[論文]Turning to ontology in STS? Turning to STS through ‘ontology’. Social studies of science
書誌情報
Van Heur, B., Leydesdorff, L., & Wyatt, S. (2013). Turning to ontology in STS? Turning to STS through ‘ontology’. Social studies of science, 43(3), 341-362.
STS系のジャーナルを探すときによく使うSocial studies of scienceの論文です。STSと科学計量学の組み合わせの論文を探していたところ、見つけた論文です。
著者情報
著者の一人であるLeydesdorffは、先日投稿して現在挫折中の『科学計量学の挑戦: コミュニケーションの自己組織化』を書いたかたです。2023年に亡くなってしまいました。
他の二人は社会学系のかただそうです。
要約
STS界隈で存在論への言及が増えているとう現象(="Ontological turn")という主張を、科学計量学的な定量的手法と社会科学系の定性的手法を組み合わせた論文。定量分析では、科学哲学や科学史を含むSTS系のジャーナルを対象とした。共著・計量書誌学カップリングネットワークではネットワークが確認されなかったが、引用と語を組み合わせたネットワークを作成したところ、哲学系や歴史系に比べSTS系の学者が存在論の中心にいることが示さた。定性分析では、それらの話題が、①構築主義vs実在論②機器と分類法③STSから人文社会科学への存在論への影響の三つからなるとわかった。
ポイント
・定量×定性を謳った論文だが、以下の一文に慄いた。
ネットワークで分析したあと、その論文をすべて読んだらしい。恐ろしすぎる。
・実際に「存在論」への言及はジャーナル全体で8倍になっていた。
・共著ネットワークが形成されなかったのはSTS共同体が疎なことを示している。
・計量書誌学カップリングでネットワークが形成されなかったのはSTSが学際的な分野だから?
・STSグループが哲学や教育系の著者の懸け橋になっている。
・構築主義vs実在論のなかでの対立がプラグマティズム的な感じになって、実在するかつ構築されるという考えになっているっぽい・
・ANTは、歴史や不妊治療などの想定外の文脈でも使われている。科学教育においては存在論における議論を無視して、学習者のConceptual changeの問題にすり替えている。
・STSを経由して、人文社会学に存在論の話題が提供されている。しかし一方で、意味もなくANTの話題を出したり、ANTの現状分析に終始して批判的観点が欠けてしまったりするおそれがある?
気になったこと
・Nを増やしたい
・タイトルではなくアブストを対象にしたい
・学史や科学計量学の説明を流用できそう
・ここまでの定性分析をできる自信がない
・時系列でのネットワークの変化もみたい
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