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NO.9

何回信号を見過ごしただろう
あと、何駅分歩くのだろう
気が付くと最寄り 早いもんだ

手にした缶コーヒーはぬるくなってるし
ファミレスで埋めた胃袋も眠っている
濁りはしない空を見上げて
僕はまた その眼差しに恋をする

熟考しながら歩く家路の中で
帰る場所が同じだったらなって
僕が映画の主演なら
もうちょっと良い事言えたのかも

何回バイバイを言うのだろう
相思はどのくらい募るのだろう
気が付くと2mm   ドキドキしてる

近づけた頬は火照っているし
ポケットに埋めた手も逸れない
乳化しない光を見つけて
僕はまた その身の熟しに恋をする

長考しながら握る指の中で
光り輝く輪をおそろいにって
僕が小説の主人公なら
もうちょっと良い事言えたのかも

積み重ねてきたものが消えてしまっても
幾度となく隣にしてくれた君を
失いたくはない

ぐるぐると廻る腕時計の中で
重なる場所が同じだったらなって
僕が考えた 精一杯のキザな台詞を吐くよ
君の事だから何を言うか分かってると思う
もちろん返事も

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