雰囲気がホラーなんだよ
夜の道怖かった。
父親に迎えに来てくれと頼まれて、21時ちょっと手前くらいに家を出た。なんでも知り合いが焼肉屋をオープンしたので、身内を集めての飲み会をそこでやったんだそう。初めから酒を飲むことはわかっていたので、行きも送っていった。
生まれ育った地域でも知らない場所は多い。普段使う大きな通りくらいしかわからないし、仕事上走る道であれば細かいところも多少知っていたりするけれど、その当時、運転免許証がなく、一人で出歩けなかった場所は全く知らない。一本、道を間違えると、あらぬところへ繋がっている。
夏至もとっくに過ぎ、日が出ている時間は徐々に短くなっている。道路は暗いし、カーブが多い山の方面なので先に怯えながら走る。閑静どころか鬱蒼とすらしている山の麓なので、車通りも人通りも少ないことだけが救いだ(一歩間違えば大変なことが起こりかねないが)。
行きも通った道なのだが、よく知らない道のせいで「あれ……こんな道路だったっけか……」と迷いながら目的地へ進んでいく。ちなみに二度ほど曲がるべきところを曲がらずに直進した結果、本当に知らない、全く見覚えのない住宅街に迷い込む羽目に陥った。元の分岐に戻れたのでいいものの、これがホラー系の世界線ならとっくに異世界に迷い込んで、ゾンビやら女の幽霊やらに追われることになるぞ。気を付けろ。
迷わずに行けば、自宅から二十分程度で辿り着く場所だったのだが、結局着いたのは21時半を過ぎた頃だった。
外で待っていた父親に「道間違えて遅れた」
と言えば、
「そうだと思った」
と笑われた。畜生、詳しいからって。ぐぬぬ
そんなわけで、よく知らない暗い道をビクビクしながら時速40キロで走りましたとさ。二度と当方に送迎を頼まないでくれ。お願いだから。
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