Axie Infinityの衰退とGameFiの本質
こんにちは、Imosukeです。
この記事では、2021年にGameFiという言葉を世界に轟かせ、そして水性のごとく消えていったAxie Infinityの衰退事例をもとに、GameFiの本質について迫っていこうと思います。
【Axieの台頭】
AxieというモンスターNFTを3体購入しゲームを攻略し、報酬としてお金を稼ぐというシステム。この報酬のお金はどこから降ってきているのかという疑問は、まさにこのNFTの購入金から拠出されています。
これを一般的にポンジスキームと呼びます。このスキームは詐欺やねずみ講とも言われており、初期の出資者は儲かるが、後から参入した出資者の出資金を元本に高額な報酬を還元し、さらなる出資者を募る形でポンジスキームは発展していきます。
つまり、”後から参加した人が負ける”ゲームなのです。
【Axieの衰退のはじまり】
Axie Infinityはフィリピンを中心にブームとなり、一時期はSLPというトークンの価格が30円をマークする時期がありましたが、需要よりも多くSLPというトークンの報酬還元を行い、トークンの価値は8月に入る頃に衰退をしだしました。
【衰退に追い打ちをかけるスカラーシップ】
更に追い打ちを掛ける形でスカラーシップ制度を8月1日に導入しました。自分のアクシーNFTを他人に貸し出して、報酬を分け合うという制度です。この制度を導入することでより合理的にお金稼ぎをするプレイヤーが増加し、その売り圧に耐えられず、トークン価格は年末には7分の1の4円程度に下落してしまいました。
【Axieの失敗要因】
ではその失敗要因は何だったのでしょうか?主に下記の要因と考えられます。
① トークンエコノミクス(需要と供給、コインの価値)のコントロールができていなかった
下記の要素にも関連しますが、失敗要因としてはトークンの報酬配布量が需要よりも多くなってしまい、価値のコントロールができなくなってしまいました事が挙げられます。
② トークンの非合理消費要素が未熟であった
課金には合理課金と非合理課金という要素があります。合理課金はリターン率が最も高くなる課金、非合理課金というのはリターン率が低くなるような課金であり、再投資とも言える要素です。
たとえばSTEPNでいうと靴を1足と3足を持った場合、1足のほうがリターン率(回収速度)は高くなるのですが、3足のほうが回収速度が鈍化してしまいます。
でも多くの人は、3足のほうが絶対量を稼げると思い3足を買ってしまいます。この課金要素を非合理課金と呼び、絶対量を稼げる仕組みを作り上げようとする意識が非合理課金・再投資を促します。
もしAxieに非合理課金・再投資(STEPNを例にするとレベルアップやエナジー設計、パラメーター設計、謎箱、パリチャレなど)要素が多ければ、トークンの需要はキープできていたのかもしれません。
③ 上記の状態でスカラーシップを実行し、新規ユーザーを更に増やしてしまった
さらにスカラーシップによりユーザーを拡大しすぎました。そのため、結果としてより多くの人々が報酬を得てしまい、トークンの需要低下し、運営側としても稼げないゲームシステムへと改悪せざるを得ない状況となってしまいました。
【AxieからみるGameFiの本質】
合理課金を求めるユーザーが多ければ多いほど、このポンジスキームは衰退してしまいます。そのため、非合理課金・再投資を促す要素がいかに多いかというところがGameFiのスキームを維持する重要要素であると言えます。
端的に言うと、GameFiの骨子はポンジでできています。そこからいかにユーザーに課金させ続けられるシステムをつくりあげ、その非合理的な娯楽に楽しんでもらえるかがGameFiの本質であります。
【Axieで得をした人、損をした人】
得をしたユーザー:先行的にゲームに参入し投資回収ができたユーザー
損をしたユーザー:後発参入し、NFTを購入したユーザー(カモ)
【Axieからの教訓】
後発参入はカモになる危険性がある
トークンエコノミクスがコントロールされているか入念に確認しよう
ユーザー数の広がりを入念にモニターしよう
スカラーシップ開始時はエコノミクスが崩壊しやすく、撤退も視野に入れる。