【B'z】 『B'z The Best "Pleasure"』を考察する【金盤】
本日2024年9月23日は、B'zのシンガー・稲葉浩志氏の60歳の誕生日である。
あの稲葉がとうとう還暦ですよ。
これからも更なる活躍を期待したいです。
さて、本題に入りまして、
1998年5月20日(水)に、B'z初のオフィシャルベストアルバム『B'z The Best "Pleasure"』(金盤)がリリースした。
オリコンチャートでは、累計513.6万枚を突破するほど売れに売れたこのアルバムであるが、リリースするまでに至った経緯は複雑だったのではないか……と思っている。
今回は、『B'z The Best "Pleasure"』に関して、どうしてリリースへと至ったのか?など、様々な角度から考察してみます。
※あくまでも、筆者の「独自考察」となる事に留意する必要あり。
※売上枚数などの記録は全てオリコン株式会社によるもの。
■ベストアルバムに難色を示した二人
所属会社である株式会社ビーイング(現:株式会社B ZONE)より、1996年辺りからベストアルバムの話が提案されていた。しかし、B'zの二人は頑なに拒否をしていた。その後、1998年になって再度提案され、二人はようやく受け入れた。
なぜ、会社からベストアルバムの話が提案されたかというと、主に二つが挙げられると思われる。
・1998年9月21日で、デビューして10年経過する。
・1997年4月27日に発売された「非公式アルバム」の存在。
確かに、その二つだけでも十分な理由と言えるかもしれない。
しかし、筆者はその二つ以外にも、以下の要因が大きかったのもあったのではないかと考える。
◎外的要因
⇒globeやGLAYら若手の台頭。
◎内的要因
⇒1997年リリース作品(FIREBALL、SURVIVEなど)の売上不調。
■globeの台頭
1996年3月31日(日)にglobeがリリースしたデビューアルバム「globe」は、日曜日発売で初動の集計期間がたった1日だったにも関わらず、100万枚を売り上げた。2週目も100万枚以上を売り上げ、5週目には累計300万枚を突破した。
小室哲哉氏が、
「音楽活動の中で得たもの全てを投入した。アルバムのどこを切り取って聴いて頂いても、恥ずかしい所は無い!」
と断言するほどの自信作だったわけで、
TM Network(TMN)を遥かに超える「累計売上枚数413.6万枚突破」という結果が証明した。
■GLAYの台頭
globeと同じく、GLAYも1996年頃より台頭し始めた。
1996年8月7日(水)にリリースした9作目のシングル「BELOVED」は、累計売上枚数84.1万枚を記録した。
1997年8月6日(水)にリリースした12作目のシングル「HOWEVER」は、GLAY初のミリオンセラーとなり、累計売上枚数134.1万枚を記録した。
1997年10月1日(水)にリリースした青ベスト「REVIEW-BEST OF GLAY」は、初動売上枚数が200.3万枚を記録し、累計売上枚数は487.6万枚を突破。
ベスト盤ブームの火付け役となった。
その後にリリースしたシングルも絶好調で、「HOWEVER」と合わせて5作連続ミリオンセラーとなった。(HOWEVER、誘惑、SOUL LOVE、BE WITH YOU、Winter,Again)
1999年7月31日(土)には、千葉の幕張メッセ特設会場で、単独アーティストの一回公演としては国内史上最大規模の20万人ライブを敢行。有料ライブの観客動員数の世界記録(当時)を打ち立てた。
まさに、押しも押されもせぬ人気絶頂のアーティストとなった。
■B'zはシングルが売上不調に
一方で、B'zは1997年から売上が下がり始める。
1997年3月5日(水)にリリースした21作目のシングル『FIREBALL』は、初動売上枚数42.6万枚とB'zとしては低く、累計売上枚数も75.5万枚止まりとなり、8作目のシングル「LADY NAVIGATION」から継続していたシングルの連続ミリオン記録が13作で途切れた。
1997年7月9日(水)にリリースした22作目のシングル『Calling』は、再びミリオンに乗せたには乗せたが、累計売上枚数はギリギリchopな100.0万枚だった。
1997年10月8日(水)にリリースした23作目のシングル『Liar! Liar!』の累計売上枚数は79.4万枚に留まった。
当時は、まだCD全盛の時代であり、その中での売上不調は、会社にとってはショックだったかもしれない。
■非公式ベストアルバム
怒涛のシングル3作の間の1997年4月26日(土)に、B'zがかつて所属していたBMGビクターから非公式アルバム『Flash Back -B'z Early Special Titles-』がリリースされた。
B'z側が公認していないアルバムであるが、権利上は何の問題も無い。
しかし、BMG側が「初期集大成盤」と謳ったため、事実上「初のベストアルバム」と扱われてしまった。
ビーイング側は、それに抗議する形で、同社所属のZARDのセレクションアルバム「ZARD BLEND ~SUN&STONE~」のリリースを、急遽、同週の1997年4月23日(水)に変更した。
その結果、ZARDが初動売上枚数66.7万枚で1位、非公式が初動売上枚数47.9万枚で2位となり、発売曜日にも助けられて非公式の1位を阻止した。
しかし、ビーイングはその後の対策の必要性を迫られる形となった。
■B'zはアルバムも売上不調に
B'zの売上が下がり始めたのはシングルだけではなかった。
1997年11月19日(水)にリリースした9作目のアルバム『SURVIVE』は、
初動売上枚数こそ104.0万枚を記録して初登場1位を獲得したものの(1997年12月1日付)、
同週1997年11月22日(土)に河村隆一がリリースしたソロアルバム「Love」は、
初動売上枚数102.1万枚と、僅か2万枚差にまで迫られ、B'zは大苦戦した。
完全に発売曜日に助けられた形となったわけで、もし、両者が同日水曜日にリリースしていたら、『SURVIVE』は間違いなく初登場1位を逃していた。
累計売上枚数は172.3万枚と、前作『LOOSE』(300.3万枚)よりも大きく数字を落とす結果となった。
CD全盛期だった1997年にも関わらず、思いのほか伸びなかった。
この現実を受けて、他にも様々な要因もあり、利益を追求するべき立場のレコード会社は危機感を覚え、舵取りを迫られる事となったのではないか?と推測する。
作品を一つ製作するだけでも多くの人が関わっている。そこで働く従業員の生活がかかっている事も考えると、メンバーの意向だけを優先するわけにもいかなかったのだろう。
1998年になり、会社は再びベストアルバムの話を持ち掛け、デビューして10年経過するシーズンでもあり、B'zの二人も「今年なら出してもいい」と態度を軟化させた。(FC会報Vol.37より)
こうして「初のオフィシャルベスト」と謳ったベストアルバムがリリースされた。
■アルバムタイトルや選曲の経緯
アルバムタイトルは、当初は「Golden Best」だったらしいが、最終的に『B'z The Best "Pleasure"』となった。
収録曲は、BMG ROOMS設立(1992年8月31日)以降に発売された「ZERO」から「Liar! Liar!」までのシングルA面13曲で構成されていたらしいが、
批判が多かったためか、選曲の再調整が行われ、現在のようになった。
また、金ベストリリースの1ヶ月前となる1998年4月8日にリリースした24作目のシングル『さまよえる蒼い弾丸』は、当初は収録予定がなかったが、最終的には収録する事になった。
急遽の追加となったため、初回出荷分のシールの交換が間に合わずに13曲表記のままであり、裏面に別で青いシールが貼られた。ボーナストラック感が満載である。
2次出荷分以降はシール部分は14曲に修正された。
■収録曲
シングルA面曲が13曲も収録されており、全てシングルバージョンである。
アルバム初収録曲は9曲あり、そのうち、シングルバージョン初収録曲は5曲。
非シングル曲はたったの1曲。
と、ほぼシングルA面ベストであるが、それでも入りきらなかったため、リクエスト投票を取る形で『B'z The Best "Treasure"』(銀盤)をリリースする事となった。
■特典商法
B'zにとって「初回生産特典商法」の先駆けになった作品である。
・第1弾……B4版204ピースジグソーパズル
・第2弾……6枚綴りポストカードセット
・第3弾……300ピースジグソーパズル
・共通特典……B'z特製トレーディングカード1枚
・ランダム……CD100枚にB'zのサイン入り
■Bad Communication E.Style
ミニアルバム『WICKED BEAT』に収録されているものではなく、非売品の7インチアナログレコードのB面に収録しているENGLISH SHORT VERSIONである。
このバージョン用にバスドラムの中低音を重くしたリミックスバージョンで、『WICKED BEAT』収録版よりも音が全体的にやや重く大きい。
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■売上
『B'z The Best “Pleasure”』は、累計売上枚数513.6万枚となり、GLAYのベストアルバムを抜いて1位となった。(当時)
4ヶ月後にリリースされた『B'z The Best “Treasure”』も累計売上枚数443.9万枚を記録し、二作合わせて957.5万枚の売上となった。
これを機に、B'zを知った人やファンになった人も多く、ファンクラブ会員の数も増えていった。
ベストアルバムの爆発的な売上に対して、B'zの二人は意外だった事と、過去の音源がこれだけ売れた事に、今後どうなるのか危機感を覚えるようになった。
そうした思いの中で制作・完成したのが『Brotherhood』である。
金銀ベストに関して、好意的に受け止めるようになったのは、発売してから5年経った頃であった。
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