【20250209_PC千葉_スタンダードオープンTOP8】 ボロスハツカネズミについて

初めに

はじめまして、りんとうと言います。少し前までは東京でマジックをプレイしていましたが、現在は新潟で細々と続けています。

この度、2月9日に行われたPC千葉のスタンオープンにて7-0-1でTOP8に入賞し、次回東京で開催されるファイナルの権利を獲得しました。

記事を書くのは初めてですが、このような機会は滅多にないと思い、拙いながらも形に残すことにしました。

この記事が、ボロスハツカネズミに興味を持った方や、未来の自分にとって役立つものになればと思います。


ボロスハツカネズミができるまで

新環境のイベントに参加するにあたり、せっかくなので霊気走破の恩恵を受けたデッキを使用したいと考え、いくつかのデッキを試作した。

5cジョダー、セレズニア乗騎、ゴルガリ根、ジャンド昂揚、ボロス召集などを仮組した。しかし、どのデッキも既存のグルールアグロや青黒系エンチャに惨敗する未来しか見えなかった。前環境のグルールアグロを使う選択肢もあったが、採用したいと思える新しいカードがなかったことと、今のリストが好きではなかったため、使用しないことにした。

没になるデッキが増えていく中で、唯一好印象を受けたデッキがボロスハツカネズミだった。昔、友人Kがこのデッキについて「マナベースが弱いものの、回った時はグルールアグロでは勝てない」と話していたため、グルールアグロに有利な可能性があることは知っていた。
カードを並べてみると、《幽霊による庇護》によってダメージレースを覆すことができ、新生持ちのクリーチャーで消耗戦にもある程度対応できるため、グルールアグロや青黒系エンチャントにも戦えそうな要素があった。
マナベースの問題も、霊気走破によって《サンビロウの境界》を獲得したことで改善が見込めた。

この時点で2月5日の深夜。シールドの準備もあったので、これ以上スタンダードに時間をかけることはできなかった。好印象だったこのデッキでダメならもう仕方ないだろうと、使いそうなカードを注文し、詳しいリストは未来の自分に託した。
実際にデッキを調整し始めたのは2月8日の夜からだった。

デッキリスト

本戦で使用したデッキリストは以下

0-2した夜に一人、泣きながら調整した

土曜日の夜に一人回しをして作成した。メインボードの呪文枠は仮組していた時とほとんど変わらなかったが、マナベースには苦労した。採用したカード1枚1枚の理由を書きたかったが、多くの枠には選択肢がなく、説明が冗長になるため、こだわった点についてのみ簡潔に理由を記載しておく。

  • 1マナ域

既存のボロスハツカネズミのリストには、《雇われ爪》がよく採用されているが、《顔面村》を非採用にした都合上、ただの1/1/2の生物に成り下がっており、グルールアグロの《雇われ爪》よりも弱いカードになっている。ハツカネズミを要求するカードもデッキにあるため、ただの1/1/2でもハツカネズミである方が偉いと感じた。
また、《サンビロウの境界》も出せるのは1ターン目に出せるのはWなので、1マナ域は白い生物が多い方がいいと思い、《雇われ爪》は不採用にした。

  • ボロスの魔除け

新環境が始まったばかりだったので、新しいデッキと当たることを想定していた。そのようなデッキと当たった時に、相手に付き合っていられないため、速攻でゲームを終わらせるカードが欲しかった。
特にこのカードはボロスカラーで、要求を満たしており、昔使っていた思い入れもあったので、ぜひ採用したかった。

  • 凶獣化

《花足の剣豪》が採用されているので、1枚で複数の雄姿を発動させるカードがあると、打点が急に伸びるバリューがあり、1枚くらいそういうカードを採用するのは面白いと思った。
そこで候補に挙がったのは《失われた十手》、《凶兆艦隊のフレイル》、《神聖なる反発》、《メイブルの血気》、《間の悪い故障》、そして《凶獣化》だった。
《神聖なる反発》と《メイブルの血気》はカードパワー不足を感じたので除外。
《失われた十手》と《凶兆艦隊のフレイル》は恒久的に雄姿を発動できる点はよかったが、何もしないカードに1マナを払うタイミングが存在しなかったので除外。
《間の悪い故障》は面白いカードであり、ギリギリまで悩んだが、相手に依存している上振れカードという結論になり除外。
最終的に残った《凶獣化》が選択された。

  • マナベース

マナベースは一人回しをしていて最も調整していた部分である。リスト上、1ターン目に《心火の英雄》を唱えて、2ターン目に《小癪な家ネズミ》を出来事と生物で唱えようとすると、R、WWを要求されてしまう。これは1ターン目に置く土地がR/Wである必要があり、新しい土地である《サンビロウの境界》を使ってしまうと、その要求を達成できないという問題があった。

《魂の洞窟》を採用することでこの要求値に答えることは簡単だったが、今度はスペルを唱えることが困難になってしまう。軽いスペルを連打するデッキなので、スペルのマナが出ない土地を1枚以上引いてしまうと、2アクションする際に影響が出た。
特に《ボロスの魔除け》を採用している都合上、2枚以上のスペルのマナが出ない土地を引くことは許されなかった。

《顔面村》は、はじめは3枚入っていたが、引いたときに嬉しい展開になることよりも事故の方が目立つため、採用枚数はどんどん減っていった。最終的には、速攻をつけるよりも安定して2アクションを取る方が重要であると感じ、《岩山炎の後継者、メイブル》から出る《岩山炎》で同じような働きが可能だったため、採用しなくても大丈夫だと自分を説得し、0枚にした。バリューランドが1枚もなくなったのでマナフラが気になり、土地枚数を22枚に減らし、《ボロスの魔除け》を追加して完成とした。

  • サイドボード

サイドボードはあまり考えていない。一度も回していないのでサイド後の展開がどうなるか不明であり、詳細を詰めることはできないと判断したためだ。
とりあえず、参考にしたリストをもとに、リソースカードの枠を《ガスタルの激ヤバ車》と《灯を追う者、チャンドラ》を採用することだけは決定していた。
この枠は今までなら《ウラブラスクの溶鉱炉》であったが、《ガスタルの激ヤバ車》と《灯を追う者、チャンドラ》は《領事の権限》を乗り越えられるカードであり、白単コンやドメインに対してより強いサイドカードとして期待した。
《エルズペスの強打》は透けやすいことがあまり好きではなかったので不採用。追加の除去枠には、《稲妻のらせん》を採用。
《安らかな眠り》は2枚目が腐るので1枚にし、墓地対策は2枚は欲しいと思ったが、アゾリウス眼魔に対して《邪悪を打ち倒す》もあるので、必要ないと割り切った。
最後に、勝てなさそうな相手と当たった時にワンチャンスで勝てるように《ボロスの魔除け》を追加して15枚決定。

本戦

残念ながら、すべてのゲーム内容を覚えていないので、それぞれのサイドボードと覚えている展開だけを記載する。

  • 1回戦  グルール昂揚 〇×〇

   out: ボロスの魔除け 2 凶獣化 1
   in: 邪悪を打ち砕く 1 稲妻のらせん 2

  • 2回戦 グルールアグロ〇×〇

   out: ボロスの魔除け 2 凶獣化 1
   in: 邪悪を打ち砕く 1 稲妻のらせん 2

  • 3回戦 ディミーアエンチャ〇〇

   out: ボロスの魔除け 1 凶獣化 1 巨怪の怒り 4
   in: ガスタルの激ヤバ車 4 稲妻のらせん 1 邪悪を打ち砕く 1
 《黙示録、シェオルドレッド》を出される可能性があったので、《邪悪を打ち砕く》を1枚だけinした。

  • 4回戦 エスパーエンチャ〇〇

   out: ボロスの魔除け 1 凶獣化 1、巨怪の怒り 4
   in: ガスタルの激ヤバ車 4 稲妻のらせん 1 邪悪を打ち砕く 1

  • 5回戦 エスパーエンチャ〇〇

   out: ボロスの魔除け 2 凶獣化 1、巨怪の怒り 3
   in: ガスタルの激ヤバ車 4 稲妻のらせん 1 邪悪を打ち砕く 1

  • 6回戦 ドメインランプ×○○

   out: ボロスの魔除け 2 、噴出の稲妻 4、幽霊による庇護 4
   in: ガスタルの激ヤバ車 4 灯を追う者、チャンドラ 3 邪悪を打ち砕く 3
 ちょっとサイドの記憶があやふや。

  • 7回戦 アゾリウス眼魔 〇×〇

   out: 噴出の稲妻 4
   in: 邪悪を打ち砕く 3  安らかなる眠り 1
3ゲーム目、相手が諜報ランドから2ターン目に《傲慢なジン》をリアニメイトするブン回りを見せつけてきた。手札には除去がなく、ここまでかと諦めかけた。しかし、《熾火心の挑戦者》+《ボロスの魔除け》+《巨怪の怒り》と1/2/1で16点パンチが決まり、まさかの3ターンキル。ありがとう、《ボロスの魔除け》。ありがとう。最高のカードだ。

  • 8回戦 ID

相手が配信者で有名な市川ユウキさんだった。せっかくの全勝卓で当たったので、いい機会だと思い、提案されたIDを蹴って対戦しようとしたが、「あなた、負けると落ちると思いますけど、大丈夫ですか?」と言われ、見せられたスマホには順位表には、なんとオポが58%の自分の名前が、その下には65%を超える1敗ラインの人たちがずらり。
すぐに机に頭をつけてIDをしてもらうことに。
負けた後に「あなた落ちましたよ」と言われなくて本当に良かった。優しい方で、本当に助かった。
しかし、田舎者にとってはめったにない機会だったので、残念で仕方がない。またの機会があることを期待したい。

  • 9回戦 ディミーアエンチャ ××

   out: ボロスの魔除け 2 凶獣化 1、巨怪の怒り 3
   in: ガスタルの激ヤバ車 4 稲妻のらせん 2
土地がうまく回らないうちに、《嵐追いの才能》と《この町は狭すぎる》のパッケージが機能し始め、惨敗。

1没だったとは言え、7-1-1のTop 8入賞でファイナルの権利獲得と、望外の結果だったと言わざるを得ない。このデッキを並べた土曜日の夜には、こんな結果になるとは思ってもいなかった。

デッキの感想と今後

Top 8入賞と戦績を残せたから言えることかもしれないが、想像以上にいいデッキだった。
《心火の英雄》、《熾火心の挑戦者》、《多様な鼠》の現環境で強力なハツカネズミパッケージを、デッキをハツカネズミで埋めることにより、より強く使うことができたのはグルールアグロにはない利点だった。《心火の英雄》、《熾火心の挑戦者》は雄姿しやすく、生物がすべてハツカネズミなので、《多様な鼠》は自分に二段攻撃を付けなくても済む。ロードでサイズが上がるのも馬鹿にならない。

そして白いデッキなので、《幽霊による庇護》を採用することができ、ダメージレースを簡単に覆すことができるのも強みだった。ジェスカイ召集などとは異なり、打点の高い生物に貼ることができるため、魂絆の恩恵も大きく受けることができた。

《ガスタルの激ヤバ車》は、《領事の権限》が効かないカードとして採用したが、消耗戦になりやすい青黒系エンチャントに対してもサイドインできる良いカードだった。特にエスパーは土地回りでライフが減っていることが多く、一度殴れるだけで十分なことが多かった。
《エルズペスの強打》に対しては無力だったため、当初期待していた白単コンやドメインに対しては、対策にならないかもしれないと感じた。

《灯を追う者、チャンドラ》はドメイン相手の1マッチしかサイドインしなかったが、+2能力で手札を整えつつ、《ガスタルの激ヤバ車》を生物化し、奥義の圧をかけるという、かなり頼りになる活躍をした。《槌のコス》のような働きだった。

デッキ一番の失敗は、間違いなく《ボロスの魔除け》だ。7回戦目では活躍したが、唱えたのはこのマッチだけだった。
唱えたいタイミングがほぼ存在しないカードで、今すぐイベントをドロップしてこのカードを抜いて別のイベントに参加したいと思うほど弱いカードだった。
毎回サイドアウトするので、サイドボードに困らなくて済んだのは利点かもしれない。

思ったより土地が強くなっていなかった。境界土地が1ターン目にRを出せないことが問題だというのはデッキ構築時点で分かっていたが、想像以上だった。白い生物もいるのだからそちらを出せば良いと思っていたが、最も1ターン目に出したいのは《心火の英雄》であり、白い生物は後に唱えたいことがほとんどであった。
この認識があったらマナベースは考え直していた。

土地枚数は23枚にするべきだった。新生があるので土地は4枚まで欲しい機会が多かった。サイド後もマナカーブが後ろになるため、土地をしっかりと伸ばしたい展開が多かった。土地を23枚にする際には《顔面村》か《魂の洞窟》を採用したい。
《ボロスの魔除け》を非採用にすると、ここに余裕ができるはずだ。

《霊気灯》は試したいカードだ。1枚で雄姿の発動とリソースの確保が可能であり、デッキに多角性を持たせられるため、メインに入れても良いかもしれない。

拙い文章をここまで読んでいただき、ありがとうございました。これを読んでいる人のマジックの糧になれれば幸いです。
以下にちょっとした蛇足を載せておきます。マジックとは関係ない話なのですが、暇があれば目を通していただければと思います。

蛇足

実は、シングルイリミネーションが始まる少し前から、体調が悪くなっていた。足は重く、視界がゆらゆらしていた。初めは疲れが出始めたのだと思っていた。金曜日に新潟から移動し、土曜日も会場をふらふらしていたので、疲労が影響し始めていてもおかしくはないだろうと思っていた。
運営者に呼ばれ、ふらふらした足取りで別室に移動しようとしたとき、そこでふと気が付いた。気が付いてしまった。

そういえば、お腹がすいたな。

よくよく考えると、朝、ホテルで食べたカロリーメイト2欠片しか食べていなかった。そのことに気が付くと、足がさらに重くなった気がした。

昔、友人Jが大会中に食べると血が腹に行って集中できなくなるから食べないと言っていた。当時は笑っていたが、今日の戦績を見ると、それは正しいことなのだろう。間違っていなかった。だが、さすがに10時間も食事をせずに戦うのは無理がある。

一度意識が空腹に向いてしまうと、もうそれしか考えられなくなった。とにかく思考が空腹に上書きされ、正常な思考ができるどころではなかった。

そんな状況でここまで来た強者に敵うはずもなく、瞬殺されてしまった。食事をしていたら勝てたとは思わないが、最終戦をこんな状態で迎えてしまったことは後悔以上、何もない。IDもして暇な時間なんて沢山あったのに、どうして気が付かなかったのか。

冗談めかして書いたが、個人的には深刻な問題であり、今後もTop 8を目指すなら、どのように改善すべきか考える必要がある。大会中に食事を取ることはよくないかもしれないが、長期戦を考えると、どこかで食事をしないといけない。最低限、このような状態で戦うのはもう御免だ。

もし、これを読んでいるあなたが、もしかしたらこの記事を読み返している自分が、長時間イベントに参加しているとき、どこかで食事について考えるきっかけになれば、この記事を書いた甲斐があったと思う。


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