消防署はどうやって配置場所を決めているのか?
1.消防力の整備指針とは?
我々消防士が勤務する消防署の位置や、消防車が火災現場に向かうまでの時間などは消防庁が告示(発表)している「消防力の整備指針」に基づいて設定されています。
それだけでなく、消火栓の数や位置、どれだけの水があれば消防隊が使える水(有効水利)として認められるかなど様々なことが決められています。
今回はその中でも消防署の配置についてご説明します!
まずは、こちらがまとめたものになります。
ざっくり過ぎて何が何だかわからないので一つずつ解説していこうと思います。
2.消防署の配置の基準は?
「消防力の整備指針」では消防署整備の要件として以下の3点をまとめています。
①ポンプ車が出場から火災現場に到着して放水開始まで6分30秒
②ポンプ車の「走行限界時間」(現場につくまでの時間)は4分30秒
③火災現場到着後、放水開始するまでの「放水準備時間」は2分
この3点が基準として消防署はその場所に配置されています。
もちろん過疎地域などでは上記の時間よりかかってしまうなど例外はあります。
この3点は統計を基に延焼を極力させないための時間設定になっています。
これでもざっくりしているので一つ一つ説明していきます!
ポンプ車が出場から火災現場に到着して放水開始まで6分30秒
まず①から説明していきます。
なぜ6分30秒なのか。疑問が浮かぶと思いますが、下記の資料で説明します。
この資料は隣棟間隔が違う建物で出動から放水までの時間の違いによってどれだけ延焼率が違うかを示しています。
ちなみに隣棟間隔とは家と隣の家との間隔のことを言います。
この図を説明しますと
①隣棟間隔が1m未満では、かなり早く放水したとしてもほとんどの場合延焼してしまうことを示しています。
②青部分の2m以上5m未満になると、放水開始がかなり遅くなった場合を除き延焼率が比較的には低くなっていることがわかると思います。
③赤部分の5m以上では延焼率は極端に低くなっていることがわかります。
つまり消防士が出動から放水までの時間で延焼するかどうか
一番関係する隣棟間隔が
1m以上~5m未満の火災現場ということになります。
ではそれを踏まえたうえで次の資料を見ましょう。
3.隣棟間隔1m以上~5m未満の火災現場
先ほど言いました隣棟間隔1m以上~5m未満の火災現場では出動~放水開始までの時間が
6分から7分になると急に延焼率が上がることがわかると思います。
そのため消防庁はその中間値である6分30秒を基準として、消防署を配置しましょう!と定めたのです。
これが①ポンプ車が出場から火災現場に到着して放水開始まで6分30秒
の根拠となります。
4.まとめ
つまり、消防署は火災が出来る限り延焼しないことを目標として配置が決められているということになります。
このことを消防力の整備指針では、「一戸建ての専用住宅において発生した火災を火元建物1棟の独立火災にとどめ、隣棟への延焼を阻止」することを目標とする。と記載してあります。
説明が難しくわかりづらかったと思いますが、わかっていただければ幸いです!
今回説明できなかった
②ポンプ車の「走行限界時間」(現場につくまでの時間)は4分30秒
③火災現場到着後、放水開始するまでの「放水準備時間」は2分
の2点についてはまた後日noteを上げたいと思います。