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切なく、儚く、美しい「Lose My Breath」

こんにちは、ふじさんと申します。

今回はLose My Breathの考察です。

全て個人的な意見であるので、こんな考え方もあるんだなーくらいの感覚で見ていただけると幸いです。


Teaser1

「彼らは300年を生きたら海の泡になるが 人間には魂がある」

300年生きたら、海の泡、人間には魂がある、という言葉は、ハンス・クリスチャン・アルデルセンによる「人魚姫」という話に出てきます。

このお話では、人魚姫が人間の美しい王子に出会ったことをきっかけに、人間に強い興味を持ちます。

そして、祖母から「人魚は300年生きたら海の泡になってしまうが、人間は死なない魂というものを持っていて、死んだら天国に行く」という話を聞かされます。

「わたしたちは、三百年も生きていられるね。けれども、死んでしまえば、わたしたちはあわになって、海の面に浮ういて出てしまうから、海の底のなつかしい人たちのところで、お墓を作ってもらうことができないんだよ」

「ところが、人間には、いつまでも死なない魂というものがあってね。からだが死んで土になったあとまでも、それは生きのこっているんだよ」

「人間の魂は、わたしたちがけっして見ることのできない、美しいところへのぼっていくんだよ。そこは天国といって、人間にとっても、前から知ることのできない世界なんだがね」

 人魚姫 ハンス・クリスチャン・アンデルセン
矢崎源九郎訳

また、ティザー内のセリフの
「それは愛おしいヤグルマギクの花びらほど青く きれいなガラスほど透明だ」
という表現も、「人魚姫」に出てくるものです。

海のおきへ、遠く遠く出ていきますと、水の色は、いちばん美しいヤグルマソウの花びらのようにまっさおになり、きれいにすきとおったガラスのように、すみきっています。

ただ、物語では「海の色」を表しているのに対し、ティザーでは「人間の魂」のことを表している表現であるのがちょっと気になりますね。

そして、ここの花火が空に打ち上げられている様子ですが、

そこへ、若い王子が出てきますと、花火が百以上も空高く打ちあげられました。そのため、あたりが、真昼のように明るくなりました。
 
空のお星さまが、みんな、自分のほうへ落ちてくるようです。

あたりが真昼であること、光が空から降ってきているように見えることが物語内の文と一致しています。

その後のエレベーターを使っているスンミンは、人魚が海面へ上がってきている様子を表していると考えられます。

最後の海を前に振り返っているヒョンジンはなんなのか。この時点ではあまりわからないので本編の考察のあとにもう一度触れます。

Teaser2

フィリックスが火を吹き消して始まり(おそらくろうそく?)その後に流れ星のようにも見える花火が映し出されます。

ろうそくはOHやThe View、SKZFLIXでも願い事をするときに使われており、流れ星にも「流れ星が光っているときに願い事をすると願いが叶う」という話があると思います。

どちらも”願い”に関するものなので、彼らは何かを願っているのかな、と思いました。
その願いは「人間になりたい」なのか、はたまた「人魚に戻りたい」なのか。

また、MVにもある全員でのダンスシーンでは、白い衣装を着ているときと、そうではないときが交互に映されます。

白い衣装を着ているときは、上から水が降ってきていて下も水なので、水中である=白い衣装のときは人魚である、と考えられます。

それと反対に、白い衣装でないときは道路で踊っているので、このときは人間なのでしょう。

それを踏まえてさっきのろうそくについて考えてみると、このときのフィリックスは髪型から推測するに、普通の服を着ているときなので、すでに人間になったあとに何か願い事をしているのではないでしょうか。

最後はリノが何かを見ているところで終わります。何を見ているのかはわかりませんが、とにかく他のメンバーとは違った特殊な立ち位置なようです。

MV

蛇口から水が出ず、苛立っている様子のバンチャン。水を欲するのは元々人魚だったからでしょうか。

続いてのシーンはコインランドリー。ハンが服を奪って着ていってしまいます。
白い衣装が人魚を表すとすれば、このシーンでは自分が元人魚であることを隠そうとして人間の服を奪っていったっぽいですね。

スンミンさん、エレベーターで上がってきて、突然金魚を落として走り出してしまいます。

海への未練を捨てるというか、これまでとの決別を表しているのかもしれないです。でも金魚って海にいないんじゃ…まあいいか。

水をがぶ飲みするアイエン、かっこいい。
先ほどのバンチャンもそうでしたが、元人魚だから水を欲してしまうのかもしれませんね。

あと本筋には関係ないのですが、この後のスンミンが運転を代わろうとしたところをアイエンが押しのけて車を発進させるところ、めちゃくちゃかっこいいですよね。このシーンをマンネがやるのがまた良い…

次のリノのシーンなんですが、この謎の果実が中国の神話に出てくる果実「蟠桃(ばんとう)」ではないか、と考察している方がいました。

この果実には
「三千年で熟した果実を食べると仙人になり、
六千年で熟した果実を食べると不老長寿となり、九千年で熟した果実を食べると不老不死になる」

という伝説があり、かの有名な「西遊記」にも出てきています。

このとんでもない果実を食べてしまったことで、リノは人魚でも人間でも仙人でもないよくわからないものになってしまったのではないでしょうか。なんなら不老不死になっている可能性まであります。

また、「西遊記」では、孫悟空がこの桃を勝手に食べたり他にもいろいろしたことでブチギレられるわけですが、同じくこの果実を食べたリノさんも、そんな感じで神様だかなんだかの怒りを買ってしまったのかもしれません。

そして、中国では桃に魔除けの力があるとされているそうです。人魚はきっと「魔」に属すでしょうから、それを食べてしまったのはかなりやばそうです。

雨の降る中傘もささずに歩いている2人。
元人魚だから水を浴びるのに全く抵抗がないのかもしれませんね。

この後2人はぶつかってしまいますが、そのときのフィリックスの視線がヒョンジンではなく、空の方に向けられているように思えます。

多分この点滅している電灯と、花火を見ているのでしょう。
花火はティザーから、人魚のときに一度見ていると思われるので、これは人魚だったときを思い出しているシーンだと考えられます。

そして全員でのダンスパートを挟み、何かに苦しんでいるようなフィリックスが映ります。

そのすぐあとのこのシーンでは、水中で息を吸っているような感じなので、どこかで「人魚に戻りたい」と願って、それが叶い、陸で息ができなくなってしまったのかもしれません。

ただ、リノだけは水から顔をあげています。やはりあの果実のせいで人魚ではない別の何かに変わったのか、はたまた神の怒りを買ったせいで元に戻れなかったのか…

その後のダンスシーンは全て白い衣装なことから、やはり彼らは人魚に戻ったようです。リノはどうかわからないけどね…

最後、リノの前の海は消えた、のかはたまた海とは逆方向に向いたのか。

1人だけ、海には戻れなかったようにも思えます。

「人魚姫」の物語では、最後主人公が海の泡となって消え、その後風の精になることから、リノも風の精になったのかもしれません。

しかし、先ほど不老不死になれるとも言われる果実「蟠桃」を食べていたので、死ぬこと(海の泡になること)もできず、海にも戻れず、ずっとこのまま生き続けるんじゃ…という最悪なパターンも考えられます。

また、これらを踏まえると、Teaser1のヒョンジンは振り返ってリノのことを見ているのでは、とも考えられますね。


さて、今回はこれで終了です。

とても悲しいし救いのない終わり方だなーと思うのですが、でもこのMV凄く綺麗で美しくて、なんだか儚いんですよね。

儚く、美しく、また残酷でもある。

ただ綺麗なだけでも、残酷なだけでも、ここまで心は惹かれませんが、そのすべてが詰まっていると、どうしようもなく惹かれてしまいます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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