仮想通貨と税金~ビットコインが乱高下!税金のこともお忘れなく!
2020年11月半ばあたりからビットコインの価格が大きく動いていますね。 個人的には試しに買ってみようかなと思っていたので、少々波に乗り遅れてしまった気がしています・・・
ところでビットコインで思い出されるのは、2017年の価格高騰で「億り人」となった人たちがその後の税務調査で数千万円の課税を受けたというニュースです。
報道内容を見ていると、そもそも確定申告していなかったケースもあるようですが、ビットコインなどの暗号資産に対する課税を知らなかったケースも少なくないようです。
暗号資産(仮想通貨)の税金についてまとめてみます。
1.仮想通貨取引に課税されるのはどんなとき?
仮想通貨取引について税金が課されるのは、次の3つの場合です。
①仮想通貨を売却して利益が出たとき
②ある仮想通貨を別の仮想通貨を購入したとき
③仮想通貨で商品を購入するなど、仮想通貨で支払ったとき
①は「利益が出たから税金がかかるのだな」と分かるかと思います。
注意しないといけないのは、②や③です。
通常、他の仮想通貨に換えたり、買い物をしたりしたことで、「利益が出た」と感じることは少ないと思います。
ただ、税金は通常の感覚と異なる考え方をしているところがあります。
②のケースですが、例えば、ビットコインでリップルを購入したとします。
税法では、
「ビットコインを一度現金に換えて、すぐにその現金でリップルを購入した。」と考えます。
「現金化=売却した」ので税金をかけると、考えます。
③の「ビットコインで買い物をした」というのも同じように税法では、
「ビットコインを一度、現金に換えて、すぐにその現金で商品を購入した。」
というように考えます。
現金に換えたのだから、ビットコインを売却したのと同じ。
だから、課税する。という訳です。
2.税金はどれくらいかかるのか?
暗号資産(仮想通貨)の課税関係をざっくりまとめると、
・ビットコインなどの暗号資産による利益は、「雑所得」。
・通信代、トレード用のパソコン代などを必要経費として引くことができる場合がある。
・「雑所得」は給与や個人ビジネス、不動産賃貸など他の所得と合計する。
・合計した所得は、所得が大きいほど税率が高くなる「累進税率(5%~45%)」により納税額を計算する。
・所得税以外に、復興特別所得税2.1%と住民税10%が課せられる。
もう少し詳しく書くと所得税は次のように計算します。
(1)所得を「どうやってその所得を稼いだのか?」に応じて10種類に分ける。
(2)それぞれの所得を計算する。(所得によって計算方法が違う。)
(3)各所得を合計する。
(4)所得の合計額から、基礎控除や生命保険料控除などを控除して、課税対象となる所得金額を計算する。
(5)課税対象となる所得の金額に応じて決められた税率をかけて、納税額を計算する。
これを暗号資産(仮想通貨)にあてはめて考えると、
(1)仮想通貨取引の利益は、”原則”、「雑所得」に該当します。(”原則”と書いた理由は後ほど。)
(2)仮想通貨の取引の所得は次のように計算します。
仮想通貨の売却等による利益 - 必要経費
まず仮想通貨の売却等による利益はそれぞれ下記のように計算します。
①売却した場合
売却価額 - 仮想通貨の取得価額
②暗号通貨どうしを交換した場合
新たに購入した暗号通貨の価格 - 仮想通貨の取得価格
③暗号資産で買い物等をした場合
購入した商品の価額 - 仮想通貨の取得価格
上記①~③により計算した金額から、「必要経費」が引けます。
ビットコインなどの仮想通貨の売買では次のような費用が考えられます。
・ネット回線や携帯電話などの通信料
・パソコンやタブレットなどトレード用に購入した器具備品代
・仮想通貨取引の関する書籍代
・セミナーや勉強会の参加費
・セミナーなどの開催会場までの交通費
などが、考えられます。
注意が必要なのは、パソコンや携帯代、ネット回線など普段の生活の中で利用していてトレードにも利用するというものは、全額を必要経費にはできません。
「この部分は、仮想通貨の売買のために使いました。」と説明ができる部分だけを経費とします。
(必要経費と按分の話は、また別途記事を書こうと思います。)
(3)、(4) 仮想通貨取引による所得を他の所得と合計して、所得控除額を引きます。
(5)課税対象の所得金額の額に応じて、税率をかけて計算します。
国税庁のホームページに、税額の早見表があるのでこれにあてはめれば計算できます。
所得の合計額が当てはまる区分の税率をかけて、控除額を差し引けば納税額が計算できます。
所得税以外にも復興特別所得税と住民税がかかります。
復興特別所得税は、上記の早見表で計算した「所得税の金額」に2.1%をかけて計算します。
住民税は10%を「所得」にかけて計算します。
事業所得に該当する場合
少し話が戻りますが、”原則として雑所得”と書いたのは、次のケースは「事業所得」に該当する可能性があるからです。
・専業トレーダー
・個人事業を行っていて、商品等の代金としてもらったビットコインを売却した場合
上記の場合には、「事業所得」に該当します。
通常、事業所得の方が雑所得よりも有利です。
・青色申告を選択できる。青色申告をすると、65万円(電子申告でないと55万円)もしくは10万円を控除できる。
・損失が出た場合には他の所得と損益通算できる。
ただし、青色申告の場合には帳簿を付ける必要があります。
また、事前に青色申告をしたいという申請書を税務署に提出しておかなければいけません。提出期限は青色申告をしたい年の3月15日までなので、年末になって「青色申告したい!」と思っても、適用できるのは来年からです。
3.損失が出た場合はどうしたらいいか?
残念ながら暗号資産取引で損がでてしまう場合もあるかと思います。
その場合には、
・同じ「雑所得」に該当する所得どうしであれば、暗号資産取引による損失を相殺できます。
・給与所得や不動産所得などの他の所得から、暗号資産取引による損失を控除することはできません。
・翌年以降に損失を繰り越すことはできません。
上場株式やFX取引について確定申告をしたことがある人は、
これらの取引による損失の繰り越しができることをご存じだかと思います。
ただ、ビットコインなどの暗号資産の売却等による損失は原則として繰り越すことができません。
また、雑所得の損失を給与所得や不動産所得といった他の所得から引くこともできません。
可能なのは、雑所得どうしでの損益通算です。
例えば、副業をやっている場合で、副業を「雑所得」に区分して申告しているのであれば、この副業の利益と相殺することができます。
注意が必要なのは、FX取引を行っている場合です。
FX取引による所得も「雑所得」に区分されるのですが、
さらに「先物取引等」という区分になります。
区分が異なるので、仮想通貨による損益とFX取引による所得を損益通算することはできません。
4.今からできる節税対策
①実現した損益と含み損益でシミュレーション
損失は翌年以降に繰り越すことができないため、年内で精算する方法も考えらえます。
例えば、利益が出ているようであれば、含み損を抱えているものを売却してしまって相殺してしまいます。
反対に、損失が出ていた場合、含み益が出ているものがあれば、この含み益を確定させて、相殺した方が良いかもしれません。
まだまだビットコインをはじめてした仮想通貨の値動きは激しいので、中々シミュレーションが難しいかもしれませんが、
②ふるさと納税
年末の風物詩?のようになってきたので、ふるさと納税をやったことがある人も多いと思います。
返礼品で得をしながら、節税もできるというのは魅力的ですね。
ふるさと納税をすると、支出した金額から2,000円を控除した金額を「寄附金控除」として差し引くことができます。
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