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ROOTS 〜川村文乃凱旋公演〜

5月のある月曜日だった。
朝出社すると、部長に呼ばれた。

「8月から12月位まで岡山な~」


次の仕事の勤務地の辞令が出た。
某テレビ番組よろしく、「辞令は突然に」きた。


私は基本、東京(23区内)で仕事をしている。

東京で仕事していれば、
土日祝日はもちろん、平日のイベントも、
有給(半休)休暇を使用すれば大体行ける。

が、地方勤務なると、いけなくなってしまう。

いける可能性を模索して、
あらゆる手段を考えても、間に合わない。
行けたとして、最後までいたら終電で帰れない。
「じゃあ有給とるか」という方法もあるが
取りづらいし、今回の出張に至っては取れない。

「上半期オタクしすぎたし、稼いで貯金するか…」
「資格の勉強もしなきゃいけない…」


ちょっと、オタクを息継ぎしよう。


「オタク休憩して仕事に集中しよう。一旦休む」
と思っていたし、そのつもりだった。


この告知が来るまでは。


アンジュルム10th Anniversary tour 2024 Autumn
ROOTS 11/9(土):高知公演


…高知?岡山から近いやん。笑


当時の状況と、メリットを書くとこんな感じ。

・この時期は岡山にいる
 →東京⇄岡山間の交通費浮いた
・岡山に単身赴任の宿舎ある
 →ホテル代浮いた(結局ホテル取ったが…笑)
・会社で借りてる車ある
 →岡山⇄高知の移動手段確保済

これは…行くしかない。

現実的に、行くための障壁はチケットだけ。
それさえどうにかなれば行ける。


単身赴任先の近場で、
ライブ・イベント開催してくれたり、
参戦しやすい条件で赴任させてくれる…。
弊社、なんかそういう事してくれるんだよな…。
(ただの偶然ですよ。)

「次はココでイベントやります」って、
アイドル事務所と内通してる人が社内にいて、
私の赴任先選んでくれてるんじゃないか?
(だから、ただの偶然ですって。)

とにかく…

弊社の内通者がいましたら、
本当にありがとうございます!
(これからも何卒お願いいたします!!!!!)


9/30の水島警察署の
「下井谷幸穂 1日警察署長」のオマケ付き。

仕事の方は何とか完遂し、
チケットも両部確保できた。
あとは楽しむだけになった。


初、高知県

2024年の春ツアーで、高知公演をやった日から、
「秋は、高知あったら絶対行きたいな~」
と思っていた。

人生でまだ一度も行ったことない県の1つが
高知県だったので、ライブなしにしても、
旅行先としても行きたかった。

鰹・坂本竜馬・四万十川・日曜市、ひろめ市場
この位しか知らなかったから、
どんなところか楽しみだった。

(まさか、初高知がライブになると思わなかったけど…笑)


アンジュルムに出会ったからは、
「川村文乃さんの出身地」も加わった。

川村文乃さんが在籍してるアンジュルムに出会うのが間に合って、本当によかったと思っている。

どんなパートも歌いこなす歌唱力の高さ
曲調や歌詞に併せた表現力の高さ
スイッチが入った時の、煽りまくるオラオラ感

強さ、優しさ、かっこよさ、儚さ…
変幻自在な彼女は本当に素敵な方である。


中学を卒業して、上京し、ハロプロ研修生。
自分の人生を決める大きな決断をしたと思うし、
並々ならぬ覚悟であったと思う。

そんな川村文乃さんが産まれ育った高知での、
最後の凱旋公演。


俺のやれる事は最大限やろうと思った。


とりあえず、10月から
1日2公演に耐えられる身体作りを始めた。

このセトリと今の身体では、
普通にやっても昼公演のアンコールで力尽きる。
加えて、最後の凱旋公演。
俺は最初の5曲で使い切ってしまう。

仕事が終わったらランニングして、筋トレして、
ライブを戦い抜ける身体にした。


何か特別な事ができるオタクじゃないから、
最大限の声を出して、凱旋公演を盛り上げよう。

「今日、高知にこれて最高に楽しかった!!」
ってのが少しでも伝わるように楽しもうと思った。


盛り上がるのも、楽しいのも、分かっている。
俺がやんなくても、誰かやるし、
今日ここにいる人間は、やる人しかいない。
でも、だからこそ、自分のやり方で…。

ーライブの感想ー

※ツアー千秋楽を迎えていないため、
 セトリは極力触れずに書こうと思います。


ライブ自体は、楽しかったというより、
この空間にいられることが幸せだった。

『…っかえり!あやの!おっかえり!!あやの!!!おっかえり!!!』

誰かが言い始めて、
その声はどんどん大きくなる。

今までオタクやってて聞いたことない、
コールというより、オタク達の魂の叫びだった。

先週行った横浜公演の
「ぺいぺい!おっかえり!」より、
人数は高知の方が少ないはずなのに、
圧倒的に大きな声だった。

ここまで来るってのは、
そういう”ヲタク”しかいないよな…

会場はライトパープルのペンライトに包まれた。 
まだ何も始まってないのに、感無量である。

1曲目からコールする曲だ。
声の厚みと圧を感じる“うりゃ!おい!”
まだ、昼公演の1曲目、2公演の1曲目だが、
後先のことなんか考えてない、
今この瞬間に全力なオタクしかいなかった。

セーブなんてしてられない。
1曲目から自分もフルスロットルだ。

5曲終わってMCだが、もう既に喉が痛かった。
1公演終えた後の疲労感と喉の状態だった。
が、周りのオタクの声の出力は全く落ちていない。どんな訓練受けてんだよ…。

一転して、落ち着いたイントロが流れる。

「あぁ、あの曲だ…。」
近くから川村さん推しの方の嗚咽が漏れていた。
川村さんの卒業発表をキッカケによく聞くようになって、大好きになった曲だ。
コールがある曲だが、
今回はコールせずに噛み締めて聞いた。
川村さんの2番の歌い出しで、涙が溢れた。

コールする人、コールせずに黙って聞く人、
色んな想いが溢れて、涙を流す人…

素敵な歌に出逢えたな、と思った。

満身創痍で昼公演を終えた。
喉はもう死んでいた。でも、まだ夜公演がある。
龍角散のど飴とお茶で喉を回復させて、
何とか戦える状態にする。

夜公演スタート。
昼公演よりも大きな“あやの!おかえり!”
1時間半程前に、
ライブ終えた人が殆どとは思えない声量。
どんな訓練してたらそんな風になれんだよ…笑

メンバーも疲れを感じさせないし、
パフォーマンスは、昼公演より仕上がっていた。
あなた達も、
どういう訓練したらそんな風になれんだよ…笑

メンバーの、ステージからの覇気と、
オタクの客席からの圧で、
会場の熱量はどんどん上がっていた。
今この瞬間に自分の全てを出し切れる人だけの、
日本で1番アツい空間だった。


今日のアンジュルムメンバーは、
全員がすごかった。誰ってことないし。
普通の公演なら、
「今日の公演は、この子が一番良かった!」
となると思う。普通の公演なら。


今日、この2公演だけは、
川村文乃が主人公だった。

強さ、逞しさ、温かさ、優しさ、キラキラ。
アイドルとしての自分の集大成を見せるべく、
涙は決して見せず、誰よりも笑顔で、声出して、
光り輝かせていた。

そんな川村さんに応えるべく、オタクも、
“あやの!”というコールの声量が、
高知県民ホールぶっ壊せるんじゃないか
ってくらい大きかった。
川村さんパートになると、
ライトパープルのペンライトで自分の想いを伝えるべく念を送っていた。


セトリは、横浜と高知で1曲も変わっていない。
でも、全然違うライブだった。

今日この日の事は、
俺がオタクのうちは、絶対に忘れない。


あやの最高!あやの最高!
高知最高!高知最高!

川村文乃さん、
俺を高知まで連れてきてくれて
ありがとうございました。
アンジュルムのライブも高知県も、
ホントに幸せでした。最高でした。


最高のライブを連番したオタクと別れて、
ホテルで一息着いた時、
ふと自分の地元のことを思い出した。


自分の地元は、全国でも、
「トップクラスの田舎」といっても過言でない。

人工物はひび割れたアスファルトと電柱位で、
目に見えるほとんどが、山と田畑と川。

都会の雑踏や電車・車の音で騒がしい代わりに
カエルとセミの大合唱。

コンビニは車で15分の場所にしかなかったし、
電車は1時間に1本しか来ないし、
空気を運んでるワンマン運転で、
もちろんsuicaなんて使えない。

月に1回、家族と高速乗って2時間かけて、
イオンに行った時のゲーセンが楽しみだった。

そんなド田舎日本代表の地元に
希望というか、明るい未来が存在しなかった。

地元に特に成長産業があるわけでもなく、
廃れていくばかりで、って言うのもあるが…
そこで住む人が…言葉を選ばずいうと、
残念な大人の見本市だった。


地元しか知らないのに、
世界の全てを知ったかのように生きてる大人達。
どこか燻っていて、現状に不満はあるが、
何をする訳でもなく、
なんとなく日々を惰性で生きて、
日々を浪費するだけの無気力な高校生の先輩達。

暴走族がいて、暴力事件がよく起きるや、
校舎の窓ガラスが割れてて、落書きばっかりで…

とかはなかったが、
「𓏸𓏸先輩が寿退学した(させた)」だの、
「学校での喫煙がバレて停学した」だの、
「スーパーで万引きして補導された」だの、
小悪党らのしょぼい悪さ話が、お裾分けしたくなるほどあった。


「ここに居たら、俺は絶対だめだ。」


中学生ながら、地元が嫌で嫌で仕方なくて、
高校受験の時に猛勉強し、地元を脱出した。
「オタクしたい」「ライブやイベントに沢山行きたい」
ということで、東京の会社に就職した。

自分にとっての地元は、
「負の遺産であり、切り捨てる存在」だ。




川村文乃さんは、
「皆に恩返しするために」と言って、上京した。

川村文乃さんにとっての地元は、きっと、
中学生にそう言わせたくなる、素敵な場所
なんだろうな。

大手事務所所属のアイドルが
自分の生まれ育った地元の会場を満員にして、
ライブを開催する。
そのライブの主人公が、もちろん自分。


川村文乃 最高のアイドル人生じゃないか。


次の日は観光して高知をあとにした。

高知の全てを堪能できた訳では無いが、
とてもいい所だった。
街の人の目はキラキラしていたし、温かかった。
聞きなれない方言で会話に困ったが、
いい人ばかりで、高知を大好きになった。

こんな素敵な場所を知ることが出来て、
そして川村文乃に出会うのが間に合って、
俺は幸せ者だし、本当に運がよかったと思う。

上國料萌衣:熊本
伊勢鈴蘭:北海道
橋迫鈴:愛知
為永幸音:長野
松本わかな:大阪
下井谷幸穂:岡山

現アンジュルムメンバーの、
関東圏以外の凱旋公演を、やるとなれば、
全員1回は行ってるんだろうな。
あの空間の楽しさと喜びも知ってしまったら、
もう戻れない。

金も時間もかかるが、絶対楽しいし、
そこでしか得られない満足感は絶対存在する。
そう思わせてくれるアンジュルムに出逢えて、
俺は幸せだ。

最後に。

あと少しで川村文乃さんは、
アンジュルム、ハロープロジェクトを卒業する。
アイドルを引退する彼女には、
もう会うことはできない。

卒業公演には、
岡山出張継続中ではあるが、
弊社のスパイの計らいなのか、
この時期だけは東京に戻ってきており、
有給を使って参戦することができる。

彼女はアイドルとしてやりたいことをやって、
最後の一瞬まで、ファンに寄り添って、
「アイドル 川村文乃」を光り輝かせている。

卒業公演のチケットは確保することが出来た。
川村文乃の集大成を見る権利を得た。


俺のやる事は変わらない。


全力で楽しむこと。
そして、楽しむための準備をするだけ。


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