英語民間試験についての私見①導入予定に至った経緯
以前書きたいといっていた、英語民間試験についての個人的見解を述べたいと思います。
①英語民間試験導入予定に至った経緯(行政の課題意識)の把握
②英語民間試験導入に対する反対意見
③以上を踏まえた筆者の見解
以上の3本立てで論ずる予定です。
もちろん、様々な立場の方がいらっしゃることは事実です。また、民主主義国家である以上、政府が行った選択が現段階での是であり、異を唱える場合は選挙で国民の意見を表明する必要があるでしょう。
なお、筆者の属性を特定されない範囲で明らかにします。
都内私大英文科(学部時代は体育会活動に明け暮れる)→地方旧帝大の大学院(社会科学系研究科)→国内大手企業→地方旧帝国大の大学院進学予定(理系研究科)
また、学部時代は都内屈指の進学塾で小・中・高校生を指導し、大学院進学後も家庭教師を行う等、一定程度受験産業に関わってきた人間です。
まずは、英語民間試験導入検討の経緯を追うことで、行政による課題意識を洗い出します。
【英語民間試験導入にかかる行政の課題意識】
以下の内容は全て、文部科学省HPを参考にしております。
HPに記載されている内容は次の通りです(太字は筆者による)。
経済・社会等のグローバル化が進展する中、子ども達が21世紀を生き抜くためには、国際的共通語となっている「英語」のコミュニケーション能力を身に付けることが必要であり、このことは、子ども達の将来のためにも、我が国の一層の発展のためにも非常に重要な課題となっている。
その一方、現状では、日本人の多くが、英語力が十分でないために、外国人との交流において制限を受けたり、適切な評価が得られないといった事態も生じている。同時に、しっかりした国語力に基づき、自らの意見を表現する能力も十分とは言えない。
このため、日本人に対する英語教育を抜本的に改善する目的で、具体的なアクションプランとして「『英語が使える日本人』の育成のための戦略構想」を作成することとした。あわせて、国語力の涵養も図ることとした。
文部科学省は、2002年から日本人の英語運搬能力に関する強い懸念を抱いており、上記戦略を実現させるためのプランとして以下のようなものを検討しておりました。
「入試等の改善」の項目には、次のように書かれています。
☆ 「大学入試」:
1 大学入試センター試験でのリスニングテストの導入(平成18年度実施を目標)。
2 各大学の個別試験における外国語試験の改善・充実。
3 外部試験結果の入試での活用促進。
文部科学省は、学校内での指導体制の拡充や教員の質の向上を図りつつ、入学試験においても英語の読み書き以外の技能を取り入れようとしていたようです。
また、その経緯として、おそらく下記のような考えがあったのだと思われます。上記「入試等の改善」がキレイに時系列になっていることからも、それが裏付けられていると思います。
①「まずはリスニングを導入しましょうね~(^^)/」
②「次に、大学の個別試験でリスニング問題をいれるとか、スピーキングの技能をみる試験をやってくださいね~(^^)/」
③「とはいえ、現実的に②を各大学が個別に対応するのは難しいだろうから、英語4技能を測る試験はアウトソースすることも念頭にいれましょうね…(-_-;)」
つまり、入試における理想としては、各大学が独自に4技能を測る入試を行ってくれればよいのですが、約20年前から様々な事情で実現可能性が殆どないことを文部科学省は予見していたのでしょう。そして、長年の運用実績があり、当時からも文部科学省が後援していた英検等に目をつけていたのだと思われます。
ニュースをみていると、充分な議論がなされていないまま見切り発車をされたような印象を受けてしまいますが、実は約20年間にわたって議論されていた行政課題です。
この記事を読んで頂いた皆様に、ひとまず導入検討の経緯だけでも共有して頂けたら幸いです。
次回は、反対意見についての記述をします。