痛くても苦しくてもSHINeeを一生推そうと決めた日曜日
2024年2月25日の日曜日、東京ドームにライブを観に行った。
「SHINee WORLD VI [PERFECT ILLUMINATION] JAPAN FINAL LIVE in TOKYO DOME」
SHINeeの東京ドーム公演は2018年7月のファンミーティング以来6年ぶりだったらしい。ちょっと前だとは思わないけど、そんなに前だとも思っていなかった。
この6年の間も韓国での活動やメンバー個人の活動があり、そして昨年は久しぶりの日本ツアーもあったが、東京ドーム公演というのはやはり特別なものだ。
土日公演の両日行くのを迷って日曜の最終公演だけにした。
私はオニュペンだ。(K-POP界隈をご存じない方へ説明すると、「ペン」はファンの韓国語で、日本でいう「◯◯推し」みたいな表現を「◯◯ペン」という)
私の最推しであるリーダーのオニュは、健康上の理由でしばらく活動をお休みしている。ほんの少しだけ、オニュが東京ドームで復帰するのを期待した時もあったけれど、心と身体の健康が何より大切だと私たちはよく分かっている。
久しぶりの東京ドームは天井席だった。チケットが配信されて「40ゲート」の文字が見えたときに、「出たな、天井席!」と思った(笑)
そういう感覚もすごく久しぶりで、何もかもが懐かしかった。
土曜の公演レポが私のXのTLにもたくさん流れてきたが、全部薄目でぼんやりと確認してスルーした。アリーナツアーとセットリストは変わっているだろうし、それを新鮮な気持ちで受け取りたかった。
会場が暗転して、ステージが照らされて、メンバーの姿がうっすら浮かび上がって、3つのシルエットが見えたとき、足下から電流が走ったみたいに体が震えて涙が溢れた。
東京ドームに戻ってきたSHINeeを見て嬉しい気持ちよりも、3人しかいない事実に打ちのめされた気がした。
頭では理解している。SHINeeは5人なのに、今は4人で、でも今日は3人しかいない。そんなこともうずっとわかっているのに、その事実がどうしようもなく辛かった。
だけど、気持ちが後ろ向きになりかけた私を3人は一瞬で引き戻してくれた。
一曲目からアリーナツアーのセトリとは変わっていた。ああ、全く違うものを今日は見せてくれるんだ。その予感は的中した。
日本でデビューした初期の頃は色んな曲が日本語バージョンになって、韓国語の原曲で好きになったファンは色々と思うことも多かったと思う。私もその一人だった。日本語になると曲の雰囲気が変わる。歌詞の意味がダイレクトに伝わってくるのはもちろん、韓国語での韻が日本語では表現できないことが多いから。私はけっこうな原曲厨だった。
でも、日本語のオリジナル曲も沢山作られて、毎年の日本でのツアーで色々な思い出ができて、いつの間にか日本語バージョンの曲も日本のオリジナル曲もとても大切で大好きな曲ばかりになった。
今回のセトリには、そういう日本での活動で生まれた大切な曲たちがこれでもかと詰め込まれていた。
懐かしい曲のイントロが流れるたびに、この曲でこんなことあったな、あの時こうだったな、と色々な事が思い浮かぶのと同時に、私の中には本当にたくさんの数え切れないSHINeeとの思い出が詰まっていて、それを大事に大事に抱えてここまできたのだということに気がついた。
SHINeeはメンバー全員が通訳なしで日本語でライブMCをこなす。今でもバックに控えてはいるのだろうが、表に登場する機会はほとんどない。
もちろん日本でデビューしたての頃は通訳さんを介してMCをしていたこともあるが、日本語でわちゃわちゃ楽しそうにMCをするSHINeeを見慣れてしまっているので、そのすごさを忘れそうになるのだが、他の韓国アイドルを推している方がSHINeeのライブを見て驚いているのを耳にしたり目にすると、ああ、そうだったと改めて彼らの日本語力に感心するし誇らしい気持ちになる。
彼らのすごいところは日本語でただ気持ちを伝えるだけではなく、ふつーに笑いが取れる。ちょっと都合が悪くなると「外国人(韓国人)なのでー」とごまかしたりするのもレベルが高い。
今回もわちゃわちゃとSHINeeらしいMCを存分に聞いて見ることができた。
アリーナからドームに会場が広くなっても、ステージの真ん中にキュッと集まって、話しているメンバーのほうに体を向けて楽しそうにしているのを見ると幸せな気持ちになった。一番年下のテミンは相変わらず溺愛されているし、キーはますます日本語ネイティブでツッコミも鋭いし、ミノはそんな二人を優しく見守りつつ時々ふざけたりして、もし、ここにオニュがいたらそれを全部ニコニコしながら黙って見ていて、やっと発言したと思ったら謎発言でみんなを困惑させて、それをジョンヒョンがすかさず拾ってフォローしてくれる。
そういう光景が目に浮かんで、やっぱりちょっと涙が出た。
アンコール前の最後の曲は『LOVE』だった。
最近日本で活動する韓国アイドルは、最初から東京ドームで公演することも珍しくないようだ。もちろん人気があるからこそ実現できる。
SHINeeは日本で活動を始めてから4年かかって、東京ドームの舞台に立つことになった。今とは環境が違うこともあるが、それでもSHINeeの東京ドームへの道のりはほんの少し長かった。
初めての東京ドーム公演の最後の曲も『LOVE』だった。
この曲で行われたサプライズ演出で、東京ドームの客席に浮かび上がったメンバーへのメッセージを見て、号泣していたジョンヒョンを思い出した。
5人みんなで肩を抱き合って、ここまで長かったね、頑張ったね、お疲れ様、そんなふうに一つになったあの瞬間を今でも鮮明に思い出すことができる。
今回の公演でも、アンコール曲の最中に客席に文字を作るサプライズ演出が行われた。土曜日は全員が感極まり、MCでうまく話せなかったメンバーもいたと薄目で見たレポに書いてあった。
昨日すでにサプライズをお見舞いされているメンバーは、2日目も同じサプライズが行われることがわかっている。もはやサプライズではない。
それでも、何度見てもきっと感動するのだろう。文字を作っているこちらサイドも広い東京ドームの客席にメッセージが浮かび上がる光景は何度見ても特別な気持ちになる。
キーは目を潤ませていたが、テミンはずっと客席の文字を見つめながら何か感じているのだろうが、いつもの涼し気な表情だった。そしてミノは肩を震わせ顔を覆って泣いていた。ミノはあまり涙を見せないイメージだったから少し驚いた。
最後の挨拶でステージ上を移動しながら、テミンが「ミノさんも皆さんの前で泣けるようになりましたね」とニコニコ嬉しそうにしていたら、すかさずキーが「歳だよ、歳!」とか言うから、東京ドームが笑いの渦に包まれた。
こういうところがものすごくSHINeeで、昔から変わらず、そして愛おしい。
4人で立つはずだったステージに、いや、本当なら5人で立つはずだったステージに、年下組の3人だけで立つことはきっとすごく不安もあったのだと想像する。アリーナツアーを経ていたとしても、東京ドームはやっぱり特別な場所だから。
最後のMCで、キーが「昔の曲を懐かしいなと思いながら歌ったり踊ったりできる日がくるかな…と思っていたときがあったけど、こうやって美しく実現できて嬉しいです」みたいな事を言っていて、メンバーも同じ気持ちだったと分かって、ライブが始まってからここまで散々気持ちも涙腺も崩壊させられてきたのに、完全にトドメを刺されてしまった。
そして「SHINee、行ってきまーす」と言って3人はステージの裏に見えなくなった。行ってきますってことは帰ってくるってこと。またここで「おかえり」って迎えることができる。そんな日を当たり前みたいに約束してくれた。
オニュも、もちろんジョンヒョンも、私たちシャヲルも、誰一人置いて行かないでこの先に連れて行く、だからずっとついてきてほしい。
そんなメッセージを今回のライブから感じることができた。
3人のSHINeeを見るのが少し不安で、ライブに行くのを迷った自分もいたが、行って良かったと思う。行かなければ後悔したと思う。
2010年の12月に代々木体育館で行われた初のSHINee単独ライブ、幸運にも私はそのライブを見に行くことができた。あの時から13年以上が経って、見える景色はずいぶん変わってしまったけれど、私の大好きなSHINeeもSHINeeの楽曲も全然色褪せずに輝いていた。眩しくて切なくて最高だった。
このクソデカ感情をどこにぶつけていいのかわからないから、この先のSHINeeに全力でぶつけて愛していこうと思う。
どうしても苦しくて向き合うのが辛いときもあるかもしれない。でも、今回の東京ドームではっきりとわかったことがある。
SHINeeは私の中に細胞レベルで刻まれていて、もう切り離せない。
痛くても苦しくても一生推すしか道はないんだ。
でも、この道は痛くて苦しいのと同じくらい、楽しくて嬉しくて幸せに違いないから。