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「私にもああいう人生があっただろうか」という病


 最近地元は観光客が多くて、昼時はどこの店も人がいっぱいで入れません。マクドナルドに行こうとして毎回挫折します(めっちゃ混んでる……)。
 そんな中、平日昼でも比較的席が空いてる別なファーストフードを見つけ、コーヒーを飲んだりしています。安いから(週に1回行くか行かないか。毎日行く余裕はない)。

 ある日お昼を食べに行くと、
 コーヒーだけ頼んで井戸端会議している、
 50代くらいの女性四人組がいました。
 子供の話をしているようです。


「私にも、あんな人生があったのかな……」


 ここで私の病が発症します。

 いろいろあって結婚も出産もできなかったけど、もし何かの間違いで結婚していたら、あの女性たちのように暮らしていたのかなあ。

 カフェではなくファーストフードの、
 安いコーヒーで居座ってるところを見ると、
 裕福なおばさまではなさそうです(失礼)。

 でも、なんかいいな、と思ってしまう。

 これ、きっと、
 私が自分の今の人生のことを、
 よく思ってないからなんでしょうね。

 若い頃から働いて投資してきた人とか、
 成功している人を見ると、

「私も若い頃にもっとがんばっていれば……」
「私もああなれていたかも……」

 なんて思ってしまうんですね。

 でもこれ、無意味なんですよね。
 過ぎた日は戻ってこないし、
 若い頃にそうできなかったのは、
 病気とか、いろんなことがあったからだし、
 元から私の性質や性格が、
 まっすぐ進むほど素直じゃないし笑


 結局、私には、
 今の私しかないんですよね。


『あの時こうしていたら……』
『私もああなっていたかも……』は、
 幻想でしかない。

 先日、テレビでアルボムッレ・スマナサーラさんが話しているのを観ました。

「夢は悪だ!」

 と言っていたので驚きました。夢は妄想だから、王様になりたいとか、なんでも叶ってしまう。それがよくない。持つべきなのは夢ではなく目標だ、とおっしゃっていました。

 若い頃に、
「こうなれたらいいなあ」と思うのと、
 年をとってから、
「こうなれたかもしれないのになあ」と思うのは、
 よく似ています。

 若い場合はいつか夢がかなう可能性もありますが、年取ってからの『こうだったらよかったのに』は、100%実現しません。だって過去は変えられないんだから。まさに妄想。

 だから、「今の私でいいんだ」と思えるように、
 目標をもつといいのかもしれませんね。
 夢でも妄想でもない、現実的な。



 四人組が愚痴るのを聞きながら、
 人生いろいろだなあと思いながら。
 一杯280円のコーヒーを飲んだのでした。






 読んでくれてありがとう。




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水島素良(Sora Mizushima)
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