ガンバ大阪2024シーズン終了後 選手評など
こんにちは。餅島です。
普段はXで細々とガンバ大阪について話しています。
今回はシーズン終了に際して、開幕前に書いたnoteのシーズン終了版的な感じで書こうと思います。
こちらが開幕前バージョンのリンクです。
今季の戦いを通して評価が大きく変わった選手などもいるので、気になる選手の部分を読み比べてみても面白いかもしれないです。
今回はシーズン終了時のメンバーを想定して、何人かを起用の多かったポジションに修正。夏放出組は省かせてもらいました。
出場時間などのデータはsoccer D.B.(https://soccer-db.net)参照。測定ブレの関係か記載のなかったアシストだけFotMobから参照しました。
前回を超えるかなりの大ボリュームなので、気長に読んでもらえたら嬉しいです。
GK
今季は鳴物入りでマリノスから帰還した一森が攻守の両面で圧巻のパフォーマンスでした。
来季に向けては、一森の契約をしっかり確保しつつ、東口の去就や張のレンタルなども考慮して2番手3番手のバランスを整えたいですね。現在の人員から出入りがあれば、控えとして中堅/ベテランのレンタル獲得なんかもあるかもしれないです。
1東口順昭
1986年5月12日 184cm/78kg
リーグ戦出場なし
ガンバで10年近くトップレベルの活躍を見せたレジェンドも今季は度重なる負傷により出場は天皇杯福島戦の1試合のみ。できることなら開幕からフルパフォーマンスでの一森とのレギュラー争いを見たかったです。
本人の能力と出場機会(+給与)を考えた時に去就問題が取り沙汰されますが、ファンとしては残留してレギュラー再奪取を狙うも、2ndとしてチームを支えるも、移籍して新たに正守護神として活躍するのも、全ての道を応援したいと思います。大功労者です。
【追記】
延長オファーの報道あり。去就は本人の意向に任せられそうです。
22一森純
1991年7月2日182cm/77kg
リーグ戦38試合全出場 3420分フルタイム!
年間優秀選手👑
今季のMVP級の1人でしょう。
U-23出場時代から長年ファンの中で東口と比較しても待望論が出るほどには特長を持つGKでしたが、昨季マリノスへのレンタルで松永GKコーチの元で完全に覚醒。レンタルバックとは思えぬ実質的な目玉補強として圧巻のリーグ戦フルタイム出場です。特に開幕付近の東口石川離脱を考えると本当によくやってくれました。
技術面/精神面共に強みがある選手ですが個人的に最も評価しているのは知識と熱意を両立した周囲への発信力です。(開幕前のnoteで私は一森のプレーは論理より度胸と評してしまいましたが、撤回します。一つ一つの振る舞い全てが上質でした。)
一森はその資質を活かしてGK位置から狭い、低いなどズレがあるCB/CDMに対して正しい立ち位置をコーチングして前進のリーダーとして振る舞うことができます。中盤でネタラヴィなんかはこれを常にやっているイメージですが、これを配球面で穴になりがちなGKでできるというのはリーグ平均のレベルから見ても反則級で今季ガンバのサッカーが向上した一因だと思います。
また、押し込んだ後にハイラインを維持するためのポジショニング/守備範囲も素晴らしいです。現地で相手の裏へのパスが出てきそうなタイミングの一森に注目すると感動します。危機察知してからの出足の早さ、そして的確に足や頭でクリアする姿は現代型のGKの鑑です。
セーブ面でも土壇場で勝ち点をもぎ取るようなセービングもありましたし、緩んだDF陣に喝を入れる姿はチームリーダーとしての資質を感じます。一森レベルなら今更感もありますが、来季は副キャプテンとかも見たいですね。
完全な1対1などで圧倒的不利な状況でやる思い切ったポジショニングによる駆け引き好きです。それで結構止めちゃうのが凄い。
25石川慧
1992年9月30日 185cm/83kg
リーグ戦出場なし
東口離脱中は2ndGKとして多くベンチ入りも出場は親善試合のソシエダ戦のみ。
開幕前のnoteでも書いたようにサブにどしっと構えてくれる選手は正守護神が安定してプレーするためにも必要だと思っているので、個人的に石川の評価は高いです。
東口や張の移籍/レンタルを考えると3番手でも頑張ってくれて2番手でも不安じゃない存在として石川には長くいて欲しいですね。
【追記】
甲府への移籍報道。ガンバでしっかりやってきたことが評価された結果だと思います。実現したら頑張って欲しいです。
31 張奥林
2005年4月25日 194cm/80kg
リーグ戦出場なし
出場は0試合も開幕付近の東口石川離脱で8試合でベンチ入り。開幕戦のベンチを二種登録のステイマンに譲るなど悔しさもありました。
また、2歳下から年代別代表常連である荒木のプロ契約が早くも発表されるなど下からの押し上げもある中で来季はどうなるでしょうか。3番手固定くらいならJ3レンタルから始めても良い気はしますが。
DF
CB
開幕は中谷三浦のコンビでスタート。三浦の離脱後は福岡がLCBで定着。
夏市場で坂を放出も補強はなく、シーズン終了まで中谷福岡がフル回転でなんとか耐久。
来季に向けては三浦の回復具合を見つつ、枚数の確保はマスト。理想は欧州から三浦福岡以上の格を狙いたい。
2 福岡将太
1995年10月24日 180cm/73kg
リーグ戦36試合 2903分出場
2ゴール1アシスト
個人的影のMVPです。
開幕直後は中谷三浦にレギュラーを譲りCB/SBのUTサブ扱いも三浦離脱後からはフル回転。終わってみれば全コンペでの出場時間は宇佐美やダワンを凌ぐチーム内5位の素晴らしい活躍でした。(一森、中谷、黒川、徳真、福岡、ダワン、宇佐美)
守備面でやや過小評価されがちな選手ですが、こまめに仲間と連携して守る意識が高く、今季に関しては相方として中谷が固定されたこともあり守備で穴を開ける場面は少なかった印象です。課題視されがちだったパワー面も明らかに押し込まれる場面は少なく、よくやっていたと思います。
元々定評のある技術/理論を伴った配球のクオリティは今季も安定で、時に暴れすぎる場面こそあれど基本的には局面に応じて必要なアクションを理解している選手だと思います。特に保持で右から左に振れた場面で左大外黒川/ウェルトンの裏や足元にスピード感を持ってクリーンに配球できることは一つ攻撃のポイントになっていると思います。(賛否ありますが福岡の左足はよくやっていると思います。)(それはそれとして左利きCBは欲しい。)
そうした分かりやすい力がある一方で、クロス対応で簡単に飛ばせてしまったり、持ち上がりのスピードが上がりすぎたり、不用意な縦パスなど時に試合を決めてしまいかねない注意力の甘さが表立ってMVP!と言い切れない部分かもしれません。
しかし、それでもCB3枚体制となった夏以降をフル回転しなんとか耐え抜いたことはもっともっと評価されるべきだと思いますし、今季の出来ならJ1上位のレギュラーとして決して見劣りしない選手だと思っています。個人的にはワンチャン年間優秀選手すらあると思ってました。
5三浦弦太
1995年3月1日 183cm/77kg
リーグ戦9試合 809分出場
1ゴール0アシスト
中谷加入により生まれたレギュラー争いもしっかり制して、開幕スタメンを勝ち取るも9試合目に右膝の大怪我で離脱。影響力を出せる中谷とのコンビでCBとしてまた一段階上がろうとしていた矢先のショッキングな出来事でした。
プレーの中身で言うとやはり肉体的な強みが魅力。序盤のH新潟戦ではポヤトス仕込みのハイプレスから中谷三浦の壁で無限に回収し続ける強いCBありきの戦術を成立させるなど守備者としてのレベルの高さを感じました。
その長所の一方で保持での課題も分かりやすく、開幕A町田戦では高いレベルのエアバトルを演じつつも速攻を気にしてかCB間を有効に広げられず、それによりむしろ狙われる場面もしばしば。(一森に列上げでサポートしてもらう始末。)
肉体的に強みを持つ選手の長期離脱ということでパフォーマンス低下など心配な面も強いですが、むしろ筋トレで大きくなっている説もありますし、万全で戻ってこられたら貴重なパワー系DFとして心強い選手であることは間違い無いと思います。
離脱中に見た目がどんどんワイルドになっているのがツボです。明るいキャラクター性含めて中継に映るたびに楽しませてくれます。
20 中谷進之介
1996年3月24日 182cm/77kg
リーグ戦38試合全出場 3420分フルタイム!
4ゴール0アシスト
年間優秀選手👑ベストイレブン👑
今季の個人的MVPです!MVP過ぎます!
Jリーグで唯一の【フィールドプレーヤーでのフルタイム出場】の大偉人。CBとして最高水準のプレーを続けながら、リーダーとしてDFラインの質を底上げ、更に土壇場で発揮されるストライカーばりのクラッチ力はまさしくチームを勝たせる選手だと思います。
純粋な肉体的強みに加え、DFとして(FWとしても)重要なスペースを察知するのが速く、先回して要所を抑える力が素晴らしいです。
また、バフ効果とすら言われる相方のCBへの影響力も凄まじく、組む選手全員のパフォーマンスを大きく向上させてくれます。的確なコーチングや抜かれても中谷がカバーしてくれるという信頼でアグレッシブに行ける結果なのでしょうか。中谷と組めばカラーコーン置いておくだけでもそれなりに守れるんじゃないかと思ってしまうほどの安心感でした。個で優れたDFはいくらかいたとしても、ここまで周囲に影響を与えて底上げできる選手はリーグ見渡しても中々いなかったと思います。それでいてフルタイム出場なのだから反則級です。
獲得時三浦と同系統とされ不安視されていた保持面も賛否はありますが、個人的には及第点だと思います。前進/保持のリーダーと呼ぶにはプレーキャンセルやリポジの面で意地悪さが足りない気もしますが、全体的に周囲と繋がったり深さを取ったりという意識は高く、特にヘソに入る選手に角度確保して繋げられる点は好印象です。
柏、名古屋でJリーグ屈指のCBとして順調なキャリアを積んできた中谷の初ベストイレブン獲得≒キャリアハイがガンバというのはなんだかアツいですね。
本当に昨季の惨状によく来てくれました。もし中谷がいなかったらと思うとゾッとします。
24江川湧清
2000年10月24日 175cm/67kg
リーグ戦3試合 92分出場
0ゴール0アシスト
ポヤトスの信頼を得られていないのか、夏場の火の車DFラインでもイマイチ出場機会増加とはいかず。松田浩先生のお墨付きもあり個人的にはまだ期待したい選手ではあるのですが、同じLSB/LCBの枠に千葉佐々木の報道もあり、厳しい争いが予想される現状です。
ゾーンディフェンスの鬼と評されるように個でなく組織で守ってなんぼの選手だと思うので、チーム全体に組織で守る意識が高まった時に真価を発揮するルートに期待してます。
個人的に今季江川の多くない出番が首位決戦のH町田戦や天皇杯準決勝延長だったりと、とんでもない場面に集中しているのがツボです。よく喰らい付いてたと思います。
SB
昨季からリーグ屈指であった黒川半田は今季も健在。前線の組み換えによりタスクに微妙な変化があったもののシーズン進むにつれアジャスト。
左は黒川がほぼ1人でフル回転。右は半田の離脱や序盤のアジャスト期間には福岡/松田/岸本でプレータイムを分担。
来季に向けては黒川半田を安心して休められるサブが欲しいところです。半田移籍の場合はハイスペLCB補強で福岡を回すか、RSBでレギュラー格を1枚確保したいです。
3半田陸
2002年1月1日 176cm/70kg
リーグ戦24試合 1887分出場
1ゴール1アシスト
今季は序盤戦の不調、夏には五輪召集中の負傷で既定路線とされていた海外移籍も立ち消えたものの、復帰後は復調を見せるといった波瀾万丈な印象でした。
前提として半田は単独で守り切れる守備力など基本スペックの優れたSBで不在時にチームが絶不調に陥るほどの貢献度が非常に高い選手である一方で、今季の半田は保持の微妙なタスク変化に想定以上に苦しんだと思います。
昨季半田に与えられた役割はシャドー化するRWGアラーノの後を受けての大外上下動が主でしたが、今季開幕時は大外に張るRWG岸本の後方サポート/中盤化の役割を任せられており、昨季よりも気の効くプレーを求められました。
元々人とボールが動くムービング傾向の強いとされるクラモフ山形で育っておりボールコントロールを苦にする印象はありませんでしたが、静的に立ち位置を取り相手を動かすポジショナル系統は未履修なこともあり、人と繋がる角度や距離感の部分で序盤は苦戦が見られました。
そこから松田との併用や五輪招集で負傷離脱などを挟みましたが、個人的に今季の半田で最も評価したいのが復帰してからの適応力です。
離脱中にも色々吸収したんだろうなと感じさせるプレーの向上で、後方と前線を繋ぐ中盤での立ち位置が飛躍的に安定していました。一因としてRWGが山下になり右サイドの崩しがムービング寄りになったこともあるでしょうが、序盤は不慣れで徳真や岸本にサポートされる側だった半田が復帰後は奔放に動く山下をすっかりサポートする側に回っている感動は凄かったです。
まだまだ暴走して逆サイドのサポートまで行ってしまうとんでもない場面などもありますが、既に代表級の選手がここに来てまだ成長する姿を見せてくれるのかという成長が個人的にはスポーツ観戦者冥利に尽きる喜びを感じて素直にファンになってしまいました。
守備面においても圧倒的な身体能力を発揮する一方で裏ケアや対人姿勢にまだ伸び代を感じる選手ではありますが、今季の成長曲線を見ていると今後もどんどん吸収して良い選手になるのだろうなと思わせてくれます。
スーパーだった昨季から一転少し弱みを見せてくれた分沼りました。できることなら保持や非保持の課題をクリアしてパーフェクトSBになってから海外行ってほしいです。
4黒川圭介
1997年4月13日 173cm/70kg
リーグ戦38試合 3318分出場
0ゴール3アシスト
福岡と並んで個人的影のMVPですね〜。
ウェルトン加入で大外のレーンを分担するようになったため、大外で無双していた昨季ほどのインパクトはなかったものの希少性の高いLSBでここまで上質かつタフに働ける選手はもっともっと評価されるべきだと思います。年齢やリーグなどで代表招集の文脈に乗れていないだけで、いつ招集されても驚きはないレベルでプレーしていると思います。
SBでありながら大外レーンに常駐しても優位を取れる攻撃力を持ちつつ、今季は後方サポート/加勢タスクも安定的にこなして保持局面で出来ないことはほぼないSBだと思います。
強いて言えばウェルトンと組む際にもっと思い切って内側に立つと中盤のパーツとして機能しつつ、ペナ角クロス/ミドルシュートなどで目に見える得点関与が増えるのかなと思います。本人のスペックからしてもそうした戦術的負荷の高い役割をもっと積極的に担わせても良いんじゃないかと考えてしまう程に良い選手だと思います。
攻撃面と比較して弱いとされがちな守備も武藤やクルークスレベルのWGに押される場面はあれど、中谷効果もありクレバーな判断が増えて今季はディフェンスでも唸らされる場面も多かったです。
福岡/徳真/岸本などの徳島でポヤトスの薫陶を受けた選手をポヤチルと言われることがありますが、仮に今のガンバからポヤチルを挙げるとすれば坂本と黒川だと思います。
正直半田と同じかそれ以上に海外でも需要がありそうですが、どうでしょうか。ポジションの希少性的にも抜かれると半田以上に穴埋めは困難だと思っています。
33 中野伸哉
2003年8月17日 173cm/64kg
リーグ戦12試合 226分
0ゴール0アシスト
今季は主にLSB/LWGとして起用され出場した試合自体は悪くなくサブ組の中では信用できる方ではあったと思うのですが、LSBは黒川が盤石、WG/UTのサブとしては岸本/福田/倉田/江川などとの争いでベンチの当落線上に落ち着いてしまいました。
キャンプでも話題となったエリア侵入の鋭さやまだ手札は少ないものの正対して押し込む素振りを見せるなど個人的にはWGとしての方が好印象でした。
外様で転売前提っぽいコメントが出ていたせいかサポーターの熱量も若干冷め気味な気がしてしまいますが、冷静に今年の大学3年相当の年齢と考えればまだまだ有望株として扱えるのではないでしょうか。16歳でデビューした分、今は高く飛び上がるための助走期間なのかもしれないです。
アヤックス練習に坂本と共に参加するなどガンバ側もある程度期待しているでしょうし、ひとまずは大外WGとして機能しつつLSBでもイニングを食える左の岸本のような存在になれれば楽しそうです。
46松田陸
1991年7月24日 171cm/69kg
リーグ戦13試合 649分出場
0ゴール0アシスト
期待値から考えるとベテランの円熟味を出しつつかなりやってくれたと思いますが、半田離脱時にはその穴を埋めるには至らず同ポジで岸本と共に中々苦しんでいた印象でした。
想定よりも保持局面での貢献が良く、細かく位置や列を調整してWGまでボールを循環させた後に加勢するまでのスムーズさは半田以上だったと思います。ここの調整力を個人的にはかなり評価していて、序盤の半田不調時にはスタメン松田を推していた程には好印象でした。
そういったクレバーなプレーを見せる一方で、加勢してからのクロス精度や守備での準備力/タフさといった加入時に期待していた部分の調子が中々出て来ず、SBとしてイマイチ信用を勝ち取りきれなかった印象でした。
細かな離脱もあり難しいシーズンだったと思いますが、松田がもう少し稼働できれば岸本をRWGに回すなどの戦略的余裕も出来たと思うので一度惚れた分もう一歩が欲しかったなと思ってしまいますね。
MF
CDM/CM
基本軸は徳真ダワン。ネタラヴィや終盤にかけて適応した美藤といったサブも十分に機能。
とはいえネタラヴィ離脱時かつ美藤適応まではブラックな環境と化しており、来季は保険としてUT系で他ポジも兼ねた5枚目を獲得したい。
6ネタラヴィ🇮🇱
1996年8月25日 177cm/76kg
リーグ戦21試合 779分出場
0ゴール0アシスト
今季は細かな離脱もあり守備面で高い仕上がりを見せた徳真ダワンに後塵を拝したものの、出場した試合ではやはり格の違いを見せていたと思います。
前進/保持面での貢献がとにかく異次元で、どこで何をすれば相手組織を破壊できるかを理解した上で優れた技術と肉体でそれを実行し続けるマシーンのような選手だと思っています。正対/カラコーレス/正しいインサイドキックなど中盤の選手に必要な個人戦術を高いレベルで有しており、遥か上のレベルから遊んでいるような凄みを感じます。そういった点で途中出場から試合展開ごと引き寄せる役割を担う試合もあったり、中々乗り切れないシーズンの中でも存在感の大きさはあった思います。
そんな能力を持ちながら今季絶対的な存在になりきらなかった要因はいくつか考察できますが、個人的には「守備判断のギャップ」と「全体の構成」だと考えています。
前者は微細な問題ではあると思うのですが、警戒力高く最終ライン含めて穴埋めし続けられる徳真ダワンのコンビに比べると、ネタラヴィの守備は読みを活かした前へのベクトルが強く、時に塩漬けで要所を抑える戦い方を選んできた今季のガンバでは少しギャップがあったのかなと思います。(一応補足しておくとネタラヴィ自体の守備力は平均程度かそれ以上にあると思います。ただ、今季に関しては徳真ダワンが素晴らしかった。)
後者は裏に強いCF不在の影響があったと思います。得点を逆算してチームを設計する上で裏/ライン間/手前などの各スペースを誰が使うのかという構成が必要であり、今季は開幕からの好調でエースに返り咲いた宇佐美を活かす構成で戦ってきました。私目線宇佐美が最も活きるエリアはライン間ですが、常駐するタイプではなく試合を通して手前や裏で感覚を模索しつつ瞬間的に天才を発揮するタイプだと思っています。そして、その相方として坂本が飛躍したように、今季のチームビルド上では必然的に宇佐美に合わせて動ける選手の需要が高く結果として中盤を守りつつゴール前に出ていけるダワンや時折ライン間を取りに行ける徳真の方が汎用性に優れ、手前のスペースに常駐してこそ活きるネタラヴィが使いづらい状況になったのだと思います。(主に手前を担当した徳真が凄かったのもある。)
試そうと思えば本格的な宇佐美のエリア制限やラヴィのライン間、半田/黒川の上下動などを試行してバランスを探ることも出来たと思いますが、今季に関しては宇佐美システムが早々にハマり、それをするほど行き詰まっていなかったこともまた一つ大きかったと思います。
とはいえガンバがこれより上に行くために、理解度高く飛び抜けた質を持つネタラヴィを活かさない手はないと思っているので、来季は是非とも良いバランスを見つけて主軸で1年間見たいですね。
得点/アシスト数で貢献を測れないタイプにも関わらず、ガンバサポの心をガッツリ掴んでいることがネタラヴィの凄さを物語っていると思います。今季買ったラヴィユニは私のお気に入りです。
16鈴木徳真
1997年3月12日 168cm/64kg
リーグ戦37試合 3035分出場
0ゴール2アシスト
Jの年間優秀選手に選ばれていないのはおかしい!!!今季のMVP候補の1人です!
タフにシーズン通してガンバの心臓として働き、いないと一気に崩れる選手としてどの試合を見ても常に出場していたような印象です。ネタラヴィとの競争に勝つ時点でやばいです。
こまめに立ち位置を取り続け、引きつけてはリリース。崩れた陣形を重心の低いカラコーレスを挟んで整え、逆サイドに展開などと基本的なことを的確に行う中盤の選手の教科書のような選手だと思います。
ヘソに立つ精度も良く、終盤には徳真がヘソに立ち、そこで受けるor 相手の1stDFを閉めさせたスペースでCBがキャリーで前進。サイドで限定されると中央の徳真を経由してサイドを変える徳真アンカーシステムが機能の兆しを見せており、来季の戦い方の伏線が張られているようにも思えました。
守備面においてもダワンと並んで警戒心を常に持って危険なスペースを埋める意識が高く、低くブロックを組んだ際には相当な堅さがありました。また、小柄ながら五分五分のボールに対して落下地点に入るスピードが非常に速く、五分五分のボールを競り合いにすらしない上手さがあります。
そういった読みの質により平時の守備の基準は高いレベルにあるものの、前進段階でのエラーなどで生じる不利なネガトラを覆すほどの理不尽ディフェンスがあるタイプではなく、その点においても相方にダワンを置けたり、そもそもそういった状況が少ない今季のガンバの完成度は徳真にとっても追い風の環境だったのかもしれないですね。(その完成度自体が徳真に支えられたものでもありますが。)
基本的に徳真が起こすアクションに間違いはないと思っているので、来季は周囲への影響をもっともっと出してやりたい放題やっちゃってほしいです。
23 ダワン🇧🇷
1996年6月3日 177cm/69kg
リーグ戦37試合 2653分
3ゴール1アシスト
強い骨格となった今季加入組にどこか隠れがちですが、彼もまたMVP候補の1人だと思います。ダワンはもっと評価されるべきです。
前進時は徳真の補佐としてこまめに立ち位置を取りつつ、押し込んでからは右の崩しやエリア突撃で前線に足りない厚みを加える役を務め、ネガトラやブロックを組んだ際にも優れた読みとフィジカルで穴を開けないという膨大なタスクを高いレベルでこなしていたのが今季のダワンです。
個人的に評価したいのが運動量を活かしてチームの強度や攻撃力を底上げしながら、繊細さを求められる前進/保持局面でもしっかり貢献できる部分です。どちらか一本に優れた選手はそれなりにいるものの、動くことと止まることの両方を兼ね備えた選手は中々いなかったと思います。
ただ、今季はアンカー補佐側の役割が多かったせいか、美藤と組んだ時にアンカー側をやってほしいのに一緒に出て行ってしまう場面はありました。昨季ちょいちょいやってた感じやろうと思えばできそうなのですが。
そうした役割をどんどんと吸収する力もダワンの強みの一つだと思います。来日当初は動き回りつつヘディングやミドルをぶち込むロマン型MFの印象だったのですが、片野坂/松田/ポヤトスと経ていく中でそうしたロマンも残しつつ守備や振る舞いに洗練された現代型MFに進化した印象です。今後は半田移籍でRSB補強やばくなったら大穴でRSBダワンあると思います。カイセドみたいな感じで出来るでしょ。
来季で4年目ですが、どういった契約状況なのか気になりますね。とにかく万能でどんなチームにも需要があるタイプだと思うので、なるべく見つからないうちに囲い込んじゃって欲しいです。
27美藤倫
2002年2月12日 180cm/67kg
リーグ戦12試合 302分出場
0ゴール0アシスト
リーグデビュー戦は交代数分で一発レッドと衝撃的なもので一時期は不遇キャラの未来もよぎりましたが、夏場以降は目覚ましい成長を見せて終盤には足りないパワーを補う1枚として途中出場やスタメン起用の数を増やしました。
大きな身体を活かしたダイナミックな守備や思い切りの良いフリーランが魅力的で、独力でゴリっと行くプレースタイルはここ数年のガンバになかったパワーの風を感じさせてくれました。
テクニック面でも不足はなく、ネタラヴィを彷彿とさせる懐深いボールの持ち方でプレス回避やライン間でのプレーも苦にしない印象です。A磐田戦の4点目演出は運んで引きつけてパスの流れで速攻を完結させる理解度の高さも感じました。
その一方で良くも悪くもノリでプレーする空気感があり、それが展開を動かすような流動的なランニングや理不尽なまでのネガトラ強度に繋がっている感じもありつつ、長い時間低い位置で前進に関与させるにはやや怖い印象も出てくるのかなと思います。
そのため個人的には徳真やネタラヴィといったアンカー適性の高いお兄さんたちと組ませるべきと思っているのですが、終盤のスタメン時はダワンと組むことが多く2人して飛び出していく場面なんかは中々ハラハラさせられました。ポヤトスなりの成長戦略なのでしょうか。
ファッションなどピッチ外の振る舞いはチャラい雰囲気だけど、ピッチ上ではファイターなのが個人的萌えポイントですね。イヤイヤ感出しつつ倉田を慕って筋トレしているのも萌えます。
CAM
主にCF宇佐美の補完としてライン間待機/裏抜け/アンカー番といった役割を坂本と山田で分担。決戦仕様としてジェバリとの併用で宇佐美がここに入る場合も。
山田に伸び代を感じる部分はありつつも、概ね満足。坂本の移籍がなければ補強の優先度も低め。
9山田康太
1999年7月10日 175cm/68kg
リーグ戦23試合 1408分出場
4ゴール1アシスト
細かな離脱はあったものの、万全時は貢献度高くほぼ全ての試合に関わっていた印象。
基本的に質より量的なプレー選択が多いものの、量の基準が非常に高くチーム全体の基準を底上げするような存在感がありました。終盤にかけては前進や最終局面に関わる質も徐々に向上して、この路線で行ければ来季は更に得点関与を増やせそうな予感もありました。
対応するプレーエリアは広く、基本はライン間でのターンが強みではあるものの、前進時IH化して攻撃を加速させたり、保持で宇佐美と被った際には裏抜けも厭わない柔軟さがあります。
守備面での貢献も高く、山田がいるだけで前線の運動量はある程度担保される面から宇佐美やジェバリとも組ませやすい汎用性があったと思います。また、宇佐美不在時などに採用されるCF坂本CAM山田で行われるカチカチ2トップ守備はある種の決戦仕様として機能し得る信頼感がありました。
その一方で良くも悪くも攻守で動きすぎるきらいがあり、無理なハイプレス発動や直線的なプレス、前線の枚数を不足させる不要な降り、トランディションを発生させるライン間での不利なターン、エリア内の美味しいスペースへのがっつきなど間違ってはいないもののとにかく惜しい判断が多かったと思います。
とはいえハイプレス始動役としての強度やライン間でのターンの鋭さ、美味しいエリアを見つける能力といった後天的に身につけることが難しい能力を既に有していることは明白であり、今後のチューニング次第では超強度/超精度のハイクオリティ選手になり得るポテンシャルを秘めている選手だと思います。
惜しいシーンが多い選手な分良い動きで点を取った時に他の選手よりも強く嬉しくなっちゃいますね。A瓦斯戦のバイタルからのシュート、A新潟戦のヘディング最高でした。
13坂本一彩
2003年8月26日 173cm/66kg
リーグ戦37試合 2352分出場
10ゴール1アシスト
好き好き大好きな選手です!開幕前にブレイクの予感ムンムンとは書きましたが、ここまで凄いとは!
序盤戦は運動量出しつつ細かい動き出しで勝負する若手FWのイメージでジェバリ復帰までなんとか耐えてくれなんて思っていましたが、シーズン進むにつれ凄みを増していき終盤には完全に怪物化していました。
抜群のタイミングでのIH化、相手DF泣かせのピボット性能、二桁取れる得点力、的確なカバーシャドウなど、とにかくCFの補完役として優れており、既にリーグ最高峰のSTだと思っています。個人的に坂本の二桁得点は並みの二桁得点と同列に語りたくなくて、前進/保持/非保持などあらゆる局面でバチバチに仕事した上での二桁ってところをもっと賞賛されてほしいです。(厄介オタク)こんなに布陣に組み込みやすくて二桁見込めるなんて選手は中々いないでしょ。
坂本のあのヌルヌル感なんなんでしょう。ポストプレーやカバーシャドウでのヌルヌル蛇行して動く感じに相手DFは手を焼いている感じします。
そのヌルヌルで相手CBを完全に上回った天皇杯準決勝のゴールは、あの劇的な場面で普通にゴールパフォーマンスしようとしたところ含めて冷酷すぎて痺れました。
正直ST系の選手としては既にJリーグでやることはない域にまで達していると思います。仮にまだいてくれるならCF系の選手として裏やエリア内での強さを伸ばしてほしいですが、個人的にはST系として早々に海外に出るのがベストな気はしてます。
将来的な日本代表入りや5大リーグでのプレーも射程圏内の器だと思っています。どこまでも飛び立ってほしいです。
FW
WG
基本軸はLWGウェルトンRWG山下。
サブには倉田福田岸本食野アラーノ中野など多くの選手が起用された。
来季に向けては対DFを支配的に進められるウェルトン級の選手をRWGにも置くことができたら理想的。
8食野亮太郎
1998年6月18日 171cm/68kg
リーグ戦11試合 364分出場
0ゴール0アシスト
食野に関しては開幕前のnoteで書いたことが概ねだと思っていて、随所の判断で厳しいがほぼシュートの上手さだけで使いたくなる特級ロマン持ち。それが今季の「食野チャレンジ」に表れていると思います。(大活躍か干されると予想したけど、不定期チャレンジ枠になるのは予想外でした。)
ただ個人的にポヤトスの気持ちも分かるんですよね。私も勝手に布陣を妄想することがあるのですが、SB活かしつつ2列目でそれなりにタフに動けて得点を見込める選手誰だ、と考えた時に内側で強みを発揮する食野の属性はすごくしっくり来るんですよ。だけど実際見てみると思わぬところが障壁となり上手く機能しない。プログラマーの苦悩みたいなものを感じる今季でした。
シューターとして致命的なまでに後方と息を合わせたライン間待機が中々上手くできず、強みであるバイタルでのターン/シュートの局面までそもそも持ち込めないというところで苦しんだと思います。具体的に言うとCDM/CBを経由してサイドに開放されたボールに対してシャドー化してブロック内に立たないといけないところで下がり、相手SHの前で受けて虚無という現象が多かったです。今季終盤に出場を増やした倉田はこのシャドー化が抜群に上手かったんですよね。若手として出てきた時はなんならライン間職人系だったと思うので、何かをきっかけに思い出してほしいですが。
本来チームを支えないといけない年齢/経歴の選手としては正直かなり寂しい数字ではありますが、戦力化できた場合の天井の高さや下部組織出身でA契約枠外?なことを考えると巷で言われるほど放出の優先度は高くないのかなとも思います。食野自体が不定期チャレンジ枠の現状をどう捉えているかもありますが。
10倉田秋
1988年11月26日 172cm/68kg
リーグ戦25試合 774分出場
1ゴール1アシスト
今季惚れ直した選手の1人かもしれません。WG/IHとして使われて違いを出し切れなかった昨季から、今季は主にWGとしての振る舞いを向上させ終盤にかけて役割を確保。ダービーや天皇杯といった大一番での起用も目立ちポヤトスからの信頼も感じるシーズンでした。
食野の部分で少し書きましたが、今季の倉田は張った位置からライン間や裏に移動するシャドー化が飛躍的に上手くなり、黒川との相性で言えばウェルトンを超えるものがありました。右でもプレーできるウェルトンを確定とした場合、山下との天秤で個人的には倉田を推す程度には多くの局面で高い貢献度を出せていたと思います。
また、ベテランになっても強度の部分は健在、どころかチームを引っ張るレベルを維持しており生え抜きの精神性なども含めて守備から入りたい大一番でも起用したくなる力があった思います。
反則級のWGであるウェルトンと比べてしまえばあらゆる局面でのクオリティに差はありますが、ベテランのサブWGとして見ればピッチ内外での出来ることは全てやっていたと思います。ただ、たまにあったCM/CDM起用は人と繋がりに動く意識が強すぎて適性は正直薄かったと思います。山田とかの方がまだ上手そう。
個人的にハリルホジッチに代表招集されていた頃よりも今の方が輝いて見えるほどに終盤良かったです。昨季はもう正直厳しいかと思いましたが、ここにきてWGとしての振る舞いで復活する10番あまりにも熱すぎます。
よく筋肉といじられていますが、ベンチで着替えている映像見たら思ったよりしっかりカット出ててビビりました。トレーニング後腕上げてシャンプーできないくらいまで追い込むらしいですからね。やばすぎます。
14福田湧矢
1999年4月4日 176cm/70kg
リーグ戦7試合 127分出場
1ゴール0アシスト
手術明けで出遅れたため出場自体はそこまで伸びなかったものの、終盤にかけてベンチ入りを増やし役割を確保した印象。
ここ数年のパフォーマンスから期待値がそこまで高くなかった分、個人的には今季かなり驚かされました。特に天皇杯準決勝マリノス戦延長での収めて抜いての無双ぶりは疑似ウェルトンと言っていいレベルだったと思います。
元々裏へのフリーランや大外を取る意識は高くあとはクオリティだけという印象でしたが、今季はコンディションを良化させレギュラーであった宮本監督時代のような馬力を取り戻しつつあり対面の制圧力は中々のものがありました。クロスやシュートの質が伴えばもっと良かったですが、守備で戦いつつ大外で陣形を広げてそれなりに対面勝てる時点で一定の価値はあったと思います。そういった点で倉田と同様にウェルトンと比べると差は感じますが、サブWGとしてはかなり信用出来る方だったと思います。
正直この文を書きながら噂のヴェルディがチラつき寂しい気持ちになっていますが、ここ数年の出来から考えればJ1上位でも需要がある選手なんだなと感慨深い面もあり、なんとも言えない気持ちです。
私もネタラヴィと寿司行きたい。
15岸本武流
1997年7月16日 174cm/66kg
リーグ戦26試合 973分出場
1ゴール1アシスト
安心のポヤチルといった極めて従順な大外RWGとして開幕からスタメンが続くも、山下復帰後は火力面で魅力的な山下が優先され、その後は火の車状態のDFラインに換算されたりと終盤にかけて少し不遇なシーズンだった思います。
大外に張って仕掛けながら、守備やターゲットマンとして働けるRWG岸本は個人的にもっと評価されてほしかったです。突破力に関しても目に見えるスピードの部分で山下の方がインパクトありますが、SB相手に仕掛けるという点においては岸本の方が個人的にはあると思っています。プラスアルファとして分かりやすいクロス精度やヘッドでの得点などがあればまた評価も変わりそうですが。
半田離脱辺りから務めることが多くなったRSBでは、適性としてクロスや裏への警戒力など不得手な部分が出やすく苦しみましたが、松田や中野より優先して使われるなどポヤトスの信用も伺えました。中々評価されないRSB岸本ですが、個人的には中盤/WGとの関わり方が試合を経るごとに加速度的に良くなっている姿が好印象で、正直適性自体は薄いとは思いますが、緊急事態の中でよくやってくれたと思います。
ポヤトスに信用されているような、いないようなUTとしての使い方が目立つ今季でしたが、来季はなるべくRWGとして争う姿をみたいですね。
ガンバのYouTubeや奥さんのvlogでずっと笑顔なのが素敵です。絶対いい旦那さん。
17山下諒也
1997年10月19日 164cm/54kg
リーグ戦30試合 1676分出場
1ゴール5アシスト
開幕は怪我で出遅れたものの、復帰後コンディションが上がってからはRWGのレギュラーに定着。
強みは誰がどう見てもヤバいスピードでしょう。ただのどでかいクリアや相手のビルドアップを追い回しているだけで時折チャンスを作れる脈略のなさが山下の凄いところだと思います。背走していてあんなのが迫ってきたら悪夢ですよ。
ただ逆に言えばあらゆる文脈に沿った上でのプレーというのが中々適応に苦しんだ面もあったと思います。
最初に保持でいうと山下の資質/監督側の迷いもあったと思いますが、シーズン通して大外/ライン間の役割が中々定まらず押し込んだ局面での役割を見つけられていない期間が長かったですね。ライン間だとターンやシュートが足らず、大外だと後述する対SBに課題がありました。
終盤にかけて少しずつ半田/ダワンとの関係性を構築して大外からのバックドアで得点に繋げたり、A磐田戦でWGストライカー的に逆サイドからのクロスに突撃して決めたりと良い場面は増えましたが、圧倒的なプレーのインパクトと比べて得点関与や局面での貢献は上がり切らなかったのは、ここの役割が決まり切らなかったことは大きかったと思います。
そうした保持で役割を持ちきれない要因の一つとして減速や正対を手札に入れた駆け引きの不足があったと思います。
山下を大外WGとして見た場合SBに対する手札がスピード勝負に偏っており、スペースがない状態や呼び込む対応をされた場合に出せる手札がありませんでした。
大方が前方に大きく蹴り出す縦突破かワンツーで、時折行うカットインの逆足対角クロスはDFの裏をかけていたもののアドリブ成分が強いのか味方も中々反応し切れていませんでした。
せめて相手に向かって仕掛けられたら相手の足を止めたクリーンな勝負に持ち込めるのですが、スペースに仕掛ける傾向が強いためDFが寄せやすいアングルになってしまっていたのかなと思います。
それでも一定の結果を残してしまうのが山下のすごいところですが、私はやっぱりもっと無双する山下が見たいですね。駆け引きを習得した姿を考えてみてくださいよ。相手DFからすれば先に動かなければ追いつけない速さなのに、先に動けば交わされる。とんでもない理不尽FWの完成です。
また、それとは別件で非保持の守備に関しても運動量や寄せの速度は抜群なものの、プレスのタイミングや撤退の立ち位置がどこか他の選手よりぶっ飛んでいて山下のエリアから前進される場面も散見されました。ここは普通に直して欲しいです。
山田と同様の見方になりますが、個人的には荒々しく惜しい部分がある選手が良い動きをした時ほど興奮するので、山下はかなり肩入れして応援してしまっています。山下の良いプレーが1番声出して反応してしまうかもしれません。
現地で見る山下速すぎて面白いです。エリート中のエリートが集まったプロサッカーの中でも1人際立って速いの常人には考えられない世界です。
47ファンアラーノ🇧🇷
1996年9月2日 172cm/69kg
リーグ戦20試合 763分出場
1ゴール0アシスト
昨季のエースとしてレギュラーで開幕も、負傷離脱を挟み序列が低下。終盤はサブWGとして倉田岸本福田食野などとのベンチ枠争いに巻き込まれる結果となりました。
昨季証明したようにシャドー化するWGとしての最終局面での独力はチーム屈指ですが、非保持から始まりそこに達するまでの判断の部分でウェルトンや坂本などの高品質アタッカーとは差があり、結果で黙らせる主役の枠は宇佐美で埋まってしまったため中々起用が難しい状況となってしまったと思います。狙うのであれば同系統の特長を持つ山下との争いだったと思いますが、シーズンの流れの中で山下の方が信頼を勝ち取る結果となりました。
裏への圧力に課題を抱えるガンバのスカッドであればアラーノのCFなんかも宇佐美不在時に見てみたかったですが、好調のチームではそういったチャンスも中々訪れずかなり厳しいシーズンだったと思います。
とはいえ力のある選手であることは昨季で証明済みですし、戦術理解と同等ほどに独力のある選手を好むポヤトス下ではほんの少し歯車が噛み合えばもう一度序列を上げる可能性もあると思います。
ただ、適性の問題としてもっとオープン志向が強く、強度出しながらクオリティ!のようなスタイルの合致するチームであれば戦士&準主役の枠でもっと活躍するんだろうなとは考えてしまいます。
メンバー入りする時に投稿する確定演出の画像、毎回スタイリッシュで好きです。
97ウェルトン🇧🇷
1997年8月6日 175cm/80kg
リーグ戦32試合 2385分出場
4ゴール6アシスト
年間優秀選手👑
ブルガリアリーグという未知のリーグから太めの姿で来日した時は多くのガンバサポに緊張が走りましたが、蓋を開けてみれば年間優秀選手にも選ばれる大活躍。個人的Jリーグ最強WGです。
ウェルトンの凄いところは見るからにヤバい肉体から繰り出されるスピードやフィジカルをあくまで駆け引きの一手札として扱い、しっかり正対して自分の土俵に乗せた上で後出しジャンケンを仕掛けられるところだと思っています。(山下にやってほしいやつ!)ほぼオートマチックに染み付いた正対で相手に踏み込めない環境を作り、その状況に持ち込んだ時点で能力的にほぼウェルトンの勝ちみたいなところはありました。
しかも、これを両サイドでほぼ精度落とさず行えるため、一時期は相手の守備に不安がある側のSBにウェルトンを当てる悪魔のような作戦が取られていました。(一例としてHダービーで序盤登里サイドに配置されていたウェルトンが、毎熊負傷によりルーキー奥田が出てきた瞬間にそっちに移動したのは冷酷すぎて笑いました。)
そうしたクリーンな1対1を嫌ってボールが入る前に潰そうというDFもいますが、競り合いの技術(アーリーヒット)にも優れるウェルトンにはそれまた格好の餌食とされ広大なスペースを献上することとなります。この技術は大外や裏といったビルドアップの出口役としても機能し、場合によってはウェルトンを走らせるだけでハイプレスを破壊できたりと、とにかく戦術上担える役割が多かったです。
また、守備においても若干ムラが出る部分こそあれど、背中で消す技術やプレスバックで挟む判断などは運動量ばかりを売りにするWGとは一線を画す上手さがあり、守備面でのリスクをそこまで考える必要がないところも素敵です。
静的に試合を支配するポジショナルサッカーにおいて、基準点になりながら単独の駆け引きで優位を取れるWGは非常にありがたいです。強いて言うならばシュートをもう少し決めてくれたら嬉しいですが、そんな重要なことがサブに思えるほどあらゆる局面での貢献度が高いと思います。
現地で見ているとウェルトンが広大なスペースを駆け上がっている時のスタジアムの雰囲気がほぼ競馬場で楽しいです。
CF
シーズン通して主軸は宇佐美。休養時には坂本やジェバリが入った。夏市場で林を獲得も獲得前からの怪我でチラ見せのみで終了。
来季に向けてはエース宇佐美のクオリティに疑う余地がないことは前提に、手札として肉体的に強く裏へのアクションを起こせるタイプのFWに欠けているため、林の適応か新たな補強が欲しい。
7宇佐美貴史
1992年5月6日 178cm/69kg
リーグ戦35試合 2663分出場
12ゴール8アシスト
年間優秀選手👑 年間ベストゴール👑
もはやMVPを超えたナニカ状態。昨季のとことん不振に陥ったところから開幕戦のFKゴールで今季は何か違うと感じさせてくれましたが、ここに来て新たなキャリアハイを築いてくれるとは。随所に光る爆発的な天才性はガンバを飛び越えたJリーグの顔と呼べるレベルだと思います。年間ベストゴールに選ばれた札幌戦の2点目は技術、シチュエーション共に自らの力でチームを勝たせる今季の宇佐美を体現するものでした。個人的にはHダービーでの理不尽シュートも好きなんですけどね。
肉体の状態やIHへの適応で苦しんだ昨季に対し、今季はコンディションも復調し、序盤のジェバリ離脱で空席状態だったCFに入り込んだことで宇佐美が担う戦術的な負担が減り、チームビルド上も宇佐美を活かすシステムを組みやすくなったと思います。非保持局面での山田やポジトラでのウェルトン/山下、その他オールラウンドにこなす坂本といったキャラクターたちに活かし活かされの関係が2024ガンバのメインウェポンでした。その中心として残したリーグ戦得点関与(ゴール+アシスト)20点は圧巻の一言です。何気にPKの安定感もありがたかった。
試合を通して動的に感覚を模索しつつ天才を発揮する宇佐美のスタイルの上で成り立つ今季の宇佐美システムに対しては「静的に試合を支配するポジショナルの考えと異なり安定性に欠ける」という見方もあり、個人的には分からなくもない面もあるのですが、少なくとも今季の布陣に関してはネタラヴィの部分でも書いたように、開幕から紆余曲折を経た中でたどり着いた間違いなくベストの形であり、その期待にしっかり応えて順位を引き上げる活躍をした宇佐美は強く称賛されるべきだと思っています。
その考えをベースに、また一段階上がって優勝を目指すという風になれば来季に関しては1から仕切り直して今季届かなかった領域に踏み込める新たなベストを探しにいって欲しいですし、存分に探した結果の宇佐美システム継続ならばそれはしっかり応援したいです。
新たなベストを探すという点では今後裏に強いCFを取れた場合、宇佐美の肉体的負担や戦術適応力と相談しながらですがCAMやWGでのプレーも見たいです。なんなら今季既にH町田戦で決戦仕様としてCAM宇佐美は見せていたり、徳真アンカーシステムを導入し始めた終盤からは宇佐美のライン間がオートマチックな崩しに取り入れられたりとポヤトスの中にも、こうした構想はある予感がしています。(そもそもIHで起用しようとしてましたし、1番凄い宇佐美に戦術的負担を担ってもらう考えはありそう。)
そうした天才性を組織内へ上手く組み込むことができれば、またより一層凄い宇佐美、凄いガンバが見られると思います。
シーズン20得点関与してもまだ、こうなるといいよねと思わせてくれるぶっ飛んだ天井を持つ宇佐美が大好きです。現地で見たA磐田戦の2点目演出の黒川へのパス上手すぎてスタジアム全員時間止まってました。
11イッサムジェバリ🇹🇳
1991年12月25日 186cm/84kg
リーグ戦18試合 370分出場
2ゴール2アシスト
今季は開幕出遅れ、宇佐美がCFに定着した影響で途中出場がメインに。
個人的には結構好きな選手です。シュートの技術はもちろん、とにかく攻撃面での理解度が高く、ポジトラのコース取りや競り合いのアーリーヒットといった細かなアクション一つ一つの質が高いと感じます。H鳥栖戦、A磐田戦のアシストはジェバリの良いところが詰まった場面だと思います。
また、正直得意なプレーだとは思いませんが今季のパワー不足の前線においてはターゲットマンとして陣地回復の役割も担っており、交代からでも自分の色を見せていました。
ただ、クロスに飛び込んだり大きな裏抜けをするタイプではなくCFとしての運用を考えた場合他のそういった選手と組み合わせた相乗効果で活きてくる選手のため、宇佐美が完全にフィットした後の今季のガンバにおいてはやや扱いづらかったのかなと思います。プレースタイル的にはCAMに置きたいような選手なのですが、そうすると守備が若干重たいのが中々難しいところ。
外国人CFだけど縁の下の力持ち的な属性でもう一声が欲しくなってしまう選手ですが、個人的には良い選手だと思っています。H町田戦の大一番でスタメン起用されるなどなんやかんやポヤトスからの信頼も厚いのではないでしょうか。
91林大地
1997年5月23日 178cm/74kg
リーグ戦1試合 5分出場
0ゴール0アシスト
夏市場で獲得も右膝の手術明けだったこともあり今季の出場は顔見せ程度に収まった。おそらくフロント側もそこは織り込み済みで実質来季に向けた補強だったと思われます。
勉強不足で東京五輪くらいでしかこれまで見られていないのですが、その当時の印象だと攻守に運動量を出せるタイプで主に裏抜けの量で勝負も、無茶走りが多くまだまだ伸び代もあるタイプという風に見えた記憶があります。
そこから3.4年経っているため、また成長してスタイルも変わっている可能性もありますが、大方はこうした裏に強くクロスにも入ってこれるCFという属性を期待しての獲得だと思います。
獲得から絶妙に間が空いたことや怪我の再発説で若干存在感が薄れている感じがありますが、今のチームに必要な属性を持つ隠れ目玉補強だと思っています。他チームの大型補強を蹴散らす活躍を期待しています。
まとめ
2024 ガンバ大阪(4位)
リーグ戦38試合 勝ち点66
18勝12敗8分 49得点35失点 得失点+14
天皇杯準優勝、ルヴァンカップ1stラウンド2回戦敗退
ここ数年で最も良かったシーズンだったと思います。(なんならここ数年の記憶は消えてる。)
シンプルに今季は見ていて超楽しかったです。やっぱりここ数年はチーム愛のみで試合を追いかけている時もあったので、自信を持ってうちが一番強い!と思いながら見られた今季は最高でした。
来季はタイトル見たい!