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イタリア語の初めましては「快感!」

初めての人に会った時の自己紹介、日本人には苦手なセレモニーという気がしますが、みなさんは如何でしょうか?

既にイタリアに住んで33年も経ってしまったというのに、今だによく行くお店の人の名前も知らず、むこうも私の名前を知らないということがよくあります。それでもお互い相手のことは知っていて、それなりに愛想を振りまいたり振りまいてもらったりしています。

でも、お店の人はイタリア人のお得意さんを大抵名前で呼んでいます。お客さんであってもファーストネームで呼ぶ(日本的には呼び捨て)場合もあれば、弁護士さんだったりすると苗字で〇〇先生といった塩梅です。また、お客さんもお店の人をファーストネームで呼んでいることが多いようです。

名前で呼び合うそためには、先ずは「初めまして」の挨拶があるのでしょうね…と思いつつ、noteで初めましての私、イタリアでの初めましてについて一寸考えてみました。

イタリアでは、先ずは名前を名乗って握手をしながら「Piacere - ピアチェーレ」と言います。

ピアチェーレは、肉体、精神などの欲求が満たされる喜び、快感を指す言葉です。例えば味覚が満足する快感、性欲が満たされる快楽、美しい芸術に触れて感じる愉悦、生きる喜びもピアチェーレで表せます。ですから、初めて会う人にこの言葉を使う場合、あなたに会えるのは喜ばしい、快感ですよと伝えているわけです。

会ってすぐの相手に自分の名前を名乗りながら、手を握り(コロナ禍の現在、肘と肘とを触れ合わせるという形で代用)、「快感!」と言っていることになるので、よくよく考えると微妙な感じかもしれないけれど、慣用句というのは元来そういう側面があるので、余り深くは考えない方がいいのでしょう。

と思っていたら、むしろ逆の意味で異論を唱えるひとも少なからずいるのです。初めて会った相手に「ピアチェーレ」というのは礼に反するとまで考えるひともいます。

何故なら、会ったばかりなのだから、相手と会ったことが「快感」と言えるかどうかはわからない、もしかしたら2度と会いたくないということになりかねないからという訳です。
つまり、この表現は会った瞬間の「初めまして」としてではなく、会見が終わって「お別れの挨拶」にこそ使うべき表現だというわけです。

そうは言っても、会話も終わり、あ〜あ、嫌な奴だったなんて思った場合はどうするのでしょうね?

因みに、久しぶりに会った人に対して、再会できて良かったという意味でこのピアチェーレを使うこともできます。
むしろこの方が実感がこもるかもしれませんね。

私と皆さんとの出会いもPIACEREとなることを願っています。






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