最後のバス停

深夜の静かな町、終点行きのバスが走っている。乗客はほとんどいない。車内には、運転手とスーツ姿の男性、そして年配の女性が座っているだけだった。バスはゆっくりと走り、次々と停留所を過ぎていくが、誰も降りようとはしない。

スーツ姿の男性、ケンタは窓の外を見ながら考え込んでいた。今日の仕事で、ついに上司と大喧嘩をしてしまった。「こんな会社、もう辞めてやる!」と声を荒げたものの、家に帰る気にもなれず、行き先を決めずにこのバスに乗った。

一方、年配の女性は膝の上に小さな花束を抱えている。その表情にはどこか寂しげなものがあった。

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