ABC(活動基準原価計算)とは?— コストを「見える化」してスッキリ管理!
こんにちは!今回は、企業のコスト管理をより正確に行うための手法、「ABC(活動基準原価計算:Activity-Based Costing)」 について、わかりやすく解説します。
「この商品、なんでこんなにコストがかかるの?」と疑問に思ったことはありませんか? 実は、製造やサービスのコストは、材料費や人件費だけでなく、目に見えない「間接費」 が大きく影響しているんです。
ABCは、そんな 「間接費」 を適切に配分して、コストの「本当の姿」を明らかにするための手法なんです。
ABC(活動基準原価計算)とは?
ABC(Activity-Based Costing) は、製品やサービスにかかるコストを、実際の「活動(アクティビティ)」に基づいて正確に配分する手法です。
従来の原価計算(伝統的なコスト計算)では、すべてのコストを単純に「製品の数」や「労働時間」に割り振ることが多かったですが、ABCでは次のように考えます。
「どんな作業が、どれくらいのコストを発生させているのか?」
つまり、単純に「A製品を100個作ったら、B製品よりコストが高い」という話ではなく、「製造工程のどこで、どんな間接費がかかっているのか」 を明確にするのが特徴です。
ABCの特徴
1. コストを「活動単位」で割り出す
ABCでは、コストを単純な「人件費」や「材料費」だけでなく、実際に発生する 「活動(アクティビティ)」 ごとに配分します。
例:
「商品の梱包作業」や「品質検査」などの活動ごとにコストを計算し、実際にどれくらいの費用がかかっているかを把握します。
イメージ:
まるで「家計簿をつけるときに、食費、光熱費、交際費を細かく分けて管理する」感じです!
2. 間接費を正確に把握できる
ABCは、特に 「間接費(Indirect Costs)」 の配分を正確に行うことが得意です。
従来の原価計算では、間接費は一律で全製品に割り当てられることが多かったですが、ABCでは「どの作業がどれだけ間接費を消費したか?」を特定できます。
例:
製品Aは「検査」コストが高い
製品Bは「包装」コストが高い
→ これにより、どの製品がコストを押し上げているかが明確になります。
3. 具体的な意思決定に役立つ
ABCを使えば、以下のような意思決定がより正確に行えます。
「どの製品が本当に利益を生んでいるのか?」
「ムダなコストがどこで発生しているのか?」
「価格設定は適切か?」
これにより、価格戦略やコスト削減の施策をより効果的に実行 できます。
ABCのプロセス(基本的な流れ)
ABCを実施する際の手順は以下の4つのステップで進みます。
1. 活動(アクティビティ)の特定
まず、コストが発生する「活動」を洗い出します。
例:
製造作業(組立、検査、梱包)
販売活動(注文処理、発送、カスタマーサポート)
管理業務(在庫管理、品質管理)
2. コストプールの作成(コストをグループ化)
類似した活動を「コストプール」としてグループ化し、同じ種類のコストをまとめます。
例:
「梱包」と「配送」→ 物流コストプール
「広告」と「営業」→ マーケティングコストプール
3. コストドライバーの決定(コストの発生要因)
次に、どの要因がコストを発生させているかを特定します。これを 「コストドライバー」 と呼びます。
例:
梱包作業 → 「梱包回数」
発送 → 「出荷重量」
品質検査 → 「検査回数」
4. コスト配分の計算(正確にコストを割り振る)
最後に、コストドライバーを使って、各製品やサービスごとに正確なコストを割り振ります。
例:
商品Aは100回検査したので、全体コストの20%を負担。
商品Bは50回検査なので、10%を負担。
ABCのメリットとデメリット
メリット
✅ コストの正確な把握が可能
→ どの活動にどれくらいのコストがかかっているかが明確に!
✅ 価格設定の最適化ができる
→ 正しいコストを把握すれば、適切な価格を設定可能。
✅ ムダの発見とコスト削減に役立つ
→ 不必要な工程を削減し、利益向上に貢献。
✅ 複雑な業務に対応できる
→ サービス業や多品種生産にも適用可能。
デメリット
❌ 導入コストと手間がかかる
→ 活動の洗い出しやデータ収集に時間がかかる。
❌ データ収集の難しさ
→ 正確なデータを継続的に収集する必要がある。
❌ すべての企業に適用できるわけではない
→ シンプルな製造プロセスには、従来の原価計算のほうが適している場合も。
ABCの活用例
ABCは、特に以下のような業界や場面で活用されています。
製造業 → 多品種少量生産のコスト分析
サービス業 → ホテル、病院、コールセンターなどのコスト最適化
IT企業 → プロジェクトごとのコスト管理
小売業 → 販売促進活動ごとのコスト分析
まとめ:ABC(活動基準原価計算)のポイント
活動ごとにコストを算出し、ムダを見える化!
間接費を正確に配分し、利益構造を明確に!
データに基づいた意思決定で経営の精度UP!
導入にはコストと手間がかかるが、効果は絶大!
「コストを細かく分析して、会社の利益を最大化したい!」と思ったら、ぜひABCを活用してみましょう!