になってしまったが、やはり異次元フェスに行ったからには触れざるをえない曲が4つある。
・READY!!
この曲が流れた瞬間、オタクたちの中で”何か”が破れた音がした。
この最終盤でのルールブレイク。
そう、誰も異次元フェスでは765ASやμ'sの曲をやらないとは言っていないのである。
オタクたちは踊らされている、異次元フェス運営に。
・僕らは今のなかで
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どれだけ歴戦のオタクでも、この曲が流れた瞬間だけは不死身の杉本みたいになっていたと思う。少なくとも僕の周囲はそうだった。
・Snow halation
ただ、いくらなんでもSnow halationを披露するとは思わなかった。
ライブに限った話ではないだろうが、時としてオタクの間では”聖域”になってしまう存在がある。その人たち(時にはコンテンツを動かす側すらも)の中で神の域に達してしまい、誰も触れられなくなってしまう”何か”のことだ。
僕は(外様のオタクがこんなことを言うのは申し訳ないが)ラブライブにおけるそれは「Snow halation」と「SUNNY DAY SONG」だと思っていた。
無理もない。だってあの「ラブライブ!The School Idol Movie」や「ラブライブ! μ's Final LoveLive!〜μ'sic Forever♪♪♪♪♪♪♪♪♪〜」を観たらそりゃそうなってもおかしくはない。
だからこそ、今回アイドルマスター側にSnow halationを渡して東京ドームにおけるある種の神話となったあの光景を再誕させたことでその聖域から解き放つことになったのかもしれないと自分は思うし、それが良い方向に進むことを一オタクとして祈ることしかできない。
まさしく、神に祈る心地だ。
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・M@STERPIECE
ならアイマス側はM@STERPIECEしかないだろ。
この曲も僕がシャニマスにハマる前あたりまでは凄まじい聖域化が進んでいたと噂に聞いているが、最近は2月に行われたアイマス全ブランド合同ライブでも使用され、いよいよ聖域から離脱を果たしたのではないだろうかと勝手に思っている。
ところで、アイマスとラブライブの対照的な比較として挙げられがちな「ずっとアイドル」「スクールアイドルには終わりがある」の部分だが、僕はこの二つは決して相反するものではないと思っている。
M@STERPIECEの歌詞にある「NEVER END IDOL」とは、決して「ずっとアイドルでいよう」というだけの意味ではない。
この曲は終始「夢を追いかけて走る者全てがアイドルであり、それはずっと、いつでも、歩み始めてよいものだ」と歌っているのではないかと僕は思うし、逆に言えばそれはアイドルという概念からの脱却を目指しているとも言える。
勿論アイマス側でだって「アイドルが終わる時」の話はしているし、逆にラブライブ側でだって「いつまでも夢を見てもいいんじゃないか」と語る作品があるはずだ。
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だからこそ敢えて言いたい。
ラブライブがM@STERPIECEを歌ってくれて、僕は嬉しかった。
オタクは仲が悪いのか?
オタクは仲が悪い。
すぐに喧嘩腰になるような奴はそこらじゅうにいるし、そういう奴らを上から目線で煽りたがる奴もいる。
でも、それだけで結論を出すのはやめるべきだ、間違いなく。
Day1でアルストロメリアさんが歌ってたよな?「ニヒリズムもペシミズムも退屈がテンプレ」って。
異次元フェスDay2打ち上げ中のことだった。
タバコの臭いが充満する水道橋のやっすい飲み屋でオタクたちと酒を飲み、今日のライブがよかったことを口々に語り合っていく。
そんな中で隣のテーブルのラブライブの話で盛り上がっていた(中国語らしき外国語で話していた)オタク集団が帰り際に立ち上がり、僕らのテーブルにやってきた。
「今日のライブ本当に楽しかったです!アイマスも最高です!」
と、日本人から聞いてもかなり上手い日本語で挨拶し、握手を交わし、蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブさんのMix shake!!を歌いながら「はい乾杯!」を申し込んできた。
思い返せばその場にいた全員がアホだったと思う。
でも隣のテーブルにいたオタクたちがどんな思いでこの日東京ドームに集まって、どんな思いでラブライブを好きになって、どんな思いでアイマスの話ばっかしてるテーブルの僕らに話しかけたかと考えると、僕はそれを否定したくはなかった。
正直言って僕は性格が悪い。
僕はファン活動というものが実のところ苦手だ。同じものが好きだからってだけで他人と仲良くなれるわけではないし、ラブライバーとかアイマスPみたいなファン呼称も使いたいとは思わない。
だから本当はオタク同士で互いを褒め合って仲良くみたいな光景がずっと続くわけがないと思っているし、僕がこうして熱心に話しているシャニマスも外部のオタクから「触ってみたけど全然面白くなかったわ!」みたいに言われるんじゃないかと常々思っている。
ただ、それでもこの異次元フェスで全然知らないオタクから幾度となく「ありがとう」という言葉を貰った。
僕はただの性根の捻くれたオタクで、ちょっとシャニマスが好きなだけで、たまたま異次元フェスの現地チケットを手に入れただけの成人男性だ。
それでも、全然知らないオタクから「無自覚アプリオリありがとう」と言われるだけでなんだか嬉しい気持ちになったし、こっちも「無敵級ビリーバーありがとう」って言うだけでなんだか楽しい気分になれた。
僕は性根がひん曲がっているから特にそう思うのかもしれないが、他人に感謝の気持ちを伝えるのは簡単なようで難しい。
感謝の気持ちが自分の中に芽生えても、それは些細なことで忘れたり、傷ついたり、踏みつけられたりして、いつの間にかいなくなってしまう。
だからこそ、今回の異次元フェスのように物凄い物量と熱量でオタクの間に感謝の火が灯ったことを僕は心の底から偉大なことだと思うし、それを他人に伝えられるオタクはもっと凄いと思っている。
僕は僕なりに、この芽生えた儚い感謝の気持ちを込めたくて記事を書いた。
あともうしばらくは、この贅沢な気持ちを大事にしたいと思う。
最後に、世界平和を願って異次元フェスで特に好きになった他ブランドの楽曲を紹介して終わろう。
ミリオンライブより、「Thank You!」。
あのあまりに面白すぎることで有名なアニメミリオンライブでも印象的な使われ方をした一曲で、言うまでもなく僕も大好きな曲だ。
この曲をシャイニーカラーズの面々が歌ってくれたことも含め、より強く印象に残っている。ありがサンキュー。
スーパースターより、「Day1」。
最初はDay2にやんのかよ!!!と騒いでいたが、この異次元フェスDay2の歴史的なシーンを思い返せばまさしくこの日が「いつだって思い立ったらその日が始まりのDay1」なのかもしれない。
蓮ノ空より「On your mark」。
言い忘れてたけどこの曲も強すぎます、どんだけあんだよ。
蓮ノ空さんの物語は今8話まで観たので、もう少し追いかけて全員が揃うところまで見届けたいと思う。
シンデレラガールズより「ガールズ・イン・ザ・フロンティア」。
シンデレラガールズは周年曲こんな激しくカッコいいソングなんだ……シャニマスにもくれないか?
現地で聴けたバフもあり、最近はずっとこのMVを繰り返し観てしまう。
サブスクにGAME VERSIONしかないことを除けば本当に最強の曲だと思う。
スクールアイドルミュージカルより「ゆめの羅針盤」。
意外に思うかもしれないが、僕は舞台作品も結構好きだ。
人間の生の芝居は面白いものだし、そんな芝居を近くで見れば見るほど面白いと思っている。
なので、異次元フェスが終わった直後に友人に声をかけて即座に1月の舞台のチケットを予約してしまった。楽しみにしているぜ。
ニジガクから、「CHASE!」。
まず全体的にニジガクソロパートがよかったのだが、その中でもDay2の先陣を切ったこの曲は特に印象に残っている。
また僕は人生で好きなアニメベスト5を決めろと言われたら「キラッとプリ☆チャン」を必ず入れるぐらいにはあのアニメが好きでありその結果として主演だった声優の林鼓子さんのことをとてもカッコいいと思っているし実際の優木せつ菜としてのライブを見たら余計にその勇姿が目に焼き付くのは当然のことかと思う(ここまで一息)。
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可愛いし、カッコいいよな?
サンシャインより「WATER BLUE NEW WORLD」。
いやスマン、1日目でわからされたとか言ってたけど正直これは凄すぎ。
現地で観て衝撃を受けたはずなのに、アーカイブを見返せば見返すほど味が増していく、完全にトップの貫禄曲。
単純な戦闘力で言えば今回はAqoursが最強だったと言わずにいられない、本当に。
最後にシャイニーカラーズからはSHHisの「OH MY GOD」をオススメさせてほしい。
この楽曲を異次元フェスで披露したSHHis役のお二人は今回ステージの上でとても素敵な笑顔を見せてくれていたのだが、原作ではSHHisの物語上全く笑えない時期があり、今年になってようやく(演者の動きが成長したこともあり)笑顔を見せながら楽曲を披露できるようになったという背景がある。
僕はそれを噛み締めて、今日もシャニマスから取れる出汁を吸っている。
あと最後の最後にもう一つだけ。
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この川柳はちょっと好き。