霧の中の約束

それは、霧が街を覆い尽くした夜のことだった。玲奈は残業を終え、いつものように駅へ向かっていた。通りは静まり返り、霧が街灯の光をぼんやりと滲ませている。冷たい空気が頬に触れ、自然とコートの襟を立てた。

「こんな夜に誰もいないのも不気味ね…。」

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