企業が副業を認める際の留意点


Tips

 ・労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的に労働者の自由(一律禁止が裁判で支持される可能性は低い)
 ・フリーランスなどの個人事業主として業務を受託するような副業、使用人を兼務しない取締役として勤務する場合等は、副業・兼業先との関係では雇用でないため、労働時間通算の問題にもならない。
 ・雇用形態で副業・兼業を行う場合、労働時間をどのように管理するか決める必要がある。

動向

副業・兼業に関するガイドラインの改訂(令2.9)。
ガイドラインの解釈・運用は通達としても発出(令2.9.1基発0901第3)

労働者災害補償保険法(労災保険法)の改正(R2.9.1)
複数の企業で雇用されている労働者についての制度を新設

厚労省のモデル就業規則も、一律禁止から、原則自由(届出制度)に変更されている。


労働時間通算義務があるか否かの論点

 ・根拠は労働基準法38条「事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」
 ・「事業場を異にする場合」とは事業主を異にする場合をも含む(S23.5.14基発第769号)
 ・帰結として、自社で発生した法定外労働時間について、割増賃金を支払わなければならない。
 ・割増賃金支払い義務は、原則、後から締結した事業者が負うが、法定労働時間に達していることを知りながら労働時間を延長するときは、
 先に締結した事業者も負う。
 ・通算労働時間が適用される上限規制:1日8時間、1週40時間、複数月平均80時間、月100時間未満、36協定
  労働安全衛生法との関係(医師との面談指導義務、66条の8第1項)では、通算は不要。

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