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「現代俳句」2022年5月号
惰性オブザイヤー。5月号を7月に書く失態。まあ「毎月書く」から「毎号書く」に変わったと思えば……(これが惰性)とは言え、5月号は読みごたえたっぷりだったので、ちょこちょこと感想を書き残しておきたいと思います。
列島春秋
森森深深津津さくらさくら 十河宣洋/北北海道
意味深。「しんしん」という擬音語がありますが、そこに掛けているのかな。字面の圧が強くて怯みそうになりますが「さくらさくら」で拓けた感じが出ていて好きです。「森」の「深」いところへ進んでいくと大きな「さくら」が待っている、というような幻想的なシーンも想像できそう。
作品10句
沈黙の夏 田口彌生
ヘンデルのラルゴと蕪蒸しは合ふ
「ほんまかよ」と思わずツッコミを入れた人もいるんじゃないでしょうか(???)蕪蒸し、おいしいですよねぇ。ヘンデルのラルゴは「オンブラ・マイ・フ」というタイトルがよく知られているかな、と思います。合うか合わんかは人それぞれだと思いますが、わたしはクラシックファンとして「わかる」と思ったのでここに残しました。蕪蒸しのあたたかでやさしい味わいとラルゴのゆったりとした趣は「合ふ」!(個人の感想オブザイヤー)
「今、伝えたい俳句 残したい俳句」川嶋ぱんださん、「百景共吟より二句鑑賞」久留島元さんが5月号の記事を担当されていました。
会誌ではこうやって知人・友人・あこがれの人などの記事が読めるのがうれしいですね。ご活躍なによりです。
特集 現代俳句協会青年部座談会
私たちがいま語りたい俳句・青年部の取組みと展望
この号で一番楽しみにしていた記事でした。じゃあ感想いっぱいあるだろう、って話なんですが、いっぱいありすぎて書ききれません。冒頭にある「由々しい言葉」の議論はとても興味深かったです。
引用したいのはやまやまなのですが、こればっかりは誤解を招くと困るので、ぜひお手元の5月号をご一読いただければと。野住さんが関現俳の話をしてくださっていて(青年部の副部長です。頼もしや!)、改めて文字で見ると「確かに」と思うことばかりで。関西はベテラン勢がパワフルな印象があるし、それがまんま「関西っぽさ」であるとも思うんですよね。安心感というか。アットホームさっておそらくどの地域にもあるとは思うんですが、その「ノリ」はやっぱり関西だな、と思います。常々。
とはいえ、(誌面上でも語られていましたが)会員のニーズを知ることは大事になってくるだろうな、とも思います。「協会に入って何ができるの?」という問いに対する答えだって難しいと思いますし。わたしの場合は、結社に所属していなくても俳句好きと出会えるという点、毎月届く会誌を読む楽しみがある点、そうは言ってもひとりで黙々と俳句作りに取り組める点の3点でしょうか。
どうせなら所属しているメンバーのそれぞれの活動がお互いになんとなく知れるといいなぁ、とは思いますけど。それはまあ、関西に限った話ではないのかもしれませんけどね。結社に所属している方だったらそういうの、結社の中でやりとりしているから需要としては薄いのかなぁ、とかなんとか考えたりする今日この頃です。
大勢の会員を取りまとめている事務方のみなさんには頭が上がりません。いつか大なり小なりお役に立てるといいんですが。
第13回現代俳句の風
共存は自己の拡張青き踏む 今村タケシ/関西
上五と中七がパワーフレーズすぎる気もするんですが、「青き踏む」でぱっと世界が広がるのがいいな、と思いました。窮屈に思えることとの折り合いのようにも思える一句だなぁ、と。子どもでも大人でも、こういう気づきは折に触れあると思うので。
遅ればせながらの5月号でしたが、読み応えたっぷりでした。読むページが少しずつ増えているなぁ、と実感しています。会誌を読みながら、自分の興味や関心に気づけるのもありがたいです。
それでは今月(もう7月だけど)はこの辺で。最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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