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書評 :『「目に見えぬ侵略」「見えない手」副読本』

『「目に見えぬ侵略」「見えない手」副読本』(飛鳥新社、2021)は、クライブ・ハミルトン著の2冊の大著のエッセンスを凝縮した一冊です。900ページを超える原著の内容を40項目にまとめ、カラー図版や図解を多用することで、誰にでも理解しやすい構成になっています。

中国共産党の浸透工作を実名で解明し、世界に衝撃を与えた原著の核心を、最小の時間で学べる点が特徴です。例えば、オーストラリアでは電気、水道、ガスなどの重要インフラの大部分が中国資本に押さえられ、国民の生活が人質に取られているような状況にあることが指摘されています。

本書は、中国の「友人」政策、大学での監視活動、海外メディアへの影響力行使など、多岐にわたる話題を取り上げています。また、中国共産党が禁じる「7つの西洋的価値観」として、西洋立憲民主主義、普遍的価値(人権・自由)、市民社会、新自由主義、報道の自由、歴史的冷笑、社会主義に対する疑念を挙げています。

日本への警鐘も鳴らされており、財界工作などを通じて「数千人もの中国共産党のエージェント」が活動していると指摘されています。コンパクトながら内容は濃密で、現代の国際情勢における中国の影響力と戦略を理解し、日本の将来を考える上で貴重な一冊と言えるでしょう。

2024年8月6日 5目s


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