資金循環統計と家計金融資産

■資金循環統計

「資金循環統計」とは、日本銀行が四半期毎に公表している統計である。


2022年9月20日に公表された、2022年6月末時点での「家計金融資産」を見てみる。

・残高…合計2007兆円!
 ・現金預金…1102兆円
 ・債務証券…25兆円
 ・投資信託…86兆円
 ・株式等……199兆円
 ・保険年金定型保証…538兆円(うち、保険382兆円)
 ・その他…56兆円


2022年8月31日に公表された、2022年3月末時点での「日米欧比較」を見てみる。

家計の金融資産の構成において、
日本は、2005兆円のうち、54.3%が現金預金。(大半は預金通貨)
米国は、115.5兆ドルのうち、13.7%が現金預金。
欧州は、28.6兆ユーロのうち、34.5%が現金預金。

欧米と比べると、日本は現金預金の割合が非常に多く、投資信託や株式等の割合はかなり低い。
こういうのを『ため込んでいる』というのではないか。


■麻生太郎氏の発言の真意

2016年6月17日に北海道小樽市で開かれた自民党の集会で、麻生太郎副総理兼財務大臣が言っていた。

(家計金融資産)1760兆円、現金で900兆円あります。
そのお金がジーっと寝ているんだ。
金は無い時は貯めるのが目的になるさ。
しかし、あったらその金は使わなきゃ何の意味も無い。
90になって「老後が心配」とか訳の分からないこと言ってる人がテレビに出たけれど、「いつまで生きてるつもりだよ」と思いながらテレビ見てましたよ。



全く以てその通りだと思う。

日本の家計金融資産の54.3%が現金預金であるという現実。このジーッと寝ているお金が、消費や浪費や投資に使われなければ、経済は回らないわけで。

それに、「老後が心配」というのは、40~50代あたりの現役世代のセリフ。

既に「老後」になった90歳くらいの人が、どれだけ心配してため込んだところで、お金はあの世には持っていけない。
それだったら、自分にはもちろん、子や孫のためにもガンガン使ってほしいと思うのは当然なのではないか。


■世の中はお金で動いている。

これは絶対的真理である。

超リアルに身近で例えれば、「カレーライスが大好き☆」という思いがどれだけ強くても、お金が無ければ作る事も食べる事もできない。

逆に言えば、お金があれば何でもできてしまう!

「世の中カネ!」「カネは天下の回りモノ!」とはよく言ったものだ。
お金は一つの所に留まっているものではなく、いつか失ったり手に入れたりしながら、世の中をグルグル回るもの。

お金の循環は、まさに血液の循環と同じである。
ただ血液が体内に存在するだけでは生きていけない。
常に体内で動き回って走り回らなければ、暖かい血はやがて固まり、生きていけなくなってしまう。
温かい血液が身体の中で常に循環して走り回っているからこそ、人は生きていける。

それと同じで、お金もまた常に循環させる必要がある。
ただ預金口座やタンスの中に存在するだけでは意味がない。
常に市場で動き回って走り回らなければ、消費はやがて冷え込み、お金の流れは滞り、経済は悪化してしまう。
お金が市場の中で常に循環して走り回っているからこそ、経済は活発になれる。

お金は引換券にすぎない。ジーっと寝させているだけでは循環しないし、身体も心も冷えてしまう。お金は常に動かしていかなければならない。

情けは人の為ならず。自分や人のためにお金を使っておけば、巡り巡って自分に良い報いは返ってくるもの。

つまり、そういう事です。

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