【夏のホラー淫ク☆リレー】 去年・一昨年繋がれたバトン 4日目(ネタバレ注意)
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記事の概要についてはこちらをご覧ください。
・2021年 4日目 勇燐堂兄貴『怪談魑魅袋「幸せをあなたに」』
勇燐堂兄貴の『怪談魑魅袋』シリーズのエピソードの一つです。
話としては一話で完結するように描かれているので、初見の人でも見られるようになっています。
現代怪異製造界隈であるSCP(Secure, Contain, Protectの略らしい)を元ネタにするシリーズとして有名らしいです。
SCPは妖怪や怨霊の類とまた異なった恐怖が描かれるので、ホラー創作の幅を広げるのに一役買っていますね。
登場人物
今回の主役はKMRです。
KMRは最近お金に困っているようです。
彼は最近、クラウドファンディングにハマっているのでした。
彼は世界のどこかで苦しんでいる人達を助けられることに誇りを持っていました。
あらすじ
KMRはあるクラウドファンディングの活動を目にします。
幼い子供の病気を治すものでした。
既に多くの人の支援が集まっていることに感銘を受け、彼はバイトに勤しみます。
支援活動に、先輩や同級生も協力してくれました。
そして、苦労の甲斐あって、目標金額に到達します。
経過報告を兼ねて、支援者には子供のリハビリの様子の映像が送られてきました。
子供は完治したようで、KMRの元には最後のお礼のビデオレターが届きます。
「こんにちは、今日はまゆみちゃんがお礼を言いたいそうです。」
「みなさんありがとうございます。おかげでこんなによくなりました。わたしはとってもしあわせです。」
「ご支援いただいたみなさま、ありがとうございました。おかげさまで私たちの幸せはこんなに笑顔になりました。ビデオレターは今回で最後になります。ほんとうにありがとうございました。」
そして、KMRの元に返礼品が届きます。
手紙も同封されていました。
たぶん閲覧注意です。
KMRは”幸せ”を配られました。
補足
こちらのお話はSCP-1454-JPというSCPに則っています。
そちらの知識に明るくて勘のいい方は途中で気づかれていたようです。
また、作中にはGOを343、神だと言っている群衆がいたと言います。
これはSCP-343というSCPが神の類であることと、”GO is GOD.”と持てはやされていることを踏まえているらしいです。
雑感
淫夢キャラ以外の実写の人を使うのはやはりレインコート兄貴の『怪談金玉袋』を彷彿とさせますね。
テンプレートの顔を使っていると慣れが生じるので、不意に実写の写真を使われるとより怖く感じます。
SCPは正直疎いのでんまあそう、よくわかんなかったです...。
知ってる人とはたぶん持つ感想も異なると思うんすよね。
知ってる人は既知の怪異ですけど、完全初見の身からしたら新鮮な感覚ですよ。未知との遭遇。
SCP淫夢とか巷で人気らしいからまた目を通してみたいものですね。
・2022年 4日目A 水膨張満、茶碗の欠片兄貴『神隠しの噂 -真夏の夜の夢に取り残されて-』
大本命です。
リレー企画どころか、ここ10数年のホラー淫夢・クッキー☆BB劇場、引いてはホラーに限らず全ジャンル含めて、総合的に見てまさに最高傑作と言って差し支えない作品です。
作者は、リレー参戦以前も『もう一度、想いを言葉で届けたいICG姉貴』『現実から逃げ出したいNYN姉貴』などの動画が巷で噂になり期待されていた投稿者、水膨張満、茶碗の欠片兄貴です。
並々ならぬ映像技術、動作や表情の作り込み、音響のこだわり、それだけでなくギャグセンスも突き抜けており、それら全ての要素が淫ク☆界トップの一級品に仕上がっています。
彼を産んだことが淫夢・クッキー☆の偉業の一つと言っていいぐらいです。
ありがたいことにご本人自ら知識・技術を提供されていますが、技術力が高すぎて他の映像が浮くという事態が起こるので畏れ多くてとても手を出せませんね。
そんな彼はそのクオリティは据え置き、むしろレベルアップさせた上でなんと45分もの長編を作り上げました。
一部キメラ語録によるフルボイスとかいう異常な手の込みようです。
字幕の出し方なども面白く工夫されていて、飽きさせない仕掛けが施されまくっています。
また、元々持っていた彼の持ち味であるこういった画作りだけでなく、掛け合いの面白さがK点越えしてます。
ギャグ淫夢BB劇場の巨匠、ぐぇすた兄貴のような見てるだけでも面白いというトムとジェリー的な笑いが淫夢やクッキー☆では主流でしたが、
文面だけのシチュエーションコントでここまでレベルの高い笑いを提供できる人は淫ク☆では珍しい気がします。
funnyの面白さだけでなく、interestingな、文学のような掛け合いの面白さも時折見られます。総合的に文章力めちゃくちゃ高いです。
そして何より、重厚なストーリー性から構築される脚本は続きから目が離せません。
手広いスキルを持ち合わせていながら、それら全てが抜かりなく、トップレベルというまさに二刀流。
今、最も期待されている投稿者と言って差し支えないかと思います。
正直この作品の紹介は個人的に適当に済ませたくないので、また後日この作品一本で記事を書きたいと思っています。
なのであらすじはそこにまとめるとして、今回は印象に残るシーンを演出の観点から取り上げたく存じます。
まあ、動画内のコメントで触れられてることもあったりするし、そもそも何より実際に動画見る方がわかりやすいんですが、何卒お付き合いいただければ幸いです。
どちらかと言うと、既に視聴した人向けな内容になるかもしれません。
まず、動画内で度々出てくるキメラ語録について。
単純に、限られた語録で喋らせるという凄さもあるんですが、単に喋らせているというだけじゃなく、キャラクターごとにある程度イメージを崩しすぎない語録の中から抜粋されてるのが恐ろしいんですよね。
例えば、冒頭にナースのHSI姉貴が出てくるんですけど、女性の語録だけで作られてるんですよね。
淫夢・クッキー☆は男女が玉石混交で、様々な語録がありますが、その中でもそれぞれ、男性,女性に絞っているのが凄いです。
noteの仕様上、この記事内では音声を聞かせられないのが残念です。
そして、シーンの演出について。
実際にカメラで撮影した映像ならば、太陽光は刺しこむままに画の中に映し出されますが、素材のパッチワークで作られるBB劇場は、光の演出をしたかったら光源の位置の把握などした上で全部一から色調補正するなどして演出しなければいけません。
こちらのシーンではHSIの特徴的な形状の垂れ耳に合わせて光量が調節されています。カメラの動きと自然に合ってて、⚠プロの所業としか思えません!⚠
やはり街灯が中心になる話なので、光の演出にこだわっていることが見て取れますね。
また、『もう一度、想いを言葉で届けたいICG姉貴』の時点から見られるのですが、電話越しでの会話のシーンが多いのも茶碗の欠片兄貴の特徴ですね。
音声が本当に電話越しで話しているような音質になっていてクオリティが高いです。
中盤の掛け合いのシーンや、怪異の話の中枢など、まだまだ語り足りないところですが、後日まとめる記事にて詳しく話していけたらと思います。
こちらの作品、淫夢とかクッキー☆とかいった枠を超えて掛け値なしに人に勧められる作品になっているかと思います。
ぜひ、ネット文化に寛容なご友人などには積極的に布教していくべきかと思います。
信奉者みたいになってあれなので次にいきましょう。
・2022年 4日目B ジャク兄貴『Ave Maria Dominus tecum』
2022年の4日目の二本目です。
前衛的なオチが記憶に強く刻み込まれています。
残酷な現実に晒されて絶望していき、宗教に助けを求めるという話です。
その救済は無宗教の我々には異様に映ります。
ちなみに、タイトルはまりなとマリアをかけてる面があるようです。
あらすじ
舞台は戦時中の世界。れうは日々工場での仕事に勤しんでいました。
そこである日出会ったのが、修道女のマリナ・ステラでした。
異教徒のマリナと仲良くしていたれうは悪い噂を立てられます。
当時は異邦人はスパイとして扱われ、殺しの対象でした。
異邦人を憲兵に突き出せば、食糧が与えられるという決まりがありました。
れうはマリナと家族をふるいにかけ、家族の方を取りました。
れうが海辺に連れてきたマリナを憲兵は殺しました。
死ぬ直前、マリナは笑っていました。
しかし肝心の弟は戦火に焼け死んでしまいました。
戦争は、れうの友人と家族を焼き払った空襲を最後に終わりを迎えました。
終戦後、れうは日本の見合い相手と結婚し、子供も生まれます。
二人目の子もこさえて幸せに暮らしていたれう。
しかし、彼女に訃報が届きます。
夫がオリンピックの会場の整備をしている最中、鉄骨に打たれて亡くなってしまいました。
しかし、彼の遺体には明らかに鉄骨によるものではない意図的につけられた二つの十字傷がありました。
程なくしてれうはショックで狂っていきます。
娘を水死させ、
いけにえか何かのためかと思われる小動物を殺め、
そして、夫の遺体と娘の遺体などを伴って、マリナが処刑された海辺にやってきます。
最後には海辺をバックにキリスト教の宗教画が映されながら動画は幕を閉じます。
雑感
難解なテイストでこれはこういう意味なのかな?と推理しながら見るのもまた一興といった作品です。
宗教の狂信者って、怖いですよねぇ。
キリスト教の宗教音楽特有のコーラスって、シチュエーションによってはなんだか言いようのない怖さあるんですよね。
基本的にホラーの怖いBGMって重低音か金切り音が主流かと思うんですけど、コーラスってまたそれらと違った怖さありますよね。
また、設定の分析について。
マリナ・ステラという名前は、海の星の聖母ステラ・マリスが元ネタである可能性が濃いすか?
れうがマリナと海辺で出会ったのにも理由がありそうです。
恥ずかしながらキリスト教に関する教養に疎いため、”影”や”二つの十字架”のモチーフについてわかりかねるところがありました。
そこでこんな記事を見つけました。
読んでないので、踏まえた上で何か語るということはできませんが、なにがしか参考になれば。
まだ考察しきれてない部分があるかと思いますのでまた精進したいものです。
ジョーダン・ピール監督の『us』って映画もだいぶキリスト教に明るくないとわからないところが多くて、多くのブログにお世話になったものです。
次回予告
明日は5日目です。
2021年はHG兄貴の『鬼謀』
2022年はNahl(ナハル)兄貴の『屋上の疼きさん』です。
明日で5日目なのでまだ今のところ三分の一の半分も行ってないようです。
気合入れて頑張っていきたいと思います。
それではまた明日。今日もリレーは廻る。
今年繋がれたバトン
4日目A 蝙蝠の目兄貴「まりなのうんこは黄金の夢を見るか」
4日目B しゃちほこ兄貴『自分勝手』
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