無思想よりヤバイもの
えーこの記事が1万RTとかバズってて読んだんですけどおかしいと思ったところがいくつかあるんで列挙していこうと思います。列挙するだけだと粗探しマンなので自分の結論も最後に述べます。
この記事の主張は要約するとこうです。
「自分が無思想だと思っている人は、実はマジョリティの考え方を内面化しているにすぎず、またそれ故に思慮も浅いので、他人にマジョリティの考え方を押し付ける」
しかし実際論理が雑すぎると私は思うわけですよ。
(以下、>は全て引用)
>人間が何らかの活動によって生きている以上、本当に「無思想」などという状態はあり得ません。
あり得ます。人間が生存するには衣食住や睡眠が満たされているだけでいいわけです。そこまで動物的にならなくとも、何かしらの仕事によって対価を得て、その金でものを市場から購入するというプロセスに思想を介在させないことは可能です。選挙には行かず、職場でたまに何かしらの思想/宗教に関する話題もしくはトラブルに遭遇すればその時は無関心という態度をとるだけの話です。人間を過大評価しすぎです。全ての人間が明確な思想を持ち主体的に生きているというのは少なくとも現実からは乖離したものの見方です。
だからこの後の無思想についての説明は全て誤りと言っても過言ではありません。無思想者のほとんどは他人を蹴落としたいわけでもなければ物事を穏便に収めたいだけですらありません。ただ、考えなしなだけです。画像もありますがしばらくしたら有料になるみたいなので貼るのはやめておきます。みたけりゃ無料期間内に見るか金を払って、どうぞ。
>無自覚なまま反対することが起こり得ます。
>実際には無思想やノンポリを標榜する人ほど言論においては「誰かを黙らせよう」とするという、究極に全体主義的な振る舞いを見せることがあります
当たり前ですが、「〇〇することがある」と「〇〇である」の間には天と地ほどの差があります。白いカラスは存在しえる(アルビノ・単にペンキで塗られた等)が、だからと言ってカラスの大半が黒いことに意義を唱える人はいないでしょう。単に印象で語っているのでは?
ここもそうですが、日本人の同調圧力が強いとか、どういう根拠で言っているんでしょう。まさか、”みんながそう言っている”とかじゃないですよね?
>マイノリティはまず、自分が「何らかの特殊な立場」にあることを自覚させられ、「普通」という集団から蹴落とされることからスタートします。
ここからの一節は一番極端な主張だと思います。要約すると、
「マイノリティはマイノリティであるがゆえに環境から相対主義を学べるが、マジョリティはマジョリティであるがゆえに相対主義は学べない。」
生まれで人を判断するな!差別だぞ!
まあ冗談はさておき、この理論で行くとマイノリティはみんな相対主義を学びマジョリティはみんな差別主義者になることになります。もちろんみなさんご存じの通り現実はそうではありません。差別主義者のマイノリティも平等主義者のマジョリティも存在します。この現実から目を背けて「マジョリティVSマイノリティ」の分断を煽ることに何の益があるのでしょう?
私の主張
・マジョリティVSマイノリティという対立構造にしているけど、世の中はそこまで単純な二項対立ではない(差別されている黒人が黄色人種を差別することもあるし、当然差別しない白人だって存在する)
・「無思想/思想」「マジョリティ/マイノリティ」「愚か/賢い」という二項対立に執着しすぎているせいで現実とはかけ離れた理論になっている。
・思想がない人の中にはシンプルに、思想を形成するだけの知識や知能がない人が含まれている。
・一番面白いのは、これを読んで感想を呟いている人たちのツイートの9割ほどは賛同で、この文章の中では社会にたくさんいるとされている「無思想の人」がどこにも出てこないことです。(一人「自分のことだ」とおっしゃっている方はいました)
多分この文章を読んた人は、みんな「自分は無思想じゃない」って思うんでしょうね。本当にそうなら同調圧力なんてないはずなのにね。
以上です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?