【Tree of Savior M】クレリックのスキル選びについて―②(2) 対悪魔型・変異型一例
オンラインRPG「Tree of Savior M」の攻略記事です。本記事は、以前投稿させていただいた記事、
【Tree of Savior M】クレリックのスキル選びについて―①スキルカタログ|EK (note.com)
および
【Tree of Savior M】クレリックのスキル選びについて―②(1) 汎用セット一例と計算|EK (note.com)
に連なる記事という位置づけです。とはいえ、これら2つの記事をすでに読んでいなければ理解できないというものではありません。必要に応じて適宜参照していただければと思います。
1.はじめに
さて、このゲームではレベル70になると「マスタークラス」というシステムが開放され、各「クラス系列」(一般的なRPGでいう「職業」)ごとに約30種類のアクティブスキルの中から好きな8つを選んで、戦闘中に使用することができるようになります。
選び方は完全に自由なわけではなく、一定の制限があるのですが、どんなスキル構成がいいか、色々考えたり試行錯誤するのがなかなか楽しく、このゲームの醍醐味のひとつです🌟
本記事を含む一連の記事では、その中で「クレリック」という職業のスキル選びについて、参考にしていただけそうな情報や計算を紹介しています。
前回の記事「クレリックのスキル選びについて―②(1)」では、
相手の種族を問わない一般的な戦闘状況で、
自分自身の火力を重視した場合、
について、いくつかのスキル構成例や計算を紹介しました。
しかしクレリックには、悪魔型/変異型の相手に対してだけは人が変わったように強くなる🌷、という ゆがんだ性癖 特殊な面があります。
そして、その際には良さそうなスキル構成というのも変わってきます。
本記事では、悪魔型/変異型が相手という場合のスキル構成例や計算を紹介します。
前回の記事と同じく、各スキル構成例は表の形で示します。
表の見方についての詳細は、前回の記事「クレリックのスキル選びについて―②(1)」の「2. 本記事で用いる用語と設定について」や「3-1. まずは適当に選んだセット」を参照してください。
でも、無理にそれらの全てを把握していただかなくても大丈夫です。
最小限の項目を挙げるならば次の2つです。
「DPS」(秒間ダメージ)の総計(表の右下)
「消費SP/秒」の総計(表の右下)
あと、たまに「SP自然回復/秒」(表の右上)も重要になったりします。基本的にはそれらの数値で各構成例を比較していきます。
他の細かい数値については、そこの結果に疑問を抱いた場合や、考察をさらに深めたい場合などに参照していただければよいかと思います。
なお、各種「特性」は、特に問題ない限り全て取得してあるものとしています。
(「特性」はいわゆる「パッシブスキル」のことで、このゲームでは「クラス特性」と「スキル特性」の2種類が多数用意されています。前者はプレイヤーの行動全般に関わり、後者は各スキル専属で効果を発揮します)
そしてもう一点、計算の都合上、戦闘時のプレイヤーのステータスをある程度設定しなければならなかったのですが、今回の計算は2024年3月現在で平均的な位置にあるであろうと思われるプレイヤーという設定で行いました。詳しいパラメータが気になる方は上記の「クレリックのスキル選びについて―②(1)」における「2. 本記事で用いる用語と設定について」の後半部を参照してください。
お忙しい方は、太字のところだけ目で追っていく、もしくは表だけ見ていく、というのでもある程度の内容は分かるように書いてみました。そうしていって、気になるところがあったらその前後の文章も読んでみる、というのでも良いと思います。
また、最後に簡単な「まとめ」もつけてみました。さらにお忙しいという方はまずはそこだけ見て、気になるところがあったら目次に戻ってそれについて書かれたところを見てみる、というのでも良いと思います。
本記事が皆様のスキル選びの参考になれば(あるいはこのゲームをやっていない/もうやっていないという方にとっても、ちょっとしたゲーム追体験のひとときになってくだされば)幸いです。
本記事の計算で用いた計算式は、以下の2つのPDF(Buff.pdfとASPD.pdf)で詳しく説明してあります。数学に抵抗がないという方は是非読んでみて(そして何か致命的な誤りがないかチェックしてみて)ください。高校数学の知識があれば理解できる内容です。
2.サンクチュアリ構成
まず最初にお示しするのは、スキル「サンクチュアリ」を主体として、対悪魔型/変異型のボス戦で強そうなスキルをがさがさと詰め込んでみた構成です。
サンクチュアリはいわゆる「チャネリングスキル」で、対応するスキルボタンを押下(タップ)し続けている間、0.5秒ごとに継続的にSPを消費しながら、周囲の相手にダメージを与えていくというスキルです。ただし最大ダメージ回数は10回であり、また、途中でSPが切れたり相手の「吹き飛ばし」攻撃を受けたりすると中断されます。
高い打数まで継続できたときの威力はクレリック内でトップクラスであり、かつ、悪魔型/変異型の相手にはダメージが1.55倍になるという性質があります(!)
なので、対悪魔型/変異型であればもうこれが最強であろう、と私は深く考えることもなくそう思い込んでいたのですが・・・
とりあえずそのスキル構成の一例と、理論上のスペックを見てみましょう。対象は悪魔型/変異型のボスモンスターとしました。少し色々やってみたなかで最善のものは次のものでした。
総DPSは3703.62となりました(表の右下参照)。
これは、毎秒の消費SPが毎秒のSP自然回復量を上回らない範囲で最大限までサンクチュアリを継続するとした場合の数値です。最大10打ですが、この構成では「平均5.2打」が限界となっています。
他のスキルの消費SPを抑えれば、もっとサンクチュアリの打数を上げることはできます。しかしその結果は、総合的にはDPSが下がる、という結果になります。
例えばペストスチームをインシネレーションに変え(ちょびっと弱くなるけど消費SP期待値がガクッと減る)、クラス特性の「戦闘準備-パラディン」と「戦闘準備-インクイジター」を外し(「コンビクション」と「デモリッション」のCD短縮がなくなる)、さらに「ブレーキングホイール」から「消費SPが増える代わりに追加ダメージが出る」という「特性」を外すと、
となります。サンクチュアリの打数は上の表の場合の「5.2打」よりも増えて「8.5打」となりますが、総DPSは3390.69に下がります。上の表の場合の3703.62よりも8%低いです。
また、サンクチュアリの持続時間が長くなると、その間他のスキルを使うことができないので、各スキルの「実質クールタイム」が伸びる、という面もあります。表の「CD」(クールタイム)の列で、サンクチュアリ以外のスキルの欄に入っている数値は、実は通常のものより長くなっているのですが、その理由はそれです。計算式は冒頭に添付した「ASPD.pdf」を参照してください。
サンクチュアリはスキル単体で見れば確かに強いのですが、そこにばかり資源を傾けると他のスキル達が犠牲となって、結局総合火力は伸び悩む、ということです。面白いですね!
ちなみに、表の中で数字が赤くなっているのは、他のスキルの影響で特別な変化をこうむったところです。大抵はプラスの影響です。例えば「攻撃速度」が赤文字で「1.776」となっていますが、これは「デモリッション」によるプラスの影響を受けたものです。デモリッションを使うと「攻撃速度20%アップ」というバフ効果が発生するので、それによって元々の「1.48」という数値から「1.776」に伸びたのです。
なお、何となく勢いで主役はサンクチュアリのように書いてきてしまいましたが、この後に判明するように、
対悪魔型/変異型戦における真の主役はクルセイドです。
そうでした、重要なことなのに書き忘れていたのですが、クルセイドの効果はPT人数によって変動し、PT4人の場合は対悪魔型/変異型のダメージが2.3倍(!)になります。最高は仲間キャラクターが5人以上の場合で、そのとき2.5倍になります。逆に最低は1人で戦っているときですが、それでも1.7倍です。このゲームの中では破格に近い効果です。
(他職だと「破格」を通り越しして「ぶっこわれ」のものもあるとか聞きますが( ̄▽ ̄;))。
そしてこれも書き忘れていたのですが、
本記事ではひとつの典型的なケースとして、「PT人数が4人」というケースでの計算結果を示しています。
あと、さらに書き忘れていたのですが、 忘れられがちですが初期クラス「プレイグドクター」のクラス特性「魔導浄化」もあります。これはマスタークラスの「特性」枠にセットしなくても無条件で発動し、悪魔型/変異型に対するダメージを1.2倍してくれます。まさしく「縁の下の力持ち」(目につきにくいところで地味に効果を発揮している)ですね(*´ω`)
3.ペスト&インシネ構成
さて、上記のようにサンクチュアリ構成の基本的振る舞いを確認したところで、上の構成例を出発点とし、色々とスキルを入れ替えたりしながら計算と考察を進めてみました。・・・のですが、その途上でふと、「サンクチュアリを外してペスト&インシネの構成にしてみたらどうなるだろう?」という考えが浮かびました。
(「ペスト&インシネ」というのは、「ペストスチーム」と「インシネレーション」のことです。)
恥ずかしながら、おそらく後述の理由によって私の中には「対悪魔型/変異型といえばサンクチュアリ」という固定観念があり、それまでその考えが抜け落ちていたのでした( ̄∇ ̄; )
悪魔型/変異型以外の相手では、ペストとインシネの暴れん坊兄弟🌷が猛威を振るっていました(前回の記事「クレリックのスキル選びについて―②(1)」を参照してください)。しかし対悪魔/変異戦ではさすがにサンクチュアリに及ばないだろう、それを数字で見てみるのも面白いだろう、と。
ところが、計算結果は私個人にとっては驚くものとなりました。
総DPSは4116.02、なんとサンクチュアリ構成よりも11%アップしました。
主因は、通常攻撃とコンビクションとデモリッションの頻度の増加です。以前書いた記事「攻撃速度について」でもご紹介したように、通常攻撃って意外にあなどれないダメージソースになるのです。また、通常攻撃回数が増えるとクラス特性「戦闘準備」2種の効果も上がり、コンビクションとデモリッションのクールタイムがさらに減少します。したがってその2つのスキルによるDPS貢献も上がるのです。
また、他のスキルたちも、サンクチュアリによる「実質クールタイムの増加」がなくなった結果、地味にDPSが伸びています。
そしてまた、サンクチュアリの代わりに入ったインシネ自体の威力も、サンクチュアリを上回っています。サンクチュアリを最高の10打まで続けるなら、逆にサンクチュアリの方が上になり、インシネの1.7倍の威力になります。ですが前節で示したように、総合DPSを考えると「5打」くらいというのが最善なのでした。するとインシネの方が強くなってしまうのです。
簡単に言えば、「サンクチュアリ連打数は5打ぐらいにしておくのが最善なのだが、それだったらペストやインシネに負ける。しかもペストやインシネなら他のスキルを邪魔することもない」ということです。
あらためて前節の表を見直してみると、サンクチュアリのDPS貢献(514.58)はペストのそれ(570.33)に劣っています。この時点で、「あれ、サンクチュアリって対悪魔型/変異型でもペスト&インシネより弱い?」と気づいていてもよかったかもしれませんね。
しかし、私事で恐縮ながら、前述の通り私の中には「対悪魔型/変異型といえばサンクチュアリ」という固定観念があって、その可能性に気づかないでいたのでした。
マスタークラスが実装される前、「初期クラス」4種の中から状況に応じて1クラスを選択し各コンテンツの攻略をしていた時代は、「対悪魔型/変異型ならパラディン」というのが当たり前でした。クレリック内だけでなく、全職中でもパラディンが最強でした。そしてパラディンの使用スキルの中で、サンクチュアリはとても存在感のあるスキルだったのです。
恥ずかしながら「うっかり」と「思い込み」が結構多い私にとって、この計算結果はとても意外で衝撃的なものでした。2024年3月前半期で最も衝撃的な出来事でした(!)
でも、これで終わりではありませんでした。
「そうは言っても、ペスト&インシネの火力は半分が持続ダメージで、速効性に欠ける。持続ダメージが活きないような状況だったらさすがにサンクチュアリの方が強いかな。」と思い、試しに両者でDOT部分をバッサリカットしたものを比較してみました。まずはサンクチュアリ構成の場合がこちらです。
次にペスト&インシネ構成の場合がこちらです。
それでもなおペスト&インシネ構成のほうが強いという結果になりました。
その差は約3.5%で、バッサリ前が約11%の差だったのに比べればかなり縮まっています。それでもなおペスト&インシネ構成のほうが強いという結果になったのでした。
主因はバッサリ前のときと同様、サンクチュアリを外したことによって通常攻撃や他のスキルたちのDPSが伸びたことです。
インシネ単体の火力はさすがにサンク単体に負けました。差を7.5%縮められたのはそのためです。でも、逆転までには至らなかったのです。
私は実はこのゲームの前身作「Tree of Savior」の頃からサンクチュアリは好きなスキルだったので、こちらでもサンクチュアリを愛用していました。なので、その意味ではちょっと残念な結果となりました( ̄∇ ̄; )
でもまあ、何かちょっとした要因でひっくり返ったりするかもしれませんし、状況と立ち回りによってもまた変わってくるのかもしれませんね!
3-1.対ボス一例
というわけで、「どうやらペスト&インシネ構成のほうが強そう」、ということで、以下ではそれをベースにした試行を紹介していきます。
記事の構成の便宜上、前節最初の表をここにも載せておきます。
さて、ここに「エンブレム効果」を入れてみます。
2024年3月現在の仕様では最大4つのエンブレム効果を付けることができますが、それらが見事にダメージトップ3のスキルに対して付く(トップのやつに2つ、2位と3位に1つずつ)ことはまずありません。ですが、仮に4つのエンブレム効果が最適なものに揃った場合どこまで火力が上がるのか、はひとつの参考になります。なので、それを計算してみました。
ただし、比較の都合上、特定のスキルのダメージを〇%アップさせる、というエンブレムだけを考え、またその〇%のところは一律40%としました。特に大きな問題はないと思います。詳細は前回の記事なども参照してください。
さて、計算結果です。
肌色のマスがエンブレム効果によってダメージ1.4倍になったところであり、濃い肌色のマスが効果が重複して1.4×1.4倍になったところです。
エンブレム効果が何もない状態より総DPSが28%アップしました✨
ここまで理想的なエンブレム効果が揃わなかったという場合でも、その半分の14%くらいはアップするのではないでしょうか♪
また、「一般ボス」を相手にしたときのDPSとも比較してみました。つまり、前回の記事「クレリックのスキル選びについて―②(1)」で紹介したような、悪魔型/変異型でない一般のボスモンスターに対するDPSの比較ということです。
その記事で調べた範囲では、総DPSは2601.54というのが一番高いものでした。ここでは5267.99なので、約2倍になっていますね!
つまり、悪魔型/変異型が相手の場合、クレリックは約2倍の火力が出せる、ということです。
3-2.スマコン仕様にしてみる
ここで「スマコン仕様」と呼んだのは、1枠にスキル「スマイト」を入れた構成のことです。上の構成例では1枠にコンビクションとデモリッションと御幣が入っていますが、そのどれかをスマイトに変えるということです。
スマイト自体はその3つのスキルのいずれよりも弱いので、普通はあまりその発想は出てきません。しかし、エンブレム効果の中には「スマイトとコンビクションのダメージを〇%アップする」というものがあります(以下「スマコンアップ」と呼びます)。普通は1個のスキルしか強化されないのに、この場合は2個が強化されて何だかお得感があります。すると、
「もしかしてスマイト(とコンビクション)を入れてこのエンブレムをつけた方が強くなったりして?」という発想が出てくるのです。
というわけで計算してみました。まずはデモリッションをスマイトに代えた場合です。
総DPSが約2%アップしました✨
まあ、誤差レベルの差ですが、少なくともスマコンが有力な選択肢であることは言えそうですね!
ただし、上の計算結果は、「エンブレムとジャウラ盾の両方にスマコンアップが付いた」という幸運な場合のものです。
そうでない場合はどうなるでしょうか。参考例を計算してみました。
総DPSは5095.01になりました。デモリッションの構成でも同じようにジャウラ盾の効果をペスト2に移すと、5187.64になりました。つまり、
今度は逆にデモリッションのときより2%下がりました。
まあ、それでもやっぱり誤差レベルと言っていいでしょうし、やはり有力な選択肢と見ていいと思います🌸
なお、詳細は割愛しますが、デモリッションでなく御幣をスマイトに代えた場合も同じような結果になりました。
3-3.SPクポルを他のクポルに代えてみる
「クポル」とは、一緒に戦ってくれる妖精のようなもののことです。最大3体まで同行させることができます。
これまでの表では、「SP自然回復/秒」が「59.5」となっています。実はこれは3体の「クポル」のうちの1体を、SP自然回復量を上げてくれるクポルにした場合の数字です。
そのクポルを他のクポルに代えると、「SP自然回復/秒」は「37」に下がります。すると、スキル構成によっては「SP消費/秒」がそれを上回ってしまいますので、構成を見直さなければなりません。そしてそれは一般に総DPSの低下をもたらします。
でもその代わり、そのクポルが持っている強力な攻撃・支援スキルを使えるようになります。
なので、「結局どっちが強いんだろう?」という、楽しい(?)悩みが生じることになります。
前回の記事「クレリックのスキル選びについて―②(1)」で調べたスキル構成例では、「SPクポルのほうが総合火力が上がる」という結果が得られたのでした。でも、いつでも必ずそうなるというわけではありません。今回の記事ではどうなるでしょうか?
というわけで、計算してみました。
・・・と言いたいところですが、実は今回は計算するまでもなく明らかだったりします( ̄▽ ̄;)
3-1節のスキル構成例では、秒間SP消費量が「36.73」となっています。この時点ですでに、SPクポルがいないときの自然回復量で間に合っています。なので、何の代価も払わず他の攻撃・支援クポルに代えることができます。したがって当然そちらのほうが火力が上がります。
こういうこともあるんですね!
(他職ではクレリックほど消費SPがきつくない、と聞いたことがある気がするので、もしかしたら他職ではそれが普通だったりするのかもしれないですが。)
3-4.グランドナモットを入れてみる(PT支援目的)
次に、スキル「グランドナモット」を入れることを考えてみます。グランドナモットは3番スロットにセット可能なスキルで、それ自体の火力はちょっと弱いのですが、「悪魔型/変異型の敵に対し、5秒間、被ダメージが14%アップするデバフをかける」という効果を持ちます。
PTプレイだと、このデバフがかかった相手に対し、自分からの攻撃ダメージだけでなく味方からの攻撃ダメージも14%アップすることになるので、実質的にPT全体の火力を上げるのと同じことになります。(少なくともゲーム内説明文を信じるならば・・・)
というわけで、それを含んだスキル構成の一例について計算してみました。セット可能箇所は3番スロットだけなので、インシネレーションかペストスチームを外してこれを入れる、ということになります。インシネのほうがちょびっとDPSが低いので、そちらを外してみました。
総DPSはインシネレーションのときより約5.5%下がりました。でもその代わり、PTメンバーのDPS期待値が約3%上がります。
(計算式は$${\frac{5}{20}\times1.14+\frac{15}{20}=1.035}$$です)。
(なお、比較の都合上、エンブレム効果を付ける前の状態について計算しました。なので比較対象は3-1節の最初の表です。)
思ったより総DPSは下がりませんでしたが、PT支援のほうも微妙と言えば微妙な数字ですね( ̄∇ ̄; )
ですが、この「3%」の有効性はメンバー次第で変わります。例えば4人PTで、自分を含めその4人がみんな同じくらいの火力だった場合を考えみましょう。各自の与ダメージ総量を100とすれば、4人の総火力は400になります。そこでクレリックがスキル構成を上のものに変えたとします。すると総火力は、
$$
300\times1.035+94.41=404.91,
$$
つまり、変える前の1.012倍になります。つまり1%アップです。「おお!強くなった!」と体感してくれるメンバーはあまりいなそうですね💧
でも自分以外のメンバー3人がいずれも自分の2倍の火力を出す人達だったらどうでしょうか? 総合火力は$${200\times3+100=700}$$から、
$$
600\times1.035+94.41=715.41,
$$
つまり、変える前の1.022倍になります。つまり2%アップです。
・・・やっぱ微妙 ま、まあ、輝く時もきっとあるでしょう✨
3-5.回復を入れてみる
ここまでは、回復スキルをまったく入れない構成を見てきました。実は、特に深い考えがあってのことではなく、何となく「初期4クラス時代」からの名残で、「対悪魔型/変異型戦ではクレリックも全力で攻撃するもの」という固定観念のようなものがあったからでした(*ノ>ᴗ<)
でも、マスタークラスでは自由にスキルをセットできるのですから、回復を入れても別にいいわけですよね。火力は下がりそうですが、コンテンツによっては有力な選択肢となりそうです。
というわけで、計算してみました。
主要な回復スキルは「ヒール」と「ヒーリングファクター」です。そしてヒールは1番か4番か5番のスロットに、ヒーリングファクターは4番か5番のスロットにセット可能です。(ヒールが1番にもセットできるって実は最近気づいたのですが、前からでしたっけ💧)
まずヒールを入れる構成の例としては、次のものが挙げられます(今回私が少し色々やってみた範囲ではこれが最善でした)。
1枠のデモリッションをヒールに代えてみたものです。総DPSは4691.13となり、ヒール無しの場合より約12.5%下がりました。
でも、逆に言えばたったの12.5%です(!) 実は私はもっと下がるかと思っていたのですが、12.5%止まりでした。
しかも、それでもなお、対象が悪魔型/変異型以外であるときの1.77倍の火力が出ます! 言い換えれば、火力を欲張って無理に回復無しのスキル構成にしなくても、相手が悪魔型/変異型というだけですでに1.77倍以上の火力が出せる、ということです。回復があればやっぱり戦闘は楽になりますから、素直にヒールを入れるという選択も十分にアリですね🌟
ただ、その意味でもっとすごいのは、ヒーリングファクターを入れた構成です。その一例が以下のものです(これも、今回私が少し色々試した中では最善だったものです)。
総DPSは5038.09となり、回復無しの場合より約4.4%下がりました。
でも、たった4.4%です・・・! 私は正直ここまで下がらないものだとは思っていませんでした・・・!
そして一般ボス戦のときの1.94倍の火力です。回復を捨てればさらに上がって2.02倍になりますが、もう十分、と言っていいかもしれませんね!
もちろん、特定のコンテンツで「数%の火力の差が勝敗を分ける・・・!」というきわどい戦いをしている場合は、回復を捨てて全ての力を火力に注ぐ、というのもアリでしょう。でも、そうでない限りは、無理せず回復スキルを入れていいかも?と個人的には思います🌸
ヒールにするかヒーリングファクターにするかは、状況によって判断することになると思います。単純に火力だけで言えば後者の方が上ですが、回復量は前者の方が上です。それら以外に、両者は付加的なバフ効果の面でも色々長短があります。是非色々検討してみてください。
3-6.回復入り構成でのクポル
ところで、ヒールやヒーリングファクターを入れた構成でのクポルまわりの判断はどうなるでしょうか。と言っても、ここではそれほど広範な考察はしません。3-3節と同様、単純に「SPクポルか攻撃クポルか」だけを考えてみます。
上のヒーリングファクター入りスキル構成例で見てみましょう。表を見ると、SP消費/秒の合計が39.27です。SPクポルを外した場合のSP自然回復量は37ですから、それを上回ってしまいますね。なのでSPクポルを他の攻撃型クポルに代えたい場合、スキル構成を少し変えなければなりません。すると総DPSは下がります。でも交代したクポルが強力な攻撃・支援スキルを持っていれば、それを挽回できるでしょう。どうなるでしょうか。
前回の記事と同様、2024年3月上旬で比較的人気だったらしい「ジェミナ(サンタ)」(以下「Xmasジェミナ」)と「ジェスティ」と「ジャウラ」というクポルで計算してみました。その中で最もDPSが高かったのがXmasジェミナでした。
総DPSはSPクポルを入れた構成のときより約1.8%上がりました。
誤差レベルですね( ̄∇ ̄; )
でも、前回の記事では負けっぱなしだったことを思い出すと、なかなか画期的(?)なことのように個人的には感じます。
勝因は、消費SPを下げるために火力を下げなければならないスキルが「ブレーキングホイール」1個で済んだことです。前回の記事の構成では、それだけでなくペストスチームのほうも下げねばならず、その結果数%負ける結果となっていたのでした。
3-7.対集団戦一例
次に、対悪魔型/変異型集団戦でのスキル構成例です。3-1節で示した本記事の基本構成例から、「切開」を外して「破魔矢」を入れてみました。「切開」は1体の敵にしかダメージを与えられないからです。
計算結果は次のようになりました。
総DPSは6124.73、ボス戦のときの1.16倍になりました。
DPS増加の主因は、クルセイドの次のような特性です。「効果時間中に悪魔型/変異型の相手を1体倒すたび、効果時間が3秒伸びる。最大で50秒まで伸びる」です。普段の効果時間は30秒です。集団戦だとそれが50秒まで伸びうる、ということです。
これまでの「対ボス戦」の計算では、効果時間を30秒としていました。それが一般的だと思われたからです。でも集団戦の場合は、上記のように50秒まで伸びる可能性があります。計算してみると、約6.8秒に1体以上というペースで倒し続けることができれば、効果時間が50秒まで伸びることになります。
なので、「対悪魔型/変異型集団戦で、約6.8秒に1体以上のペースで倒し続けられた場合」で計算してみた、というのが上の結果です。
その結果、「悪魔型/変異型に対しダメージ2.3倍」(4人PTの場合)というクルセイドのバフ効果が、「60秒中30秒」から「60秒中50秒」に伸び、ボス戦のときより1.16倍高いDPSになったのでした🌸
3-8.ホーリースマッシュを入れてみる
最後に、「ホーリースマッシュ」に着目してみます。素のスペックを見る限りあまり強くなさそうに見えるスキルですが、ひとつとんでもない「特性」を持っています。「悪魔型/変異型の敵を5体以上攻撃時、クールタイムが初期化される」です。
ただ、実際にモンスターが集団で襲ってくるようなコンテンツで試してみると、「5体以上を同時に攻撃する」という状況になることはあまり(ほとんど?)ないようでした。なので、実はこの特性が猛威を振るうような状況というのはあまりないような気がします。
ですが、メインクエストとかだと、開発チームの逆ギレかと思うような理不尽な密度の集団が襲ってきたりすることがありますよね(笑)そんなときはこの特性が遺憾なく力を発揮するかも、と思い、計算してみました。
対集団戦での総DPSが6%上がりました✨
まあまあですが、劇的に上がるわけではないですね( ̄▽ ̄;)
いまいち伸び悩んだ原因は、いくら連射できるとは言っても本当に連射していたらSPがすぐ尽きてしまいますし、他のスキルのCDが明けた時には他のスキルを使ったほうが強いから、です。
上の表でホーリースマッシュのCD(クールタイム)の数字がゼロではなく「2.57」となっているのは、それを反映したものです。
上述の要因を考慮し、「他のスキルたちも普通にCD明けごとに使用されているとし、その上で、『SP消費/秒』が『SP自然回復/秒』を上回らない限界までホーリースマッシュのクールタイムを縮めてみたもの」が、その「2.57」(秒)という数字です。
枠を青くしたのは、そういう特殊な決め方で決めた数字であるということを忘れないためです。
まあ、いずれにせよ、確かに高密度集団相手だとホーリースマッシュは強いのですが、総DPSの増加はそれほどではない、という結果になりました。個人的にはなかなか面白い計算でした🌷
4.まとめ
というわけで、本記事では「クレリック」のスキル選びについて、悪魔型/変異型の相手との戦闘を想定した構成例をいくつか見てみました。以下に要点をまとめてみます。
対悪魔型/変異型の要となるのはクルセイドであると思われます。逆に言えば、それさえ入れておけばあとは好きにしてOK、と言えるかもしれません( ̄▽ ̄;) あと、忘れがちですがプレイグドクターの「魔導浄化」も無条件で効果を発揮しています。
私個人にとっては意外だったのですが、サンクチュアリを入れた構成よりもペスト&インシネを入れた構成のほうが総合火力は高いようでした。(第3節)
スマコンアップのエンブレムがある場合は、スマイトを入れるのも有効だと思います。(コンビクションは、本記事ではすべての構成例に入れています)(3-2節)
グランドナモットも、効果は微妙ですがPT戦ならば入れて損はないと思います。(3-4節)
ヒールやヒーリングファクターを入れると、全スロットを攻撃スキルだけで埋めた場合よりも前者では約10%、後者では約5%火力が下がります。でも、逆に言えばたったそれだけです(!)。(3-5節)
対集団戦では、クルセイドの効果時間延長が見込め、その結果ボス戦のときより16%火力が上がります。(3-7節)
ホーリースマッシュは高密度集団相手ではほぼ常時クールタイムが0秒になると期待されますが、総合火力の上昇は意外に(?)わずかです。(3-8節)
今回のスキル構成例では、SP供給型クポルよりも攻撃支援型クポルのほうが強くなりやすいようでした(差は誤差レベルですが)。(3-3節、3-6節)
といったところです。
本記事が皆様のスキル選びのご参考になれば幸いです。
5.補遺:優位属性で攻撃したとき
4/4追記です。このゲームではモンスターに「属性」が設定されており、「その属性に対して優位な属性で攻撃するとダメージが1.5倍になる」という仕様があります。色んなRPGで採用されているシステムであり、風水用語を借用して「属性相克」なんて呼ばれる場合もありますね。
ところがこのゲームの場合、それが、持続ダメージには適用されない、という重要な性質があることが分かりました( ̄▽ ̄;)!
3月上旬にこの記事を書いたときにはそんな差別があるとは思わず、その仕様については考慮していませんでした。
このゲームでは武器に好きな属性をつけることが比較的容易に出来るため、エンドコンテンツ等ではほとんどのプレイヤーが適切な属性をつけていきます。
相手に対して優位な属性をつけた武器で攻撃すると、通常攻撃および全てのスキルダメージが1.5倍になります。スキルによっては元々何かの属性を持っているものもありますが、それに関係なく1.5倍になります。
すると、ペストスチーム、インシネレーション、切開のように、与ダメージの大半を持続ダメージ(DOT)が占めているようなスキルは不利になります。
しかし、それを踏まえた再計算を行ってみたところ、本記事の主要な結果に大きな影響はないことが分かりました。
特に重要なのは、「サンクチュアリ構成とペスト&インシネ構成ではどちらが総合的にDPSが高いのか」についてです。3月上旬の計算では後者の方が高いという結果になっていました。これが覆ると、この記事の内容に大きな改変が必要になるところでした。
しかし面白いことに、この状況においてもなお、上記の結果はくつがえりませんでした(!)。以下にそれを示します。
(「属性相克」の詳細については「クレリックのスキル選びについて―②(1)」の補遺を参照して下さい)
まず、サンクチュアリ構成で、優位属性武器で悪魔型/変異型ボスモンスターを攻撃したときの諸数値が以下です。
本記事本編との主要な違いは、スキルダメージ(SDMG)の部分が1.5倍になっていることです。ここでは優位属性武器で攻撃しているからです。他に、表を再整理する上で細かい調整をしていますが、計算の大枠に変化はありません。最終的には「単にSDMGを1.5倍にしただけ」と同じです。
次に、ペスト&インシネ構成の場合です。
総DPSはサンクチュアリ構成より約4.5%高くなりました。
本記事第3節のとき、すなわち属性相克が効いていない場合の「11%」という差に比べると、やはりさすがに縮まっています。でも逆転までには至らないようでした。面白いですね!
というわけで、上でも述べたように、優位属性武器で攻撃する場合でも、本記事の主要な結果に大きな違いはありません。