映画『掟』レビュー:地方政治の現実に迫るブラックユーモア
現実と並走する鋭い政治ドラマ
映画『掟』は、2024年の東京都知事選挙に出馬して注目を集めた石丸伸二氏をモデルにした作品です。地方政治のリアルな側面を描きつつ、観客に「政治とは何か」を問いかける内容となっています。
この映画は、地方議会の現場感や政治家の苦悩をじっくりと見せながら、観る人に深い思索を促します。ここでは、その魅力を紹介します。
地方政治の現実を描く
『掟』は、地方政治を舞台にし、元銀行員の高村誠也が市長に当選して理想の街づくりに奮闘する姿を描いています。89分という短い上映時間ながら、地方議会の複雑な力学が巧みに描かれており、議会での対立や市政運営の難しさがリアルに伝わってきます。地方政治に興味がある方は、この映画を通じて、普段はなかなか見えにくい議会の内情を垣間見ることができるでしょう。
理想と現実の狭間で揺れる主人公
主人公の高村は、「世界で一番住みやすい街」を目指して、市政の改革に取り組みます。しかし、その過程で彼の強い正義感が市政運営とぶつかり、議会との対立を生むことになります。
特に、議員の居眠りをSNSで暴露するシーンは、彼の行動が市政よりも個人の正義を優先しているように感じられる場面です。高村の行動は市民から支持されているのか、映画はその点について明確な答えを示していませんが、それが観客に「政治家とは何か」を考えさせる重要な要素となっています。
ブラックユーモアが引き立てる政治批評
『掟』はブラックユーモアを駆使して、現代政治の問題を批評的に描いています。フィクションでありながら、現実の政治と並走する物語展開が興味深く、時折笑いを交えながらも、政治の深い問題意識に触れることができます。タイムリーなテーマを取り扱うことで、観客に政治に対する新しい視点を提供し、考えさせられる内容です。
映画『掟』は、地方政治の現場を舞台に、理想と現実のギャップを描いた政治ドラマです。
政治に興味がある方も、あまり関心がない方も、この作品を通じて現代の政治に対する理解を深めることができるでしょう。ぜひ一度、劇場でそのメッセージを受け取ってみてください。
2024年9月7日 政治マニア
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