三つ子の魂百までをデンマーク教育で考える
三つ子の魂百まで
幼い頃に表れている気質や特徴は、歳をとっても変わらない」ということ
Chiba:日本ではこのことわざが、子育てを始めた家庭、
特に母親に向けて年長者が伝えることで、耳にしたことがあるのでは、と思います。
Sue:同じように海外でも、同様のことわざがありますよね。
The leopard cannot change his spots(ヒョウは斑点を変えることはできない)とか。
Chiba:Sue、あなたの性格や、物事の考え方はいつ頃培われた、
と思いますか?
Sue:まぁ、3歳ではないと思います笑。3歳、と言うのはあくまでもそのあたりの年齢の、と言うことだと思いますから、小学校かな。
Chiba:長い人生を振り返ってみても、
実は小さい頃に様々な種は、保護者をはじめとする大人から、
あなたが持つふかふかの心の中に植えられたのだと思います。
デンマークでは、人格形成の80%位までは、
0歳から6歳までの間に為されていると言われています。
どうでしょう、
あなたの人生で6歳までの記憶はなにかありますか?
Sue:私の記憶にあるのは、幼稚園の時の先生に、凧揚げの制作がうまくいかなくて、めちゃくちゃ怒られた時と、家の庭で雑草を石ですりつぶして「薬」を作ったことくらいかな・・・笑
Chiba:ほぅ、よく覚えてますねぇ。
そして、記憶にない部分も含めて、Sueもみんなも、
365日24時間、6年間分を過ごしてきたわけです。
無意識にあるこの頃の記憶が、今のあなたを形成しているわけです。
では、今、目の前にいるお子さんはどうでしょうか。
Sue:いまは動画があったり、写真がすぐみれたりで、記憶を思い出すのは子供にとっては容易でしょうけど、もちろん3歳くらいまでの記憶はそう残っていないと思いますよ。
Chiba:いずれ、その子も手を離れて、自分の足で歩き始めなければなりません。ここが大切ですね。勝手に歩き始めているように見えますが、しっかり保護者が信じて手を離してあげなければなりません。
Sue:びっくりするほど、子どもはいろんなことがわかっていますよね。
時に大人が学ばせてもらうくらい。
Chiba:そうです。子どもはいつまでも3歳、6歳のままではなく、自分の身の回りに起こったことから学び、失敗してまた学び、自分の人生を作ります。
あなたの子どもはどう生きたいといっているのか?
ここで子育てをしている方にお尋ねしたいと思います。
そのお子さんは、本当はどういう風に生きたいと思っているのでしょうか。
聞いたことはありますか?
そして、その子は、
いつもそばにいて守らなければならない、か弱い子、でしょうか?
何を言ってもきかない、しようもない子、でしょうか?
積極的な発言や、礼儀正しい、優等生の子、でしょうか?
私たちは、
「本当にこれまでと同じ方法で、大人が子どもに教育していいの?」
と教育の在り方を根本から深く考えなければなりません。
なぜなら、今の社会は、
自分、自分の家族だけが良ければいい人と、
他人と共生していける人、が大きく分かれており、
唯一、教育の部分だけは、分け隔てなく、義務教育としてどの家庭にも訪れる構造になっているからです。
全ての国民に必要なものが義務教育です。
では、義務とは、なんでしょうか。
それは、この国で暮らす人間として、国民として、身につけなければならないものであり、知識であり、社会ルールであり、基本的な考え方や過ごし方だったりします。
まさに、生き抜くための力を養い、
子どもから大人として社会に出ても大丈夫なように
心も、頭も、体も育てていく、非常に重要な義務を持ちます。
幸せな国を作る人たちは、政治家のみならず、経済人のみならず、
もっともパワーがあるのが私たち一般国民です。
幸せな国は私にとっての定義は「社会福祉国家」ですから、
まずは、思いやりと連帯感のある社会を作るように、子供たち=未来の日本人を教育しなければなりません。
AIと共存できるように、
人よりもあれこれできるように、
自分の子だけは楽にこの社会を生きれるように、
そう「自分の子供だけのこと」を考えると、園・学校以外の学びを追加してどんどんやらなければならないという不安と恐怖に苛まれるのではないでしょうか。
三つ子の魂百まで、ということわざの3という数字や、三歳児神話など、だれかの言葉やおどしのようなささやきに振り回されることなく、
今、目の前にいる、子供は何を表現し、何を考え、何を素直に学んだからこそ、こうなったのかを、じっくり考える時間をとってみて欲しいと思っています。
全ての子どもの成長の鍵は、関わる大人がいかにその子の個性を尊重し、思いを汲み取り、失敗を認め許し、挑戦を見守って、
あなたが思っているほど手を出さない方がいいことにあるのです。