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災害活動の記録の在り方

1.なぜ記録が必要か?

災害に出ていれば、何度かは

「あれ、この窓割ったけど良かったのかな・・・」とか

「今出場した頻回要請者こまかい人だけどドア破壊して訴えられたり面倒くさいことにならないかな・・・」

など活動中に生じたことにおいて不安に襲われたことはあると思います。

実際に消防が器物を破壊し訴えられた例はいくつもあります。それも数件ではなく何十件も。

地域住民を守るため、助けるために活動したのに、訴えられてしまい、

さらに損害賠償まで払う例まで出てます。

そういった際に消防としても毅然と立ち向かうには武器がなければなりません。

その武器とは書証です。

2.書証とは?

書証とは何かといいますと複雑なため詳しくはこちらを参考してください。

ざっくり簡単に言いますと民事訴訟において事実を立証するための文書です。

消防士に何の関係があるかといいますと

我々公務員が作る文書(活動報告書など)は極めて証拠としての価値が高いのです。

「公文書とは、公務員がその権限に基づいて職務上作成した文書をいう。それ以外の文書を私文書という。公文書については、真正に成立したものと推定される(民事訴訟法228条2項)。」wikiより引用

そのため、活動報告書などの公文書は民事訴訟の際には、かなり重要な証拠となりえるわけです。

しかし記載内容がお粗末なものでは全くもって意味がありません。

ですので記すべき内容をお教えいたしますので、これに従って記録していただければ大きく外れることはないでしょう。

※活動報告書でなくとも記録として残っていれば公文書としての力はありますので、所属の方針で報告書に記載できなくとも、ご自分で記録していただければ良いかと思います。

3.書証としての記録すべきこと(基本的)


(1)現場の状況

 ・破壊概要

 ・破壊が必要かつ妥当と思われる緊急性の状況

 ・破壊以外の救出方法の有無

 ・破壊時の立会い者・了承した者の有無

(2)救急隊としての活動時

 ・破壊前に確認できた傷病者の状態

 ・傷病者の主訴や観察結果および処置内容

 ・総合的に判断した緊急度や重症度


上記の内容を組み込んで文書を作成し、保管していただければ後日訴訟に発展、または発展しそうな際に役立つ公文書としての役割を果たしてくれるでしょう。


4.まとめ



いかがだったでしょうか?

基本的に中規模以上の消防組織であれば文書の書き方や記載内容などはある程度固められ、報告者の意図する内容が記載できないこともあるかと思います。

ですがもし訴訟などに発展しても消防本部はあなた個人を徹底して守る力があるかというと、かなり怪しいと思います。あなたが組織の指示通りに活動報告書を記載していたとしても。

その報告書は組織の規則に従ったものではありますが、あなたを守る書証足り得る力を持っているかは疑問が残るところです。

なので仕事内容は増えるとは思いますが、今回記したような記録を報告書とは別でもよいので残しておくことが極めて大事だと思いますので、ぜひ実践いただければと思います。


また、私個人的には平の消防士が記録するよりはある程度の階級・役職のものが記載したほうが、信用度は増してさらに良いと思います。