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エルセとさめのぽきという物語を見て

初めに

 まず、この記事を読みに来てくれてありがとうございます。この記事は、エルぽきラストワンマンのライブレポです。注意事項としては、以下二つ。①ライブのことだけでなく、それ以外についてもネタバレがあります(多分)。②書いてある情報の中には私の記憶から引っ張りだしているものがたくさんありますので、間違って思い込んでるものやそこからの類推があるかもしれません。
 ここまで来てくれた方は気にしないかもしれませんが、念のため。ご理解いただいた方は、この先へどうぞ。

開演前のひととき

目次

  1. 初めに

  2. 開演

  3. 1曲目:波打ち際

  4. 2曲目:Atlanticus 

  5. トラブル?

  6. 3曲目:n a g i 

  7. 4曲目:まぼろし

  8. 5曲目:SUPERNOVA

  9. ふたり

  10. 6曲目:深海列車

  11. 次のセカイへ

  12. 7曲目:宇宙の花

  13. 8曲目:世界が終わる1秒前

  14. 宇宙飛行士との迎合

  15. 9曲目:True Ending

  16. ノンフィクション

  17. 10曲目:STAR

  18. 11曲目:声の海

  19. バンドメンバー紹介

  20. 12曲目:君の街まで

  21. 13曲目:deep in

  22. 14曲目:星詠みの唄

  23. エルセとエルセ

  24. 15曲目:  .NEWWORLD 

  25. 16曲目:orbital

  26. 17曲目:ブルーアワー

  27. 18曲目:BLUE

  28. ED:Later Story

  29. アンコール:星詠みの唄

  30. まとめ

開演

 バンドメンバーから入場し、エルぽきの二人も含めて全員シルエットでの入場。ここのチームとしての一体感、Vsingerとリアルの人間に対して同じ表現をする、次元を超えた表現の幅を感じて、ライブ始まって一番最初にエルぽきのライブを感じた瞬間だった。

公演開始

1曲目:波打ち際

 ライブは、『波打ち際』からのスタート。“そばにいる ずっとそばにいる”という歌詞が印象的なこの歌。この曲を一番に選んだのは、「これからもエルセの隣にいるから安心して楽しんでね。」というぽきさんからのメッセージなのかなと。エルセとさめのぽき体制で最後に公開されたこの楽曲は、活動5周年の記念配信中に生まれた、言わばノンフィクションのエルセの曲。この曲を現地ライブパート、それも開口一番に採用するのは完璧な配置と言えた。それは、なんとなく感じたメッセージだけではなく、ライブの構成として創り込まれていて、この曲が終わり、ライブの全貌が見えてきたとき、この曲をここで歌っているという遅効性の衝撃をもらえたことからもそう思った。それから、vortexを現地にそのまま持ってきたようなライティングが素晴らしかった。フィクションとノンフィクションのはざまに私たちもいるような気がして。

『波打ち際』
"そばにいる。ずっとそばにいる。"

2曲目:Atlanticus

  続けて、UNIVERSE FANTASY から『Atlanticus 』。このアルバムで唯一、エルセを主人公とした楽曲。”もっと遠くへ 遠くへ”という願い、さらに大きな存在になってLir.E を引っ張っていく、どんなことがあっても前へ進むというエルセちゃんからのメッセージが込められていたのかなと感じた選曲。ここの後ろの映像では、輪の中を進んでいくような演出がされている。公演中はvortex の渦をイメージしたものだと思いながら見ていた。これは後でアーカイブを見返して思ったことだけれど、この渦のような演出は、エルぽきの考える”セカイ”という概念を答え合わせをする前に表現していたのではないかと感じた。

『Atlanticus』
”どこまでも青く染まる場所に 
ひとつのしるしを残そう
ふたりが生きてきた証を”

トラブル?

 トラブルと見せかけた物語の導入。一気に物語の登場人物のひとりにされるような素晴らしい仕掛けだった。『Atlanticus 』が終わったあと、違和感を感じさせなかったこの演出は、音にこだわり続けてきたエルぽきとvortexだからできた仕掛けだったと思う。『星詠みの唄』のタイトルコールに、まんまとしてやられた。TANAKA さん(スタッフ)の声が入ったとき、最初は本当にトラブルだと思ったけれど、会話するエルセちゃんの向きに違和感を感じて何かがあることに気がつけた。それから、エルセの部屋に移ったとき、その懐かしさでいろいろ思い返していた。置いてあるギターを見て、その練習をしていたエルセちゃんとかね。ここは、古くからエルぽきを追ってる人ほど何かを感じていたんじゃないかな。そして、馴染み深い本が出てきて、ここからぽきさんのやりたかったことの答えが見れるんだと、そんなことを考えていたら、一つ目のセカイに辿り着いていた。

ぶー
星詠みの唄?
エルセの部屋
「」のセカイへ

3曲目:n a g i

 見覚えのある江ノ島の浜辺、その波の揺れや雲の動きの表現の美麗さ、『BLUE』を見つけた時に惚れ込んだ良さがそこにはあった。エルセちゃん関係なしに眺めていたくなるような風景の映像美がとても良かった。そして、答え合わせが始まる3曲目の『n a g i』。「」は、人間になりたかった少女で、そんな彼女の物語がそこにあった。『n a g i』のMVはエルぽきには珍しい実写で作られている。また、詩に出てくる”n a g i “は、”凪”という漢字表記をしていたりと、その答えに結びつくヒントはそれなりに出ていたかなと思う。SPLASHというアルバムに入ってる楽曲だけれども、持ってる人はぜひライナーノーツを振り返って欲しいな。そこでも触れられているからね。凪のセカイということ一つクリアになったことで新しくいろんなことに気がつけた。それから、間奏でエルセちゃんが投げかけた言葉は、物語に引き込ませる効果があってとても良かった。物語ライブが強みであるエルぽきらしい間奏の使い方だったのが特にね。

江の島の浜辺
「」との再会
『n a g i』
"君のこと、凪"

4曲目:まぼろし

 続けて、エルぽき夏の三部作から『まぼろし』。まずイントロのキーボードが素晴らしかった。キーボードを構成要素としてもたないバンドはたくさんいるけれど、ぽきさんの楽曲はピアノに特徴を感じることが多くて、特に『まぼろし』はそれが顕著だと思っていたから、その特徴を完璧に生バンドに落とし込んでいるピアノの音色がとても良かったなと。お歌に目を向けると、エルセちゃんの緊張も抜けてきたように見えて、声の伸びがより映えていたように思う。ぽきさんとのハモリも綺麗だった。IFのライブの頃を思い返したのもあって、歌声の力強さや伸びも安定感も見違えるようになって、成長をたくさん感じる1曲だった。

『まぼろし』
"幻が胸を締め付ける度、思う"


5曲目:SUPERNOVA

 『まぼろし』の終わりと同時に夜に変わり、始まる『SUPERNOVA』。1,2,3,4のドラムから始まる生バンド感に気持ちが昂った。この曲ではドラムが印象的だった。曲の始まりもそうだけど、一緒に手を挙げてくれたりしていたのを目の前で見ていて、生バンドの良さを実感していた。しんやさん最高!ぽきさんも言っていたけど、エルぽきとの親和性が高い方だなと思いながら演奏を聴いていた。今回のライブ会場"SUPERNOVA KAWASAKI"で歌わないわけがないこの曲。ぽきさんの煽りとともに、テンションは最高潮になっていた。ぽきさんの「行くぞ」の合図で、”-荷物は最小限でいい-“の掛け合いをシンガロングできたのとても楽しかったな。演出面でいえば、やはり空飛ぶ透明なクジラ。エルぽきを長く追っていれば馴染み深いクジラだけど、期待通りここでちゃんと出てきてくれたのがとても良かった。幻想的なMVの中でも特に好きだったのもあって見たかったもののひとつだったからね。このクジラもなぜ透明であるのか、凪の答え合わせから考えられることがあって、いろんな想像をしながら腕を挙げて聴いていた。

『SUPERNOVA』
"終点なんてない
-星をつないで-
  ストーリーはまだ終わらない"

 この曲はMVの映像美がとてつもないので是非とも見てほしい。2024年の今でも、ここまでのものを作れるアーティストは多くない。

ふたり

 見覚えのあるシーンがやってきた。凪とのふたりごとを話すシーン。このセカイはエルセが人間になりたかったと願ったIFのセカイ。”星の死が新しい星を生む。”という核心のセリフ。このセリフの意味するところの大きさも後になって驚かされた。凪の”終わらせたい”という願いで光る星。物語の核心が明かされていく楽しさがそこにはあった。それから最後のシーン。光り輝いて輪っかっぽい光になっていたのもセカイ終わりを意味していたのかな。

凪の願いとセカイの終わり


6曲目:深海列車

 切符を見た瞬間に何が来るかわかって唸った。違うアルバムの曲同士がつながる瞬間。これぞ今回のエルぽきの創るライブに求めていたものの一つだった。IFの世界からどう展開するのか予想できていなかったから、ここは本当にしびれた。『深海列車』はSPLASHというアルバムに収録された楽曲で、生バンドだと発表されたときにすぐ結びついたくらい王道なバンドサウンド。生バンドで聴きたかった曲だったから、今回のセトリに入っていたことが嬉しかった。ライブ前にぽきさんが「さぁ、行こうか」とつぶやいていたから、どこかで来るだろうとは思っていたけどね。深海列車が片道切符であるということ、それはなぜだったのかが繋がる瞬間が気持ちよかった。ぽきさんが楽曲を作ったときは、そこまで考えていたわけではないようだったけれど、次のセカイへ向かう歌としてあまりにもしっくり来たし、物語に落とし込んでくれたことがとても嬉しかった。見覚えのある街並みをすぎていく深海列車とついて来てくれるクジラ、リアルタイムでMVを見ているようなわくわくがそこにはあった。

片道切符
『深海列車』
"深海列車はきっと
際限ない世界の果てへ
僕を連れ出してくれるだろう"


次のセカイへ

 列車の中で、次のセカイの主人公との会話。タイプライターを打つエルセが人差し指で打っていないことに成長を感じながら、タイプライターの向こうとの会話を見ていた。ここの会話をタイプライターで進めるという演出もとても好きだった。これについてはあまり言語化が上手くできないけれど。

タイプライターを打つエルセ
セカイの主人公は

7曲目:宇宙の花

 物語はUNIVERSE FANTASYの舞台へと移り『宇宙の花』に。銀河の中を進む深海列車というここの演出もとても好き。これは見返してより好きになった。銀河の中ということはそこにある光ひとつひとつは星ということ。エルぽきの世界観的にいえば、光ひとつひとつがセカイなのではないか、そのセカイの中のひとつに向かっていて、それが宇宙飛行士のセカイ、UNIVERSE FANTASY という舞台だったのではないかと想像できた。どこまでが練られていたのか分からないし正しいかなんて分からないけれど、そんな想像を膨らませられるこの銀河の演出はとても良かったなと。そして、”願って、願って 今ひとつになる”で光る星。エルセの願いを歌の中で落とし込む演出が素晴らしかった。
 『宇宙の花』とはとある場所を指す言葉。ここで歌っていることの意味がこの曲にもあるのでは?ということ。気になる方はUNIVERSE FANTASYのライナーノーツを読んで欲しい。そういうことだったんだとエルぽきのライブがさらに面白くなるから。

『宇宙の花』
" 願って 願って
    "今、ひとつになる" "

8曲目:世界が終わる1秒前

 『世界が終わる1秒前』をセカイの終わり、その直前に歌うということ。この場面にぴったりだし、このセカイが終わらせないようになんとかするのではなくて、どうしようもなく終わって次のセカイへつながるというエルぽきのセカイに対する概念がわかったことでより味わい深い楽曲になった。この曲がこのライブのために作られたわけではないのがすごいなと思う。この曲で印象深かったのは、銀河の光が青から黄色に変わっていて、私たちのペンライトも黄色になったところ。ここで私たちのペンライトを黄色にさせた意味を考えると、ぽきさんのセンスの良さを感じた。綺麗なだけじゃなくて、願って黄色に光る星、それを私たちも持っていて、ペンライトを振っていた全ての人を物語の中の登場人物へと引き込むそんな演出だったんじゃないかと思えて。

『世界が終わる1秒前』
"  "それ"を僕ら愛している  "

宇宙飛行士との迎合

 大きな輪っかの前で、宇宙飛行士と迎合。”セカイが終わってもセカイが在ったという事実は無くならない。”このセリフには、いろいろと想いをめぐることがあって、これはVという存在そのものにも掛けているのかなとも思った。私は奇跡的にがっつり入れ込んだ人の引退というのはほぼ経験してないのだけれど、ここは出逢いと別れが多い界隈だからね。そういう方たちのことって私たちの中ではそう簡単に消えるものではないというのは実感しているわけで、比較的Vtuberシーンの初期からこの界隈にいて、見送る側だったぽきさんの願いや裏メッセージだったりもするのかななんて考えていた。これは想像というより妄想だけれども。
 そして、ジャケットで何度も見た宇宙飛行士とエルセの構図へ。IFからUNIVERSE FANTASYの繋げ方が分からなかったようにUNIVERSE FANTASYから次のセカイへの繋げ方も想像できていなかったから、ここの構図に移ったとき、つい声が漏れていた。UNIVERSE FANTASYは、エルセとは別のセカイの物語だけど、唯一、私たちが既に知っているシーン。そこに着地するということに納得しかなかった。そして、最後、”あなたが大切な人と会えますように”という宇宙飛行士の願いでこのセカイは終わった。物語の構成のうまさ、それを音楽と融合してここまで進めていることに感動していた。

宇宙飛行士との迎合
UNIVERSE FANTASY
宇宙飛行士の願いとセカイの終わり

9曲目:True Ending

 ここの『True Ending』はふたりの気持ちがより入っているように感じた。いつもより感情的に聴こえる歌声と、ノイズを混ぜるこの曲特有の表現が、ライティングと合わせて、セカイに包まれるような感覚にさせられて最高だった。リリースされてから、ライブでぽきさんと一緒に歌うことも多かったこの曲は、ふたりがパートを分けて歌うのもあって好きな楽曲。物語ライブであるということとぽきさんが最後ということで、今回ふたりで歌うところが聴きたいと思っていたから、最高な場面で聴けて感無量だった。“世界が終わっても 離れないでいて ずっとそばにいて 僕と”や“世界が終わっても ここにあったことは 消せやしないから”、”世界が終わっても 離れないからね そばで 微笑んで”といった歌詞が今回のこの状況と重なって涙を浮かべていた。私はここでこらえきれなくなっていた。

"True Ending"
“世界が終わってもここにあることは消せやしないから”

ノンフィクション

 抹茶ラテ(かな?)おいしそう、PCの中に何か気づけていないことが潜んでいそう、TANAKAさんの机上の現金に草とかいろいろあったVTR。本質の部分のノンフィクションのエルセの肯定。ここがやっぱり1番驚いたポイント。かなりセンシティブな部分で、ライブで扱うというのはとても挑戦的に思えた。これから私の個人的な考えを書くので、苦手な人は見ずに次に進んで欲しい。ノンフィクションの部分を扱う界隈全般に対する個人的な意見は、「本人がやりたければやるべきだけど私が求めているのはそれではない」というもの。VにはVの表現があると思うし、私はそういう部分に惹かれてこのジャンルを好きになったという経緯があって、バーチャルの表現で何ができるかを見せてほしいと期待しているから。ノンフィクションの部分を扱うのならそこにはメタでない意味があって欲しいというのが私の一方的な願い。一方で、魂が示しているあり方に惹かれているから好きになっているわけで、そういう意味で、今回のエルぽきが提示したものは、フィクションのエルセという世界観もノンフィクションのエルセという魂も否定されないどちらでも私が惹かれた部分が肯定される私好みな回答だった。

≪瞬いたセカイの果て≫

10曲目:STAR

 戻ってきた現地ライブパート。再会一発目は『STAR 』。この楽曲もノンフィクションのエルセちゃんをかいた詩。エルぽきが何か次へ進むときにぴったりな楽曲。昔と比べて身振り手振りをするようになったエルセちゃんも、とにかく楽しそうに歌っているエルぽきのふたりも全てが最高な空間だった。現実のパートでバックがMVになるのも素晴らしかった。エルセちゃんがここにいるということを強調している気がして。そして、何よりこの歌は、”ありがとう”を伝えるときに歌ってくれる歌。それを現地ライブパートに帰ってきて一曲目に歌う意味を受け取って、ここまで応援し続けてよかったなと心から思いながらシンガロングしていた。

『STAR』
"  "ありがとう"  "


11曲目:声の海

 『STAR』で感動したまま、イントロと後ろからの歓声を聴いた。『声の海』もエルぽきの定番曲になったなと思いながらペンライトを腰にしまって、一緒に踊る準備をした。リアルタイムでは、全力で踊って楽しんで、アーカイブでは会場みんなでクラップが決まる瞬間に感動した。この曲は、もともとUNIVERSE FANTASYの楽曲で、違うセカイの曲だけれど、エルセちゃんが振り付けを考えてライブでたくさん歌ったことでノンフィクションのエルセの曲ともいえる曲になっていたと思う。現地ライブパートで歌われたのにはそういう理由もあるのかなと思ったりしながら聴いていた。

『声の海』
"手をとって ひとつになって"

バンドメンバー紹介

 生バンドライブをするなら絶対に見たいと思っていたバンドメンバーの紹介コーナー。みなさん素敵だった。特に、こうやさんの新調したギターは、エルセのギターによく似ていて、とても嬉しいこだわりだった。また、バンドマスターだったらしいしんやさんは、音楽面以外のパフォーマンスの素晴らしさも際立っていた。目の前で見れていたからというのもあったけれど、手を掲げたり、crapの代わりにバチで煽ってくれたり、生バンドの醍醐味ってこういう部分にもあると思うから、それをエルぽきのライブで体感できたことが嬉しかった。どんな人か分かった状態での紹介となったこのタイミングでのバンド紹介はとても良かったな。

バンドメンバー紹介
バンドメンバーのみなさん
KeyBoard はだみゆ さん
Guitar 早川剛矢 さん 
おまけ:エルセのギター
BASS MORIKEN. さん
Drums ニシムラシンヤ さん

12曲目:君の街まで

 『君の街まで』。この曲歌ってくれて良かった。これが一番に思うこと。あんまりライブで歌われない曲というのもあるし、6年待ったワンマンで、理想の自分に近づいているはずのエルセちゃんに歌って欲しかった一曲だったから。君の街までのMVは、当時のVtuber/Vsingerシーンではほとんど見られなかった表現に挑戦していて、エルぽきをさらに好きになった思い出深い曲だった。そんな個人的な都合もあって、手拍子の振りで察したときにはもう泣きそうになっていた。楽しそうにMCをするエルセちゃんに改めて成長を感じたし、僕らの街までようやくやってこれたんだなと歌詞を味わって、手拍子をして、最後のラララを歌いながら感動していた。この辺はもう涙腺が限界を迎えていた。

『君の街まで』
"この声よ届け 
遠い世界の果て
 行こう、君の街まで"


13曲目:deep in

 とにかくおしゃれになった『deep in』。聴き心地と聞き応えの両立。生バンド化して1番化けた曲だったように思う。元からとてもとても好きな曲であったからなおさら凄みを感じた。そして、なんといってもライティングが素晴らしかった。幅広のレーザーに蒸気を当てて水面に見せるような、海の中に招待されたような演出は天才的だった。スタッフさんありがとう。たくさん感動した中でもトップクラスに感動する演出だった。『True Ending』で既に感動していたけれど、『deep in』ではさらに幻想的に見えてより良く感じた。ぽきさんがレーザーを借りるためのお金の話をして、私たちCFの支援者に感謝してくれていたけれども、何か素敵なものをしてくれるという期待感で支援した私は、良いお金の使い方をしてくれたなとその話を聞いて思った。どれにいくらかかるなんてことは分からないけれど、ぽきさんに託して有効活用してくれたから見れた演出のひとつなわけで。それから、ふたりが向かいあって掛け合うシーン。ここでも、エルセちゃんの成長を感じた。ぽきさんの隣り、もっといえばぽきさんも引っ張っていくような凄みがあって、大きくなったなと感じる歌声だった。アレンジがあったりしたのもあって、ぽきさんにもいつにも増した凄みを感じていた。ぽきさんのライブレポで、今回が最後かもしれないと知って寂しい反面、この歌声、演奏、演出、舞台を持ってこられては納得するしかなかった。本当に素晴らしかった。水族館ライブをやるいつかのどこかでは、またふたりが歌うdeep inを聴きたいな。

『deep in』
“  “私”は何を思うのだろう  ”


14曲目:星詠みの唄

 明かされる本当のエルセの願い。それは全てのセカイが一つになること。ここで『宇宙の花』を思い返して衝撃だった。ライブ本編内で既に答えが出ていたということ。『宇宙の花』は『星詠みの唄』のアンサーソングだということはぽきさんが以前から言っていたけれど、ライブの演出に組み込まれていたと気がついたときの感動は大きかった。
 みんなで手を挙げて始まるタイトルコールは過去一楽しい『星詠みの唄』の始まりだった。ライブタイトルにもなっているこの曲は、エルぽきのライブのド定番曲。ライト層でも知っている方が多いと思われる代名詞にもなっている楽曲。後ろの映像でたくさんの光や流れ星で溢れていたのは、ひとつひとつがセカイを指していたのだろうか。そんなことを思いながら歌詞を味わっていた。“星を止めて未来を結ぶ”という歌詞が全てに繋がり、楽曲の本当の意味が分かった至福の時間だった。そんな感動のなか、みんなで叫ぶ”うぉ~ぉ~ぉ~!”は最高に楽しかった。全力で腕をあげてシンガロングしてあっという間に時間は過ぎてしまった。

『星詠みの唄』
"星を止めて 未来を結ぶよ"


エルセとエルセ

画面が変わってcross talkの先。6年の月日で成長したエルセからの言葉。"たくさんに人がいて、たくさんの仲間が出来て"という6年間の重みを感じる言葉。この会場がほぼ満員だということ、たくさんの友達が歌枠リレーをしたりしてチケットを売るために協力してくれたということ、ライブを見に会場まで来ていたということ、その言葉が言えるまでになったということ。初期から見ている身として、とても心にくるフレーズだった。本当に大きくなったね、と。

エルセとエルセ

15曲目:.NEWWORLD

 『.NEWWORLD』は、終わって( . )始まる(NEW WORLD)瞬間にぴったりの楽曲。エルぽきの終わりとLir.E の始まりの瞬間。そのはざまに歌う最後の歌。この曲にもノンフィクションのエルセがここで歌う意味が込められていたんじゃないかと思う。画面フルサイズでMVが流れていたのも良かった。たくさんの色が登場するMVに合わせて、ペンライトをオートモードにしようとしたけれど、うまく行かず手動でカチカチしていた。このMVも当時のVtuber/ Vsingerシーンでは他にいない表現に挑戦していてエルぽきの表現の広さに驚かされた楽曲だった。2020/01/01に発表されたときを思い返しながら、大迫力な画面に圧倒されていた。そんな中で、"HELLO HELLO"のシンガロングをするのもエルセちゃんに合わせて腕を振るのも最高なひとときだった。

『.NEWWORLD』
" HELLO "


16曲目:orbital

 「このセカイはもともと繋がっていたってこと。そして、私たちは先が見えないくらいの輪の途中を生きている。」というセカイの果てのアンサー。それが提示されたということ。凪のセカイの最後にも、宇宙飛行士の最後にもあった輪、その意味が分かって言葉を失った。アーカイブを見返して気がついた『Atlanticus 』の輪を進んでいるような演出は、私たちが今を生きている存在であるということを示していたのかなとも思った。まだまだ気づけていなかったことがあるのかもしれない。

このセカイ

 Elseちゃんの一曲目、『orbital 』。この曲を聴いて安心した。物凄く。それが正直なところだった。不安はほとんど持っていないと思っていたけれど、そうではなかった。エルぽきを信じていたし、期待の方が大きかったけれど、どこかで小さな不安はあったようで、それを見事に払拭してくれた。ぽきさんの楽曲らしいサウンドに、成長したエルセちゃんの歌声に、歌詞に込められたメッセージに。ステージを踏むと音楽性が変わってしまうアーティストというのはたくさんいて、それは必ずしも悪いことではないし、ときに必要なことであると思う。それに、今回の新体制への移行には、何もそういう要素がないと分かっていたけれど、結局、実際に曲を聴くのが1番理解できるもので、信じて良かったなと心から思えた楽曲だった。エルセちゃんの歌声には、”ほら、ひとりでも大丈夫でしょう”と投げかけられているようで、実際に、エルセFIRST SOLO LIVE「ひとりでも、ひとりじゃない。」のときと比べて、見違えるようになった。堂々としていて、力強くて。すぐ泣いていたという話を新しく知った方は信じられないのではないかと思うくらいに。

『orbital』
"愛してる"

17曲目:ブルーアワー

 ぽきさんソロの『ブルーアワー』。Else ちゃんの新曲の直後に聴くものではなかった。エルぽきを6年前から振り返る動画。ここは号泣した。泣くのを耐える気にすらならなかった。ブルーアワーは、ぽきさんがノンフィクションのエルセに向けて書いた曲。この曲のMVが実写だったのもそういうことだったんだなと今更ながら気がついた。動画全てに見覚えがあって、リアルタイムで6年間追い続けていた自分にとっては、大切な思い出がたくさん詰まっていた。パソコンも使えなかったエルセちゃんがひとつひとつ成長していく過程を見守っていたことを思い出して、ぽきさんもいつもより丁寧に感情を込めて歌いあげているような感じを受けて、心にものすごく響いた。次のMCで言っていたけれど、エルセちゃんが作っているという事実にも感動した。”君と出逢えて何が変わったか”というフレーズ。私は何が変わったのだろうかと想像しながら聴いていた。エルぽきに出逢っていなかったら、ライブには行ってなかったと思うし、Vtuberを好きになることも、Vsingerの存在に辿り着くこともなかったと私は思う。今のVtuber シーンの状態で他の誰かを最初に見ていたら、Vを見続ける自分は想像できない。例えば、今の大手の誰かを偶然見たとして、自分が求めているエンタメをしている方は少ない。活動の比率の話まですれば大手にはほどんどいないといえた。それくらい奇跡的に自分の心に刺さる表現をしていたアーティストがたまたまエルセとさめのぽきというVsingerだった。エルぽきは私の趣味のひとつを育ててくれた存在だと私自身が感じていたからこそ、歌詞を重ねて、一度や二度タオルで拭うだけじゃ足らないくらい泣いた。そのくらいふたりのことが、ProjectBLUEというクリエイターチームが好きで良かったと思えた5分間だった。

『ブルーアワー』
" 君と出逢えて 何が変わったか "


18曲目:BLUE

 エルぽきのふたりの出逢いのエピソード。ふたりがふたりであってくれて良かったなと思いながら聞いていた。エルセちゃんもぽきさんもその言の葉には力があって、決意と覚悟と時の運と全てが噛み合って今があるということ、ふたりの相性の良さにも惹かれたということを改めて実感したMCだった。

ふたりの出逢い

 最後は、一度きりの組み合わせの『BLUE』。エルセとさめのぽきの始まりの曲。私にとっても特別な出逢いの曲で、特別な思い入れのある楽曲。これ以上ない最後の曲。『BLUE』を最初に見つけたときは、投稿何日後だったかは覚えていないのだけど、この動画がただひとつあげられていて、世界が創造されていて、映像が美しくて、女性の歌声も男性の歌声も好みなユニットがそこにはいて、ものすごく未来に期待したのを覚えている。エルぽきの情報収集のためだけにTwitterを初め、情報を追いかけた。YouTubeでコメントしたのもエルぽきが最初だった。勝手が分からず、昔は今と違うチャンネルで、アイコンも初期アイコンのままコメントしていたくらい。大袈裟でもなんでもなく、それくらい自分を変えてくれた出逢いだった。そんな楽曲が最後なんだから、それはもう最高に嬉しかったし、楽しかった。幅広レーザーのライティングがあり、加えて、床に描く泡模様を、画面に映る一度きりのふたりの組み合わせを目で見ながら、ふたりの歌声を耳で堪能して、エルセとさめのぽきの創るライブを味わい尽くした。

『BLUE』
" 物語の先をいそぐよ "


ED:Later Story

 エンディングの『Later Story』。読後感が良い小説を呼んだような感覚のままエルぽきのライブが終幕する。終わってしまうことの寂しさがあれど悲しくはなくて、ここまでのものを作ってくれたこと、いつものように期待を越えてくれたことがとにかく嬉しくて、EDの最後まで腕が止まることはなかった。

エルセとさめのぽき
エンドロール

アンコール:星詠みの唄

 何度も見た色味を感じる風景と岩の上に立つエルセちゃん。楽しむためだけのおかわりの星詠みの唄。エルぽきのためだけにに集まったみんながひとつになった瞬間。エルぽきでこの一体感を味わえている高揚感を感じながら、力尽きるくらい全てを使い果たして叫んだ”うぉ~ぉ~ぉ~!”が最高に楽しかった。何も後悔なんてないくらい後味の良い最後になった。

『星詠みの唄』
“ひとつになる”

まとめ

 このラストワンマンライブを振り返ると、ライブを構成する要素の多さに驚かされる。それは、例えば、楽曲を歌うという一般的な意味での音楽のライブであるということ。例えば、リアルタイムで演奏がある生バンドのライブであるということ。例えば、エルぽきの特徴である物語ライブであるということ。例えば、Virtual 空間を利用したライブであるということ、例えば、vortexだからこそできる現地にvortex空間を持ってきたかのような演出があるということ。本当にたくさんの要素を組み合わせたエルぽきらしいライブだったし、どれをとってもクオリティの高いものだった。Vsingerという狭い枠組みではなくてアーティスト全体で見てもこのようなライブが見れることはそうそうないと思う。そのくらいに満足度の高いライブだった。また、ライブが終わって、後ろのエル信者が、銀テを前まで持ってきてくれたり、柵にかけて取りやすくしておいてくれたりしたのも印象的だった。顔見知りのエル信者が良い人ばかりなのは知っていたし、配信のコメント欄もすごく平和なのは分かっていたわけだけれども、会場全体でライト層含めてそういう空気になっていたことに少しだけ驚いた。ちょっとしたことだけれども、エルぽきが作る配信の居心地の良さが現実にも現れているようで嬉しくなった瞬間だったね。これは余談だけれど、フライヤーに名前が入ってたのも嬉しかったね。

たった一度のふたり
フライヤーに名前のあるエルセとさめのぽき

 楽曲の写真のタイトルは、今回のライブで意味を感じたり、もともと好きだったり、これからのライブでキーセンテンスになったりするのかななんて思う詩から引っ張ってきた。これは新しい発見もあってよかったな。
 それから、CDジャケットのキーホルダーグッズは、Lir.Eになってからもグッズ化して欲しいなと思った。音楽的要素のグッズが好きなのと、エルぽきのCDジャケットは、どれもそのデザインが好きだったから、今回、1番嬉しいグッズだった。それっぽいケースを買って、早速、飾ってみたよ。

CDジャケットアクリルキーホルダー

 ここまで読んで、”お前、音楽的要素についてそんなに書いてなくない?”って思った方もいるかもしれない。それはその通りで、私は音楽的要素の良さを表現する語彙がないので、パフォーマンスの節々に感じる努力だったり、長年追ってきた相対的な部分だったりは書き記すことができるのだけれど、そういったところ意外で感じている良さというのは上手く表現ができなかった。実際、キーボードもギターもベースもドラムも良いと感じたところはたくさんあったけれど、残念ながら言語化できなかった。その辺は読んでる方で知見ある方がいればnoteにでも書いて公開して欲しい。その辺の知見を深めればさらに楽しめると思うからね。 また、今回、フラワースタンドをご支援者様とともにエルぽきのおふたりへ贈らせていただいた。かわいいイラストとともに素敵なものを贈ることができて本当に良かった。イラスト、ネームボードともにしろうさぎさんに依頼しました。イラストは、『BLUE』をイメージした構図で、今のエルぽきとふたりにゆかりのあるいろんなものを散りばめてもらい、ネームボードには、本にライブタイトルとご支援者様の名前を。イラストを描いてくれたしろうさぎさん、ご支援いただいたみなさん、会場で見て楽しんでくれたみなさん、ありがとう。

贈らせていただいたフラスタ
素敵なパネルイラスト
ご支援者様のみなさん

 最後にエルセちゃんからの手紙について。決意表明が認められていた手紙。6年前ではまず書けなかった内容だったと思う。この手紙にもたくさんの成長を感じたし、さらに大きなsingerになることを期待したいね、数年後にはなっていると思うから。ちなみに裏の海月、Lir.Eの何かの伏線なんじゃないかと思って注目している。特に何もないかもしれないけどね。この答え合わせがいつかもしかしたらあるかもしれないから、そのときを密かに楽しみにしておこうと思う。

エルセちゃんからの手紙

 ここまで読み続けてくれた方、長文拙文を読んでくれてありがとう。最後に、思うことはただひとつ。

           エルぽきはいいぞ!

                          ララーラララー

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