舞台『seven』
劇団Miss女子会 第五会公演『seven』 を観て来ました。
昨今の社会状況で、やむなく延期・中止を繰り返すなか、昨年の「キャプションボード」からほぼ一年、ようやく開演することができて本当に良かったです。
僕は場所が中野BONBONだったことも幸いして、12/1~12/5の全6公演すべてを観劇することができました。
これまでMiss女子会(略称ミスジョといいます)の四公演とナナシノ( )の公演について書いたときには、素人なりにできるだけファン目線にならず、知らない人でも読める様に「外向き」で書いてきたつもりです(書きあがったものが実際にそうだったかは別にして)。
だけど、今回だけはちょっと無理でした。
なぜなら今作は、脚本を書いたリーダーの神谷実玖さんをはじめとするMiss女子会のメンバーのみなさんが、現実の自分達が置かれた状況や、今の想いを込めた作品になっていたから。
つまり、Miss女子会そのものが描かれてると言ってもいい作品。
ファンとしては作品に込められた以上のものを(勝手に)感じ取って、感想を文章として成立させながら客観的にまとめることができなくなってしまいました…
以下、思いつくままに綴っており、完全にネタバレしてます。その点はご了承ください。
神崎 一花 … 神谷 実玖
野々村 紫苑 … 野口 紗世子
豪徳寺 双葉 … 碧乃 美月
田所 いつき … 流矢 聖子
小林 睦子 … 磯ヶ谷 典華
櫻坂 澪 … 伊戸奈 楓
斉藤 七海 … なりみ
松野 那月(明星) … 伊藤 雨音
佐々木 日向 … 木村 佳奈枝
レポーター … 北條 愛実(音声のみ)
脚本・演出 … 神谷 実玖
劇団事務所『seven』のメンバーは一筋縄ではいかない個性的な面々。
パワフルなリーダーの「一花」。
金持ちの娘で見た目と裏腹な「双葉」。
ホストに入れ込んでいて口が悪い「澪」。
ザ・女優で自分大好き「紫苑」。
カメラオタクで交換レンズにジェニファーと名付けている「いつき」。
東北訛り?の大迫力能天気で迫る「睦子」。
そしてキーパーソンのひとり、「七海」。
人物の名前は「めぞん一刻」、事務所名は「ワイルドセブン」方式。
どうしようもないなこの人たち…。という場面から物語りは始まります。
冒頭のコメディパート。ここでもう心を掴まれてしまいました。
なぜなら登場人物、その性格や振る舞いやネタがミスジョファンなら理解できて、クスリと笑う…いや爆笑する様なものだらけでしたから!
例えば双葉役の碧乃美月さんは、人前に出るとき必ずメイクを欠かさないことで有名です。それが冒頭の双葉に盛り込まれているものだから、これだけでこのお芝居が現実と地続きだと思わせてしまうんです。
女優を活かした仕事を探そうとテレビを点けると、コーナーに「佐々木 日向」が出てきます。有名なシンガーソングライターですが、この時点では睦子以外は関心が無い様子。
チャンネルを変えると、なぜかBad Cityが流れていてどうやら「探偵物語」を放送っているみたいです。これを見た一花は探偵事務所を思いつきます。女優も探偵も演技力が必要だと。
それにしても、きっかけが松田優作のテレビドラマ「探偵物語」(1979年)とは…。一花はノリノリで帽子かぶってベスパに乗った工藤ちゃんのマネ?をしている様ですが、何歳なんだ?(笑)、みんな優作知らないでしょう?
このパートは他にも面白いネタが連続します。マカロン食われたと木刀を持って暴れる一花、甲子園で自分はテレビカメラに抜かれていたと言い張る紫苑、つまらない声かけの見本を示したした一花にブチキレる双葉などなど。
でも、お笑いを文章で説明するほど通じないものはないので、このへんで止めて置きます。気になる方はDVDで…
ここで物語の鍵になる事件が起きて、もうひとりの劇団員七海と、日向が登場します。
ちなみに、日向は関西弁(演じる木村佳奈枝さんが京都出身なので京都弁?)で話すキャラクターです。
舞台上にはそれぞれ台本に目を通している那月といつきを残して、その台本の内容、つまり五年前の那月と日向の会話が音声のみで回想されます。
それ以来、二人は絶交状態になっていました。
いつきは那月の過去を知ったものの台本になった理由が判りません。紫苑に聞こうとすると那月に止められてしまいます。
日向はひとり事務所の中で写真を見たり、台本を手にとって演技の真似事をしたあと、ギターを出して弾き語りを始めます。
ここで歌った曲は公演時にはタイトルは無かったそうですが、後日「アカリ」と名付けられました。
曲も歌詞も、なによりアコースティックギター一本で歌う佳奈枝さんが素敵で、まさに日向演じる佳奈枝さんのライブコーナーでした。
弾き語りがBGMに切り替わった後、みんなが入ってきます。ここでは音楽のみで台詞は無く、初めて会う日向と会う人は会釈したり手を振ったりと夕暮れを感じさせるライティングの中とてもいい場面です。
次に、紫苑と日向が出会った昨晩に時間が戻って回想(再現)になり、それをもって皆にいきさつを説明した、という構造になっていました。
ここでは気になる台詞が出てきます。
「わたし、時間が無いんです。」
続けようとすると、全国ツアーの事だと思った睦子が遮ってしまいましたが。
散々疑ったまま出て行ってしまっていた双葉も帰ってきます。謝罪の言葉と共に、「わたし…ここしか行くとこないし…みんなのこと…好きだから…」だから警察も呼ばなかったし、本当は良い子なんです。
双葉の時計は質屋で見つかったのですが、それは世界に100本限定、うち日本には5本しかないそうで、時計にはすべて「シリアルナンバー(Serial number)」が入っているそうです。
それを聞いた睦子、やおら食べ物のシリアル(Cereal)を持ってきて「ナンバー…ナンバー…シリアルに番号ってどこに入ってる?」「はぁ?入ってるわけねーだろ!」
いつもは「そうなの?(しょぼん)」って落として終わっていたところが…
千秋楽のみ「あ゛あ゛っ!あ゛っだぁ!8って書いてあるぅ~!」!?
なんと番号の書いてあるシリアルを発見!意表をつく展開で大爆笑!他の回も観た人向けのちょっとしたお遊びでした。
一花が台本を書くために、日向やみんなから話しを聞く場面。日向が帰って七海が部屋に入ってくるまではBGオンリーで台詞の無い芝居が続くのですが、僕は好きな場面でした。
台本に盛り込むために、一花のまわりで最近あった出来事を話しているみんなを、少し離れた自分のデスクから見つめる双葉。美月さんの演技がとても良い表情だったのです。「ここしか行くところが無い」と打ち明けたあとだけに余計にそう感じたのかもしれません。それに気付いてからは、この場面では双葉の表情を見る様になりました。
それぞれが抱えたものが明らかになって、終盤に向けてのターニングポイントになる場面です。
一花の「それで…うん」とある意味中途半端で終わる台詞が、かえって何かを予感させます。
ここは、ここまでの場面から抜粋された台詞が入れ子構造になって、本読みの形でお芝居が進みます。
台本を手に持って、みんなが横一列に座り一花が後ろの机に腰を掛けてます。それぞれにスポットライトが当たっていて、順番に台詞を読み上げるとそれぞれのライトが強調される。朗読劇みたいでした。
「え…?」
驚き、動揺する一同。
「…こんなこと簡単に言えるわけ無いでしょ!!」(一花)
いろいろ真剣に考えた結果、解散した方がいいんじゃないかと思った。この劇団があんた達の首を絞めてるんじゃないかって。劇団をやっていなかったら、みんなの人生は違ってたのではないか、劇団があなたたちの人生の重荷になっているんじゃないか、だから解散して新しい道に進んだ方がいい。
那月(明星)の想いが明かされます。
ずっと現実から逃げてきた。自分は努力してないのに上手くいかないことに腹を立て、上手くいきそうな親友に八つ当たりしてしまったこと。
「偽善者」とまで言ってしまい、後悔していること。
あの時から感情をなくした生き方をしていて、人生を終わらせてもいいとまで思っていたのに、車に轢かれそうになった時に劇団の看板が偶然目に入ったことで友達との約束を思い出し、もう一度あの約束を果たせるように頑張ってみようと思ったと。
ここではじめて日向と那月(明星)が再会して、日向が想いを吐露します。
偽善者と言われても仕方が無い。あの時、自分のことだけしか考えてなくて、チャンスに舞い上がって舞い上がって明星のことを忘れていたこと。
あれから五年経って明星は芝居を辞めたと思っていたが、後ろ姿を見かけて後を追い、見失った場所に劇団があったことで、芝居を続けているのかもと望みを持ったこと。
一花に二人の話を書かせてと言われて、それは約束を果たせる最初で最後のチャンスかもしれないと。
ここで一花は、本番中に母親が倒れたらどうする?と父親に言われた時の話を始めます。一花は「すぐに帰る」と答えたのですが、父親からは「それはプロではない」と返されたことを。
一花はやはり自分は芝居を選べない、プロとして生きられないんだろうなと考えているといいます。その上で、那月はどう?と尋ねられ、
「なってみないとわからないけど、多分、今なら芝居を選ぶと思う」
と答えます。
(個人的には、ここで多少なりとも迷いがあるのは好感が持てました。僕自身は「親の死目に会えない」的な考え方には否定的なものですから)
そして、場面は転換し舞台本番当日を迎えます。
緊張を解くため手に「人」と書いて飲み込む那月や、芦田愛のモノマネをする七海、や双葉パパの会社が倒産したり(でもママの方が年収良いので何の問題も無い)、かわいらしさの表現が他と違う睦子などいつもの皆に戻ったコミカルな場面。
遅れている日向を気にかけてはいるものの、心配はしていない様子でした。
「うわさをすればひなたなのだ~」双葉のマネをして電話にでる一花でしたが、表情が一変します。
日向は病気を隠していましたが、病状はもう長くは持たないと宣告されていました。
舞台の題材にすることを快諾した時に、「わたしには時間が無い」と言っていたのはこのことだったのです。
ここはなんといっても木村佳奈枝さんの長台詞が圧巻です。
ボイスメッセージが着いた、という場面ですが佳奈枝さんは舞台上に居ての演技になります。
声にエフェクトがかかっていたので、最初僕は事前に録音したものにリップシンクしているのだと思っていました。スマホに着いたボイスメッセージなので、それでも不自然ではありません。
しかし、それにしてはシンクロが完璧で感情表現もできているので、その場で話しているんだと気付きました。
後で聞いたところによると、舞台上にマイクが仕込んであって、そのマイクで拾った声を音声さんが上手く合成して流していたとのこと。
佳奈枝さんは、日向の気持ちを素直に話しているので長い台詞でも苦にならなかったそうですが、とても良い場面であると同時に、この物語の結末への方向性と観ている人への答えを示す大切な場面です。
ここは、台本とかなり異なるので、書き起こしてみました。
日向が書いた主題歌「ノンフィクション」が流れます。
台詞でタイトルを「プロ」と言っているのは、みんなを笑顔にさせようと日向が冗談を言っているんだそうです。
開演を意味する円陣で幕を閉じるのはズルいですよ…(涙)。
でも、あのラストシーンは前向きで爽快感があってとても良かったです。
ほんとうは舞台に限らず、映画やドラマでも「泣けること」を評価の基準にするのは好きではないのですが…
繰り返すけど、今回だけは無理。
ただでさえテーマ自体が感動を呼ぶのに、実在するMiss女子会の現状や想いを、団長の実玖さんが脚本を通して描いていると思うだけで、劇中の「劇団セブン」はミズジョに見ます。ミスジョでおきてる事がセブンを通して見え、セブンを通して見るとミスジョが見えてくるという再帰構造のまさに「ザ・ノンフィクション」で、現実のミスジョのメンバーが、劇中で描かれた葛藤や焦燥と同じ様な現実を抱えて活動をしていたかもしれないと想像するだけで心穏やかではいられないのです。
だって、劇中のセブンの公演は、台本では『劇団セブン第五会公演』て書いてあるんですよ、Miss女子会公演名そのものじゃないですか!
もちろん、すべてが現実からなんて思っていません。「なりみさんがモノを盗んでいた」なんてあり得ないんだけど、でも、そういった極端な出来事以外の台詞に見え隠れする、たとえば澪や紫苑の「戻って来いと言われる」「夢なんか追っても飯は食えない」「地元に帰って来い」は、現実の誰かが言われていてもおかしくないんじゃないでしょうか。
また、過剰に思い入れを持ってしまう理由がもうひとつ別にあります。
実は今回、六名のメンバーが劇団を退団することになり、Miss女子会としての最後の舞台だったのです。
(※正確には2021年12月31日付けで退団予定です)
観劇する上でできるだけ意識しないようにしていましたが、まったく影響を受けない事はあり得ません。
ここまで偏ると、ファンじゃないお客さんには楽しめないのではないか?と勘ぐられるかもしれませんが、そんな事は無ありませんと自信を持って言えます。
きちんとストーリー全体で、コミカルな部分とシリアスな部分のバランスもテンポも良く構成されてましたし、夢と現実の間でどう人生の折り合いをつけるか。誰にでもある普遍的で昔から扱われてきたテーマをストレートに扱っているからです。
ミスジョやそのメンバーを知らなくても、楽しめたと思います。
僕は初日を観劇後にtwitterでツイートしましたが、その想いはいまでも変わっていません。
今現在、何か夢を追っている人、何かに真剣に取り組んでい人、そして、そういう人を応援している人・見守っている人には何かしら感じるものがあったはずです。
「現実の劇中劇」。
何か上手いこと言えた様に見えて、それって普通の演劇のことでは?と自分で自分にツッコんでしまいますが、もし今回の公演を一言で例えるなら?と問われたらこう答えるでしょう。
昨今の現実はいっそう厳しくなっている状況でもあります。
このテーマに正解はありません。劇中の解散問題は保留のままですが、もしかすると日向の想いを汲んで思いとどまるかもしれないし、やっぱり解散して役者を辞めてしまうかもしれない。
ただ、どの道を選んでも人生は続きます。
“Show must go on”は本来人生のことだと思うんです。
今回の登場人物は、みんなそれぞれ印象に残ったんじゃないかと思います。
それぐらい全員のキャラクターが立っていて、と同時に登場人物を通して今のMiss女子会を見せられた感じもします。ということは、ミスジョのメンバーも全員キャラが立ってる、個性が強いと言っていいですね。
いつもは登場人物と演者さんの関係を総評的に書いていましたが、今回は特に個人的な思い強めになってしまいました。
伊東 雨音(松野 那月<明星>)
登場人物で唯一演じる本人と共通点が無い様に見えるのですが、こちらが知らないだけで、もしかしたら本当は雨音さんの中に那月的なものがあるのかもしれません。
感情の起伏を見せない那月を演じるのは、難しかったのではないかと思っています。特に後半周りが泣いても涙を見せる訳にはいかなかったでしょうからね。
ずっと抑えた演技を続けて、最後のここぞという場面で感情を爆発させることである種のカタルシスを得ることができた筈です。
雨音さんは、今回の公演を最後に退団します。ただ、事務所には残り活動は継続するとの事。
雨音さんは貫禄がついちゃって、もはや近寄れない感じですよ。カーテンコールでの対応ぶりも堂々としていて、立派なものでした。もう『大女優』ですね(笑)。
でも真面目な話し、僕は第二会「男尊ジョリー」以来、雨音さんの演技を高く評価していて(と言うと上から目線で偉そうに聞こえますが)、どんな役でも上手くこなせそうだなと感心してる…いえ、そんな理屈よりも単純に雨音さんの演技が好きなんです。
今回の難しそうな那月も、実玖さんの信頼かもしれませんね。
お金が足りなくて葛根湯が買えなかった時代が懐かしいです(笑)。
木村 佳奈枝(佐々木 日向)
佳奈枝さん演じる日向の見所は、誰もがまずは弾き語りの場面を上げると思います。僕は佳奈枝さんが時々Instagramに上げていた「弾き語りシリーズ」が好きで、それを目の前で観れるとは思わなかったので嬉しかったです。
もうひとつの見せ場は、ボイスメッセージの長台詞。レポート内にも書きましたが感動的なメッセージになっていて「明星の居場所になってくれませんか?」や「それや!それそれ!笑顔!笑顔でね」では毎回泣かされました。とくに「笑顔!」の方は佳奈枝さんの明るい言い方の台詞回しが返って胸を打ちました。
佳奈枝さん書下ろしの劇中歌「アカリ」と主題歌「ノンフィクション」。
どちらもとても良い曲で、この歌たちを聴くだけで『seven』が描きたかった世界が見えてくるという歌詞になってます。天才かよ佳奈枝さん。
佳奈枝さんが持つ純真無垢な部分だけを抽出して構成したような日向(怒られる?)は、シンガーソングライター木村佳奈枝も存分に発揮できた魅力的なキャラクターでした。
初日にギターケースのストラップフック?が衣装に引っ掛かってしまったのにはヒヤッとしましたよ。
なりみ(斉藤 七海)
キーパーソンのひとり七海。事務所に盗みに入るという、そこまでの場の雰囲気から空気を…ちょっとだけ一変させる登場場面でした。
(「ちょっとだけ」なのは相変わらず面白い空気は残っていたからです)
七海はなりみさん本人と言ってもいいかもしれません。なりみさんは泥棒なんかしませんが。
ほんわか明るいなりみさんのキャラクターがそのまま活かされている気がします。芦田愛菜のモノマネもそうです。なぜか「お母さん感」を感じるのは衣装のせいかな?
暗闇での家捜し場面で、毎回 Bad Cityの替え歌でおもしろネタを仕込んでくれたのですが、残念ながらアーカイブ分しか分からないんですよ。
「真夜中の 犬の散歩 せつないね」に続く部分、記録に残っていたら公開して欲しいところです。
なりみさんも、Miss女子会での公演は最後でした。昨年のキャプションボードでは、ミスジョ公演唯一の単独主演を務めて印象を残していましたね。
これを書いている時点では、今後のことは分からないのですが、ファンの多い彼女のこと何らかの形で縁が続くと良いですね。
磯ヶ谷 典華 (小林 睦子)
演じる”ふみぱん”こと典華さんは、前作「キャプションボード」でもぶっとんだキャラクターで注目を集めましたが、今回も「訛りの強い能天気な大柄の女性」睦子で強烈な印象を残しました。
睦子も本人寄りのキャラなんでしょう。
那月がひとりで台詞の練習をするとき、睦子に音楽をかけるといいと言われて、ボソボソとつぶやきます。
「あの人…あの顔で泣くのかな…」
「おもしれえ顔してるよな…」
「顔若けえし…」
「アンパンマンみてぇだ…」
「きっと…子供に大人気だ…」
完全にふみぱんのことですよね(笑)
それと、シリアスな場面に埋め込まれた「馬に家と書いて馬家」は、相手の美月さんがよく噴出さないなと感心しました(笑)
ふみぱんは、もうほとんど「飛び道具」で、とても面白いのですが、一方であまりその印象ばかり付いてしまうのは可哀想かなとも思います。
でも、やはり強烈な印象を残せる武器?があるのは強いので、続けて欲しくもあり、悩ましいところですね。
毎回ホワイトボードに書く似顔絵、似てました。
流矢 聖子 (田所 いつき)
しょっぴぃ(聖子さん)といつきの関係は難しいかな。
トンボ眼鏡が特徴な、見るからにオタクのいつきにくらべて、演じるしょっぴぃ自身にそういう要素は無い様に思えるからです。
でも、釣りや音楽が好きだったり、とても良い写真を撮ってインスタに上げているのを見たりしているので、アイコンとしてのオタクではなく、好奇心があって自然と色々なものに興味を持っているところが、いつきの部分に通じるのかもしれません。
過去作で、とっても明るかったり、多少口が悪かったりしても根底に「真面目な女の子」である人物を演じる印象が強いのですが、今回もそう。
始まる前に確かどこかで、「自然に演じられる役だ」みたいな事を言っていた記憶があります。その言葉通り、舞台上にとても自然にいつきが存在していました。
交換レンズに「ジェニファー」と名づけ、それを見ながらエロいなあとうっとりし、ジェニファーのピンチに澪と渡り合い、自分の事よりも他メンバーの事を考えてしまう性格(しょっぴぃ本人談)の事も含めてね。
ちなみに、劇中で使っていたカメラ(SONY α6600)はご本人のものだそうです。
しょっぴぃも今回の舞台を最後にミスジョを退団するひとりです。カーテンコールでみんなと縁を切る気は無い。と言っていたので、ぜひそうなるといいなと思ってます。
あと…衣装をオタク的に見せようとして、かえってドキッとする着こなしに見えちゃったのは僕だけ??
野口 紗世子(野々村 紫苑)
前向きでちょっと自己陶酔ぎみの紫苑とそれを演じる紗世子さんは、同一人物に見えてしまって仕方ありませんでした。その様に脚本が当て書きされているだと想像します。
劇中でも「美人の色仕掛け担当」なんて言われますが、現実の紗世子さんもモデルをするほどの美貌の持ち主。そこに惹かれるファンも居る事でしょう。
でも、僕が紗世子さんを応援したくなる理由は見た目だけではなくて、ある面ではあけっぴろげで、言いたい事は言い、晒せるものは晒して、ある時はテンション高めでご機嫌だったり、またある時は明らかに不機嫌そうだったり、場合によっては気持ちを抑え切れなくてファンと言い争ったりする、そういう感情豊かで人間らしいところなんです。
そんな紗世子さんが、お芝居なのか素なのか分からない紫苑を通して垣間見えて、観ていて楽しかったです。
さよっこりー(紗世子さん)も、今回の公演がミスジョ最後でした。
息が続くだけ語尾を伸ばす、「何のキャラだよ?」と言われた台詞も印象的。
「全力で自分に素直だったんだぞーーーーーーーー!」
この3年半、まさにそうでしたね。
「わたしも気合、入れなくっちゃーーーーーーーー!」
今後も活動続けるって言っていたので、次に進む場所に向けてまた気合入れなくっちゃですね。着いていきますよ。
おしゃれさんでもある紗世子さんは、日向他に衣装を提供したそうです。
一方紫苑は、唯一途中で衣装が変わる、早替えのある役でした。睦子に「服がダサい」と言われるのですが、ここは睦子の感覚がズレてると笑う場所だとばかり思ってました。終わってからファンの方が(衣装が)ダサかったと言っていて、本人もコーディネートがちょっと…みたいなことを。あれ?そうだったの?(笑)
伊戸奈 楓(櫻坂 澪)
口が悪くて柄も悪い澪。でもまっすぐで正直な性格の裏返しかも。
いつきが良識ある夢想家なら、澪は現実的な常識人な気がします。
女優のためといいつつ、ホストに注ぎ込むのも優しくして欲しいから(睦子が話しの続きを受けてしまったけど、否定してないので違ってはいないはず)で、これって寂しがり屋のかえちゃんから来た設定なのかもと思ってしまいました。
実際の楓さん自身は、あそこまでガラ悪くないけど、まっすぐで正直なところは同じかな。それでいてとても繊細なひとという気がします。
澪は、ある場面から毎回物凄い顔で泣き始めるので、それをきっかけにこちらもつられて毎回泣いちゃってたんですよ(笑)
かえちゃんは、第三会アンダンテではアンサンブル、前回キャプションボードではダブルキャストから、今回は澪役で正規メンバーとして立つ最初で最後の舞台になってしまいました。
事務所を離れても活動は続けるとのことで、次の予定も発表されています。今後も活躍は見られそうですね。
碧乃 美月 (豪徳寺 双葉)
双葉はとても印象に残り、悪目立ちするキャラクターでしたね。
何かというと「パパァ~が、パパァ~は」と自慢する金持ちの娘で、やることなすこと嫌味な言動ばかり。セブンの面々に資金を提供(貸し出)していて、ある意味でこの話しの発端になった人物です。
最初、あまりの嬉しさに感極まって公式の感想アンケートに「双葉は碧乃美月そのもの」みたいな書き方をしてしまい、あわててフォローしたのですが…
本意は「双葉に碧乃美月本人のネタがたくさん盛り込まれている」と「双葉は僕の観たかった碧乃美月だった」で、それが合わさって「双葉=碧乃美月」みたいな書き方になっちゃいました。決して美月さんが双葉みたいなヤツって意味じゃありません。本人とのギャップが面白いということです。
もちろん、実は双葉の人物像そのものって可能性もありますが…
双葉だってただの「嫌味なバカ女」じゃないと思ってます。盗みを疑っても警察に言わなかったし、「ここしか行くところが無い」と本音を漏らしたり、明星と日向が握手するとき、日向の背中を押すのが双葉だったり。本当は良い子なんです。
あちこちで書いてますが、今回は「僕の観たかった碧乃美月」が存分に暴れまわってくれたので、それぐらい嬉しかったんですよ。
常々、可愛らしい容姿そのままの役も良いのだけど、それだけでは面白くないので、今回の双葉みたいな役か、狂気を帯びたような役がいいんじゃないかと思っていました。
所謂アニメ声に聞こえるけど、「アニメ喋り」(アニメの台詞みたいな話し方)をしない台詞回しも、ずっと好感を持っていました。だからこそ「おめぇらも可哀想だったらお小遣あげっから…しっかりと惨めになるように。がんばれよ」みたいなドスの効いた台詞も活きたんだと思うんです。
序盤の場面。前半のレポートにも書いたメイクの箇所、
「男にも、偽りの自分なんかは絶対に見せない」
「双葉はなにもせず、生まれたままに近い形で」
「(ファンデーションを擦り付けながら)だから…ありのままの…自分で」
「はいっ!双葉完成!」
(一花)「偽ってんじゃねーかよ」
「どこからが本当でどこからが偽りかは自分次第でしょう?」
ここは現実の”あおみぃ”が反映されたと思える台詞です。爆笑を誘う反面、台本に入ったってことは他のメンバーからもそう思われてるんでしょうかね?!
別の場面で「化粧で顔覆ってさ、偽ってんのはあんたじゃない!」と澪に罵られても、僕は心の中で「(澪役の)かえちゃんそんなこと言わないで~」と思ったりして。
Miss女子会発足当初、「美月はミステリアス」と言ったのは、他でもない実玖さんでした。
美月さんは、決して自分を偽って見せている訳では無いと思いますが、あまり本心を語りたがらない様でした。性格もあるのでしょうけど、周りと一線を画すところは尊重するし尊敬もしてるんです。
でも、あとほんのちょっとだけ気持ちを見せてくれたり、頼ってくれても良かったのになあとも思います…ファンなんて勝手なものですけどね。あ、よく言われてる「スッピンが見たい」云々の話しじゃないですよ!
Miss女子会発足前から応援していた美月さんも、残念ながら今回の公演がミスジョとしては最後でしたが、今後も活動は続けるとのことです。これからも、いちファンとして「出会ったことが人生の汚点」(双葉の台詞)と言われないように僕もがんばりますね(笑)
神谷 実玖 (神崎 一花)
一花は、他の登場人物と比べようも無いくらい神谷実玖そのひとだったと思います。脚本を書き、演出をして、自分でそれを演じる。立場的にも状況的にも同じか似通っていて、性格や話し方など人物像も実玖さんそのものといっていい感じでした。
それを演じるのは、もしかすると難しいを通り越して苦しかったんじゃないかとさえ推察します。
「なかなか芽が出ないしさあ…<中略>…それにわたし、才能が無いみたい」
解散を明かしてからの一花の台詞は、まさに実玖さんや、メンバーの想いや言葉だと感じさせるものばかりでした。
この本が書かれた経緯を知りたいところですが、今となっては詮無いことでしょう。
ここだけの話し、フライヤーの写真を見たとき「Miss女子会を解散するのかも」と感じました。結果的にそれは外れましたが、六人のメンバーが退団することになってしまいました。一方で劇中の『劇団セブン』は明確に解散すると宣言します。そのへんの交錯具合が、なんと言っていいか、現実なのか芝居の中の出来事なのか思考が堂々巡りになってしまいます。
もっとも、そこまでいくと「考えすぎ」と笑われると思いますけどね。
実玖さんには、変に逃げずに正面からこのテーマで作品をつくってくれたことに感謝しています。
もちろん、コミカルな場面での吹っ切れた演技も大好き。「やってみよーよ❤️たんてぃじむしょ!」と「あーんたらのための、執筆。」は僕の好きなツートップです。
あと、古畑任三郎はともかく、探偵物語の松田優作はどうだろう?僕は喜んじゃったけどね(笑)
北條 愛実
めぐみさんは今回音声のみ(テレビのレポーター)で、スタッフとして物販など裏方で活躍していました。面会が不可だった分、もっともファンやお客さんの近くに居たメンバーさんです。
初日、物販予約でこちらが名乗る前に認識していてくれた事には感激しました。
カーテンコール、今回は成功したんじゃないでしょうか。
スタンディングオベーション、ダブルアンコール。
ファンのみなさんからのサプライズ。
ミスジョのメンバーも感激して、喜んでもらえた様です。
Miss女子会自体は今後も継続します。
でも、Season1が終ったなって感じはしています。
Season2が始まると信じますが、現時点ではどの様な形になるのか分かりません。
今は現体制のMiss女子会に、楽しく感動的で心を動かされる作品をありがとうございましたと感謝すると共に、Miss女子会に残る人や別のステージに進む人たちを応援できたらいいなと思ってます。
(やまっくす)