役に立つかもしれない書籍
私はそんなに読書できる人ではない。大量のインプットをすることが苦手で、どちらかというと好きな本を繰り返し読む人間だ。インプットもアウトプットも遅い。アウトプット速度は大いに改善の余地があるが、インプットはそんなに要らないのではとも思っている。個人が大事にしているものがあれば、それでいいと思う。
さて、研究者稼業をしようかな、と考えついたときに、ハウツー本の定番を読まねばならないと思い、買った本は何冊かある。代表的なものを以下に列挙し、漠然と覚えていることを記す (読み返したわけではないので、間違っていたら申し訳ない)。
文章における、「白さ」を大事にせよ、という教えは今でも実践している。例えば、「おこなう」とか「たとえば」などと漢字とひらがなのバランスをとる。
「即ち、是は…と結論出来ると言える」などとは書かなくなった。
すこし古い本なので、OHPシートなどにも言及されていて、ちょっと時代を感じるけど、発表の核心はだいたい書かれているのでは、と思う本。「1スライド1要素」という考え方は大事だと思う。この本を読んで、発表のスタートラインに立てたのではと考えている。
以下が本題。
ここまでは、まあ自分にとって役に立った本だ。しかし、下の本は、トラウマを植え付けられた本である:
この本は一種の古典である。しかし、私にとって、この本のなかのファイリングシステムと、カードの使用は全く合わなかった。
ファイリングについて。モチベーションの高かった修士学生の頃などはまだ頑張っていたし、資料の量も大したことなかったから、なんとかなった。ところが資料の量が増えていくと、項目ごとに「口のあいた」ファイルにはさんで保管する、という方法が絶望的に面倒くさくなってしまった。
そうだ、私はファイリングに熱意をそそげるような、真面目な人間ではなかったのだ。そもそも整理整頓は好きでなく、心血をそそげない。結果いまでも、たくさんのファイル色紙を所有する羽目になっている。結構な値段がしたので(一枚200円くらい?)捨てられないのだ。
カードは、B6サイズ (京大カードというやつ) にアイデアを書いたり、研究内容を書いたりして、並び替えることで、流動的なノートをつくるというアイデアであったが、私にはできなかった。カードを真面目に書こうとしてしまって、いろんな要素の入った、中途半端なカードを作ってしまうのである。また困ったのは、2000円くらいかけて大量のB6カードを買ってしまったことである。これは、もったいないけど、捨ててしまった。
上述の合わなさは、
分類が多岐にわたる選択肢を有してしまうこと (例えば、論文AをBジャンルとCジャンルのどちらのファイルに入れるのか?)
ということに起因すると考えられる。根が真面目な私は、そのあいまいさに耐えられなくなってしまうのだ。完璧主義の大いなる欠点である。図書館のように整然とした、整理整頓にはあこがれるけれど、私にはそれを持続することができない。
たまたま最近見つけた本で、おもしろい整理術を書いている本があったので、紹介したい。
内容は、一言で書いてしまうと、
こまかな分類整理はせず、使った書類を一つのファイル (封筒) に適当にまとめて、使った時間順でならべよ、ということ。
積み上げた書類でいえば、読んだ書類をただ上に重ねよ、ということ。
必要なものはすぐに、上のほうに見つけられるはず。
安心したのは、これは私が、パソコンでやっていることだったからだ。windowsなら「最近使った項目」みたいのから、所望のファイルを取り出しさえすればいい。使っていけば、必要なものが「最近使った項目」に溜まってゆく。
この本の初版は1993年なんだけど、コンピュータを使用した整理術にも触れられている。コンピュータの特技、すなわち「検索」をつかえば、もっと整理が容易になることも示されている。
情報の整理はいい加減で良いということであり、ずぼらな私の自己肯定感を上げる書籍であった。
一方で使った時間順で並べようとすると、おおくの場合で歯がゆい思いをすることもある。
一つは文献管理ソフト。私はpaperpileを愛用しているが、これには、開いて読んだ順でソートする機能はない。
またオリジナルの方法では、書類は封筒にいれて、使った順に並べる。一方でコンピュータの場合、「ファイルを使ったフォルダ」順にならべることは難しい。最初はいちいちフォルダを圧縮していたが、さすがにそれは面倒であった。
いまのところは、ファイルの場所に行けば問題ないので気にしないことにする。