白いライブハウス


13日土曜日

開演15分前、久しぶりのえんそくを観に柏にあるライブハウスに向かう道のりは途中、雪道に変わった。
吐く息が白くてメガネが真っ白になって視界は悪い、寒い。
これから熱いライブだと言うのに、こんなに雪を浴びたら身体がおかしくなるわと笑っているうちにライブハウスの明かりに着いた。

暖かい。
会場はパンパン。満員御礼だった。
なんとかスペースを見つける。
ふと我にかえると、少し濡れた洋服が直に感じられて寒い。
早く出て来て欲しい。

開演して、大好きな人達を久しぶりに観る。
一気に心が満たされ寒かった事も忘れる。
考えてみれば本当に久しぶりのワンマンに来た。
一発目から立て続けにレアなセットリストが繰り広げられていくので、あまりに新鮮な気持ちになる。
初めてライブを観たあの頃みたいな。

1999年のブルース。
終末感に想いを馳せ皆が手のひらを掲げて歌う、大好きな空間が広がった。
音がゆっくりと鳴り止むと、少しの静かな沈黙が流れる。
感覚が一気に研ぎ澄まされる。
音がなる。
そのギターの音は、ずっと聴きたかった音だった。
白いテレビという私が最も愛している曲だ。

真っ白な大雪に覆われてこのまま君と二人、この世界が終わってしまったら。
なんて幻想的な事を歌う5人と美し過ぎるメロディが相まって、目線の先をまるで真っ白にした。

ふとさっきまでの外の雪を思い出す。
今日は本当に雪が降っていた。
予想外の雪景色と真っ白に輝く5人の絵が頭の中で同時に流されて、映画を観ているような気分になった。
世界に今このライブハウスしか存在していないような気分になった。
視界は白くて扉を開ければ雪景色でも、なぜか身と心は熱かった。
涙も出て止まらなかった。

まるで走馬灯のようにライブが終わる。
外に出ると雪は止んで、寒さが増していた。
汗だか涙だかもうなにか分からないものが全身を流れているせいで、冷たい風を浴びるたび凍えていた。
それも心地よかった。


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