第3話 半生②


2020年9月、「日本にいる彼女と結婚したい26年間実家暮らし男」はマルタ共和国にいました。


目的は

現地の語学学校で英語を学ぶこと

既にビザを保有しているオーストラリアの国境が開くのを待つこと

海外の異文化を肌で感じること

です。


結論から言うと、この3つの目標は半分達成し、
半分は失敗でした。


言い忘れていましたが、僕のそれまでの海外経験は、高校の修学旅行で行ったシンガポール、マレーシアのみです。


初めてマルタの空港に降り立った時は、不安で不安で仕方がなかったです。

もともとコンフォートゾーンを抜けるのがすごく苦手な性格で(今もそうです、改善したくて、頑張っています)、いきなり東京とは違う街にきて、かなりのストレスを感じていた記憶があります。



その頃のマルタはとても異様でした。


僕の通い始めた語学学校は日本人で溢れかえっていたのです。

僕のように行き場を失った留学生が、コロナ禍にも関わらず、英語環境を求めて、マルタに集まっていました(本来、留学先としてはオーストラリアやニュージーランド、カナダなどが人気ですが、そのすべての国境が閉鎖されていました)。


彼らは野心を持ち、人生に目的を持ち、とても向上心のある人たちで、コロナによる同じ苦難を味わったこともあり、すぐに仲良くなりました。


初めて1人で日本を離れた寂しさから、良くも悪くも僕は彼らに頼ってしまいました。


多くの時間を彼らと過ごし、英語圏に来たと言うのに日本語を話す機会に身を置いてしまいました。


2ヶ月ほど、そンな生活を過ごし、これではダメだと思った僕は日本人の友達と遊ぶのを避け、IELTSの試験の勉強をはじめました。


それはとても充実した時間に思えました。

午前中は語学学校で勉強し、午後はカフェに行って、1人IELTSの勉強を頑張りました。

孤独を感じつつも遊んでいてはダメだという気持ちがありました。


そこでの頑張りが、自分の英語力の向上に繋がったのは言うまでもありません。努力して成果を出しました。そのことは紛れもなく留学生活の成功の一つです。今でも誇らしい体験の一つです。


ただ、振り返ってみれば、もう少し海外の友達を作って異文化を感じてもよかったんじゃないかなとは思います(コロナ禍でさまざまな規制があり、友達を作り、遊ぶと言うことが難しかった時期であったのは否定できませんし、だからこそ、今のうちに、英語力を伸ばしておこうとした自分の決断を否定するわけではありません)。


また、年が明け2021年になってもオーストラリアの国境は開きません。

マルタのコロナの感染者状況はまだまだ不安定でした。

当時の自分は孤独で、オーストラリアに行けないことに焦立ち、将来に不安を感じていました


そして2021年1月、日本への一時帰国を決断します。


一度日本に帰り、オーストラリアへの渡航を待つなり、他の国へ移るなり、もう一度仕切り直したいと思っていました。


ただ日本に帰ってもあまり状況は変わりませんでした。
それがコロナの恐ろしいさでした。
未来が見えない、状況が良くなるのか、悪くなるのかがわからない。
ものすごくストレスフルな一時帰国期間でした。


ただ僕の休学期間は有限でその後は就活が控えています。


変わらぬ状況の中、僕はオーストラリアへの渡航を諦めました
それと同時に今行ける国へ観光ビザでもいいからすぐに渡航して、折角の休学期間に何かを得たいという気持ちも強くありました。


そして、アメリカ合衆国のシアトルへの渡航を決断します。


半生③に続く

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