猫を拾った話
令和2年12月中旬
僕が初めてアオを見つけたのはアパートのバイク置き場でした
全身グレーのキレイな被毛とグリーンの瞳。特徴は血統種のロシアンブルーそのもので、いつもバイク置き場をウロウロしている保護猫たちとは明らかに雰囲気が違います。
試しに近づいて呼んでみると恐る恐る寄ってきて、初対面の僕でも触れるくらい人懐っこい。
どこかから脱走したのかな?
ウチの周りは首輪を付けた猫や、耳カット(避妊、去勢済の目印)のない猫がちょくちょくウロウロしている地域なので、特に気にも止めませんでした。
しかしその後もこの猫はバイク置き場に現れ、もしかして家に帰ってない?捨てられたんじゃないか?と疑念を抱き始めました。
令和2年12月下旬
相変わらずそのアオはバイク置き場のあたりをウロウロしています。目ヤニが出てきてるし、なんだか少し薄汚れてる。もしかして家に帰ってないのか?
近くに地域猫用の置きエサがあるので、それで食いつないでいれば餓えることはないし、多分そういうことでしょう。
令和3年上旬
外からフギャーーと猫の喧嘩の声が聞こえたのでベランダから外を見ると、先住猫に威嚇されて逃げるアオがいました。。
アオが捨て猫だとしたら、飼い主に捨てられ、外に放り出され、なんとか餌場を見つけたらそこは他の猫のテリトリーで他の猫とケンカになって、でも他に食べる方法を知らないからそこで食いつなぐしかない、、、。
よくあることかもしれませんが、当人(猫)からしたら必死で、文字通りの命がけです。そんなことを考えていたら、少し気が滅入ってきました。
翌日、仕事から帰ってきたらアオを見つけたので撫でていると、アオが突然走り出しました。
何事かと思ってアオを目で追うと、一階に住んでる大家の鈴木さんが猫の餌を持ってきたところでした。
ああ、この人が餌あげてるんだ。なんて考えながら挨拶を交わして、アオのことを聞いてみました。
鈴木さんの話によると、
・この猫は最近見かけるようになった猫で、「ロシちゃん」や「アオちゃん」と呼ばれていること。
・去勢済みのオスで、おそらく一才くらいの若い猫であること。
・飼い主を探しているけど見つからないこと。
・保護してくれる人を探してるけど、大人の猫はなかなか引き取り手がいないこと。
などを教えてくれました。
「あなたもこの子のこと可愛がってくれてたのね〜。嬉しいわ。」となぜか喜んでくれる鈴木さんに、前から気になっていたことを聞いてみました。
「ウチのアパートって猫OKでしたっけ?」
ちなみに鈴木さんは大家の権限なのか、堂々と猫を飼っています。が、ウチのアパートはペット不可の規約があったハズです。
「私が許可します」
即答でした。え?いいの?
「お年寄りの方とかみんな飼ってますよ」
そうなの!?じゃあペット禁止の規約とはなんなのか、、、。でもまあ、そんなことを言っても仕方がない。
どうしよっかなぁ、ウチで面倒見ようかなぁ。でも一人暮らしで構ってやれないしなぁ。
生き物を飼うことの責任。一度拾ったら10年とか20年は面倒をみないといけない。自分の生活が一変するのは想像に難くない。
悩みましたが、簡単には結論を出せないまま、その日は1人自宅へ帰りました。
つづく