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朝の保護猫ルーティン

私の朝は猫の痛すぎる甘噛みで始まる。耳を朝ごはん欲しさに噛んで私を起こすのだ。ミーコわかったからと毛布をもう一度頭からかぶって耳まで被せる。ミーコが悲しげな声で鳴く。もう少し寝たくて反対の壁を向くと又猫が鳴く。
 ターちゃんだ。オスのくせに可愛い声がでる。仕方がない。私は布団を勢いよく跳ね飛ばして起きる事にする。まずトイレに行かせてよ、足元に絡んでくるターちゃんを蹴る様にトイレへと急ぐ。追い立てられるように手を洗うと猫の鳴き声が一気に高くなる。ドライフードを出すとすでにターちゃんがお椀の前で待っている。
ソソソと音がしてソファの下を住みかにしている可哀想なチョコも這い出してくる。チョコを睨むプチ丸になにしてんのと大きな声を出すといかにも不満げにジャーと鳴いて自分のお椀へと向かう間にミーコからパンチを受けているプチ丸。

 ターちゃんとチョコのお椀にフードを入れると踵を返して反対側のミーコとプチ丸の番だ。さっきからうるさく吠えるのはおばあちゃん保護犬のリィリィ。繁殖犬だったから歯槽膿漏で歯を全部抜いた。きっちりお椀に二十三グラム、水を足して電子レンジ五百Wできっちり四〇秒。ドライフードを柔らかくしてケージの中で待つリィリィのお椀に入れる。

 朝のルーティンはこれでは終わらない。玄関右手の部屋へと入る。ここはアトリエに使いたくて改装した部屋だ。なのに今は2022年に保護した猫の部屋になってしまっている。特に目の見えない光ちゃんのお構いなしに物を破壊していく勢いに、絵等を描く等とても出来なくなった。今でさえ、思いもかけない物が壊れている。

足元にはくねくねと小柄なツーちゃんがやってくる。注射の後遺症で身体が少し不自由なのだ。ヌガーと低い声がビジュアルと合わない。まずはツーちゃんのお皿にフードを入れ、歌を歌って光ちゃんを呼ぶ。光ちゃんたら光ちゃん、結構しつこく歌わないと起きてこない。やっと起きてきて前脚を伸ばすとゆっくり背伸びをする。

私の事が嫌いなシャム猫の様な姿のプリンは相変わらず私から一定の距離をとって観察している。プリンは片目が白くなっているので保護猫の譲渡会では里親が見つからなかった。

ツーちゃんの次に餌に食いつくのが早いのはプリンの親のミーだ。彼女が家猫になることを選んでからの太り様は以前の細身からは想像できない。甘え足りない光ちゃんをなだめる為、大きく育った彼の体を丸ごと抱え左肩に乗せ又歌う。光ちゃんたら光ちゃーん、彼の喉を鳴らす音がはっきり聞こえる。朝は色々忙しいから光ちゃんには我慢して貰い、床にそーっと注意深く降ろし、餌のお皿を前脚に当てて、餌がそこにある事を教えると、恐る恐るお皿を匂って食べ始める。

食べている間に飲み水を替えトイレを簡単に掃除する。はい、ここまでが私の朝の保護猫ルーティーン。

ユメユメネボウスルコトナカレ。 

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