【夏のホラー淫ク☆リレー】 去年・一昨年繋がれたバトン 0日目(ネタバレ注意)
この記事は約13分で読めます。
当記事について
2021年の夏、ニコニコ動画でとある催しが始まりました。
「夏のホラー淫ク☆リレー」(以後、夏リレー)です。がばだんご兄貴とハチミツ兄貴によって主催された、真夏の夜の淫夢・クッキー☆の動画投稿祭の一つで、
8月の31日間ハナからケツ穴まで毎日一本以上のホラー淫夢・ホラークッキー☆の動画が投稿されるどんちゃん騒ぎのイベントです。
今やこの界隈において夏の風物詩と化した企画で、現在の淫夢・クッキー☆を彩る欠かせない要素の一つです。
今年も例外なく開催される運びになり、ユーザーの期待は高まっております。
企画に注目が集まる中、この記事では
「去年・一昨年のこの日にはどんな動画が投稿されていたんだろう?」という疑問を持ったリレー企画新参視聴者の方、
ないしは去年一昨年と視聴してきたものの内容を忘れてしまったという方向けに、
また、筆者の文筆の経験を培うことも兼ねて、その作品紹介また筆者の当時の雑感や補足情報などの陳述を勝手に行っていこうと思います。
とどのつまり、ファストBB劇場といったところでしょうか。
各SNSやコミュニティを拝見していて、淫夢民・クッキー☆民でありながら意外にもこの企画を追っていなかったという人がいる現状がチラチラ確認されたので、そういう人が少しでも興味を持つきっかけになったらこの上なく幸いに思います。
映画レベルの尺の動画もあったりするし追いきれないのも、ま、多少はね?
なのでなるべく最低限の情報は確保しながらも短くまとめようと思います。
動画を視聴する足がかりになればウレシイ…ウレシイ限りです。
ちなみに、もちろん当然のことながら当記事は淫夢・クッキー☆に耐性がない方には推奨されません。ご了承ください。
また、ネタバレにも注意してください。未視聴の方は冒頭の方だけでも読んで興味をそそられたら、なるべくその時点で実際に動画を視聴することをおすすめします。
前置きが長くなりましたがそれではさっそく始めていきたいと思います。
はい、よーいスタート(棒読み)
・2022年 0日目 虎の子兄貴 『イントロダクション』
初日にしていきなり変化球の作品を紹介することになります。
2021年から始まったこの企画、原則8月1日からの31日間が投稿期間という概要でした。
しかし、2年目からは違いました。
8月1日を1日目として、その一日前の7月31日を0日目とし、企画それ自体のプロローグの役割としてこの動画は投稿されました。
2022年の夏リレーはこの0日目の内容を踏まえた上で進むことになります。ただし、原則基本的に0日目の内容を仮に踏まえずに見たとしても、リレー企画通してその作品内だけでも話は終止するようには作られています。
しかし、2022年の夏リレー(ひいては「冬の恋バナ淫ク☆リレー企画'22」)を視聴するに際してやはりこの0日目を踏まえてみた方がより面白くなるのは事実です。
どのような作品構造を取っていたのか、確かめてみましょう。
登場人物
登場人物は主に4人で構成されます。
大学の合唱部のエースで、方々からカリスマ的な人気を誇る遠野。垣間見える裏の顔が恐ろしい。
その彼氏、野獣。遠野にその裏の顔をまざまざと見せられる。
合唱部の部長、UDK。野獣を信頼している。
野獣の親族、RU。遠野のことをよく思っていない様子。
そして、その他の大衆といった具合です。
あらすじ(以降ネタバレ注意)
物語は、不気味な部屋で一人、作業に熱中する遠野の独白から始まります。
視聴者に語りかける遠野はこんなことを言い出します。
「僕は突き詰めた先に何があるのか、見てみたかったんです。」(1:13)
カリスマアーティストとして活躍する遠野にはある信条がありました。
「…一番大事なのは、”共感”です」(8:11)
彼は人それぞれ千差万別ある感性、その全てに訴えかけることができるような創作を目指しているというのです。
そのために彼は、ありとあらゆる人の”考え方”を学び、全ての人の感じたことを追体験しようと努めました。
それは、狂人の思考さえも含めて…。
野獣との花畑でのデートの最中に先ほどの話をしていた遠野は、ライターを持ってきたと言い出します。
遠野は自分に放火予告をしてくるアンチのコメントを見て、放火魔の”考え方”を学ぼうと思い立ったのです。
野獣の説得を聞き入れることもなく、遠野は花畑を焼き払ってしまいます。
野獣の中に、遠野への懐疑心が芽生えます。
野獣は遠野の異常性を周りの人間に打ち明けられずにいたままでした。
その場に居合わせたことで共犯を疑われるのではないかという不安もあったが何より、あれが本当に遠野だったのか信じられずにいました。
しかしその後も遠野の裏の顔を見せられ続け、疑念が確信に変わった野獣は周りの人にそれを打ち明けることにしました。
しかし、周りの人たちは「遠野に限ってそんなことをするはずがない」と全く取り合ってくれません。
探偵事務所やマフィアなど、思い当たる人脈全てに助けを求めるも既に皆遠野に魅入っており、野獣を相手にしません。
そんな中、UDKだけは野獣を信頼しました。
遠野の異常性を暴こうと画策します。
ある日、UDKは合唱部の部員で飲み会をすることになります。
当然遠野も居合わせています。
しかし、酔いつぶれたUDKは遠野と二人きりになります。
そして酔いつぶれて書けない、という遠野は歌詞の代筆をUDKに頼みます。(とても重要なシーンです。)
その歌詞の内容をUDKは、まるで遠野が死のうとしているみたいだと捉えました。
遠野は、創作に夢中になるあまり罪を重ねたことによる罪悪感に耐えきれなくなったから命を投げ出すことにした、と打ち明けます。
そんな遠野を部長としてUDKは励ますが、それは罠でした…。
遠野は、人が線路に飛び込んで死ぬ時の光景を目に焼き付けるとともに、自分の異常性に気づいた人物を抹消すべく、また、野獣を追い詰めるため、UDKを突き落としました。
UDKは、書き残した”遺書”が状況証拠となり、自殺として処理されてしまいました。
遠野は、友人が目の前で亡くなったショックで精神を患ったということで片付けられました。
しかし、野獣だけは、遠野がUDKを殺したことを知っています。
激昂して野獣は遠野に殴りかかる。
それは傍から見れば、野獣は精神を追い詰められた被害者に暴行を加える異常者そのものとして映りました。
遠野を嫌っていたRUさえ青く染まってしまい、野獣はとうとう遠野に追い詰められます。
なんとしても遠野から逃げ延びて、悪事を告発しようとする野獣。
遠野は殺しのプロではないから逃げ切れるだろうと高をくくる野獣だったが、遠野は過去も同じような経験を経ていたことをほのめかします。
「みんなどこかに行っちゃって、結局お別れしたんです。どういうことか、わかりますよね」(31:46)
独りぼっちで逃げ惑う野獣。この世界に誰一人味方はいません。
そして野獣は遠野の罠にかかり、あえなく殺されてしまいます。
まだまだ刺激が足りない様子の遠野。
彼は新たな刺激を希求して歩み始めます。
彼は扉の前に立ちました。
その先には別の世界線が広がっていました。
彼は、ありとあらゆる体験を経験するために様々な世界線を旅することを決めました。
そうです、この遠野は様々な作り手(動画投稿者)によって作られた世界をこれから一挙に渡り歩くのです。
彼は今後も夏リレー'22にて、度々登場してくることになります。
補足
あらすじに入れ込めなかった部分をここに書いていこうと思います。
・監視カメラのトリック
作中、遠野は完全犯罪を遂行しますが、監視カメラなどはなかったのでしょうか?
しかし、それについてはしっかりと伏線が張られていました。
冒頭で、花畑のデートの日に利用した駅の監視カメラが壊れているという会話を耳にしていました。駅名は”縦割山”。
そして、遠野がUDKを連れ込んだ駅がまさに縦割山。
犯行現場の状況が割れないようになってたんですねぇ。
監視カメラくんは何も見ていなかった…!
やっぱり壊れてるじゃないか…(呆れ)
・遺書
しかし、二人きりの状況となると遠野が突き落とした可能性も疑われかねない。そのために遠野は第二の手を仕込んでおいたのです。
彼が歌の歌詞だと言ってUDKに書かせた文章の内容は、UDKの境遇と当てはめるとUDKの遺書と捉えられる、というかむしろ傍から見たらそうとしか捉えられないような内容でした。
その詞の全文はこうです。
「♪小さい頃から歌ばかり 歌って毎日過ごしてた 大人になっても楽しくて ずっと歌ってばかりいた なのにあいつが現れて 私は楽しめなくなった 歌は辛くて苦しくて いつまで経っても報われない さようなら 今までありがとう」(24:30~)
本人は気にしていないようですが、UDKは部長という役柄に見合わない、と言うよりは遠野があまりにも慕われているためにかなりきつい陰口を叩かれていました。
その状況から、周りからすればUDKが遠野によって肩身の狭い思いをしているのではないかというような共通認識があったように見られます。
それが、”遺書”の「なのにあいつが現れて 私は楽しめなくなった」という部分とまさに合致しており、誰もUDKの自殺を疑いませんでした。
また何より、筆跡を確認する時にUDKが書いたものだと認識させるために代筆させたことが完全犯罪のトリックの起点になります。
このシーンはミステリーの仕組みとして非常に秀逸だと僕は考えています。
その場に居合わせない、また証拠映像も残っていないという状況で推理を行う際、人は物的証拠からその動向を推理する他ありません。現場の手がかりや証言などから点と点を線で繋げていき、合理的だと判断される真実を炙り出していく。
そのため、そこに意志や意図が廃されることがある。
UDKは遺書のつもりで書いた意志や意図は全くなかったが、遠野が仕込んだ状況証拠から、「UDKが遺書を書いた」という結論が導かれるようにレールが敷かれていたのです。(鉄道事故だけに)
初めてこのトリックを見た時は度肝を抜かれました。
雑感
2022年の夏のホラー淫ク☆リレーの先陣を切ったこの作品の作者虎の子兄貴は、野獣先輩とUDK姉貴からなるカップリング、ヤジュUDの権化として有名で代表作に『戦国時代にタイムスリップした先輩』が挙げられます。
このカップリングを流行らせようという執念は凄まじく、ヤジュUDの要素が少しでも介入するとコメントに虎の子兄貴の枕営業を疑われる始末。
そんな彼が手掛けた今作は、ストーリーと企画の都合上、真夏の夜の淫夢の第4章のカップリングで描かれました。
虎の子兄貴は、ヤジュUDを書けないことに苦汁を舐めながら本作を完成させたようですが、その苦労の甲斐あってこの企画は大成功を収めることになりました。
遠野というキャラクターのミステリアスな雰囲気がとてもマッチングしていて、非常に魅力的でした。
この「登場人物の共有」という試みが非常に異質でとても面白い企画が始まったものだな、と当時の興奮は忘れられません。
これから彼は様々な世界での経験を通じて、曲を研鑽させていきます。
彼の創作の行方は一体どうなるのでしょうか。
毎回違う世界で、違うジャンルの怪談が展開されるので、是非最後までご覧ください。
次回予告
次回からは2021年の夏リレーも登場します。
2021年の夏リレーの動画は企画者のがばだんご兄貴のアカウントにマイリストが作られています。
それを見れば簡単に見つけられます。
しかし、個人のアカウントで投稿していたために、動画を削除したり非公開設定にした投稿者兄貴の動画が見られなくなっているという事態が起きています。
6日目のBC5508兄貴『初めて妊娠したNYN姉貴』、14日目のコーヒー兄貴の『未来を守る先輩』が該当します。
その点は悪しからず…。前者に関しては有志による再投稿が実現しておりますが、後者に関しては見つかり次第といった状況です…。
ともかく、次回は1日目、2021年は第七位相兄貴の『墓暴き』、
2022年はマダオ兄貴の『ラーのかがみ』とがばだんご兄貴の『着信アリ☆』です。
取り扱う作品数が多くなっていくのでなるべく文字数を抑えたいところです。筆者の負担的にもね…。なるべく毎日投稿できれば理想ですが大学の課題などとの折り合いを考えるときついかもしれない。
無理をしないといけない(自戒)
今年繋がれたバトン
0日目 Nahl兄貴『灯す眼』
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?